ヤサシイエンゲイ

寒さに強く、材はしなやか

イチイ

イチイ
科名:イチイ科
学名:Taxus cuspidata
別名:アララギ オンコ
原産地:日本 東アジア
草丈:~20m

難易度バー バー バー バー バー ふつう
耐寒性バー バー バー バー バー つよい
耐暑性バー バー バー バー バー ふつう

イチイとは

日本(北海道~九州)、東アジアなどに広く分布する常緑針葉樹です。生長スピードはゆっくりですが寿命は長く、大きくなると樹高は20mに達します。日陰に良く耐え、寒さにも強く、積雪にも折れにくいので、寒冷地を中心に庭木や垣根として広く利用されています。 主に北海道や青森、宮城などではオンコと呼ばれます。

姿・形

長さ1cm~2cmほどの細長い葉っぱが枝を挟んで、交互に密につき、行儀よく二列に並びます。葉表は濃緑色でツヤがあり、中心あたりに2本の筋(中肋)が縦に走ります。 雄の木と雌の木があり、3月~4月になると葉の付け根あたりから花を咲かせます。雄花は小さな球状で、小花がまとまってつきます。雌花は細長く表面はうろこ状で先端から透明な蜜のようなものを出します。

雌花は受粉すると、種子を包む「仮種皮」と呼ばれる部分がふくらんで多肉質になります。秋に赤く熟したものは甘さがあって食べられます。それ以外の部分(種子、葉、枝など)は有毒です。種子は仮種皮に完全に包まれておらず、底の部分は穴が開いており、中の種子が見えます。果実が黄色く熟すものもあり、キミノオンコ〔var. luteobaccata〕という変種として扱われています。幹の樹皮は大きく縦に裂け、赤褐色を帯びます。

由来

〔〕内は学名 T.はTaxusの略

和名の由来
名前は王朝時代の位階(官僚の序列)を表す「一位(正一位・従一位)」にちなむと言われています。これはイチイの材から笏(しゃく)が作られていたからだとされます。

学名の由来
属名のタクススはギリシア語のタキソン(taxion:弓)が語源です。これは粘りのある材から弓が作られたのが理由です。ちなみに、英語のトキシン(toxin:毒素)も同じ語源とされます。種小名のカスピダータは「先のとがった」の意で葉の形に由来します。

キャラボク

キャラボク
キャラボクは
葉がらせん状に出る
キャラボク〔T. cuspidate var. nana〕はイチイの変種で、庭木や植え込みなどによく利用されています。性質はイチイに準じますが、一番わかりやすい違いは「大きくならない」ことで、樹高が1m~3mほどに収まる低木です。主に日本海側の山地に自生します。イチイの葉っぱが2列に並ぶのに対し、キャラボクはらせんを描くように出します。大山(鳥取県)山頂付近の群落はダイセンキャラボクとして、国の天然記念物に指定されています。

似ている樹木と区別

葉っぱの形や並びがよく似た樹木にカヤ、イヌガヤなどがあります。カヤは葉表の中肋がはっきりせず、葉裏に白い筋(気孔帯)がくっきり入ります。イヌガヤは葉が長く、葉表は中肋、葉裏の気孔帯ともにくっきり入ります。

育て方

栽培カレンダー

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
植え付け
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刈り込み剪定
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肥料
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日当たり・置き場所
日当たり~半日陰でよく育ちます。耐寒性が強く、寒冷地で良く植えられます。といっても、暑さに弱いわけでもないので、暖地でもふつうに植栽できます。

肥料
肥料は春の芽出しに勢いを付けるために2月、新芽の伸びが一段落する7月、寒さに備えて力を蓄えるため10月、の年3回が基本です。油かすや化成肥料、鶏糞などを株元にばらまきます。肥料をきっちり与えることが栽培のコツです。

かかりやすい病気・害虫
元気に育っているとほとんど病害虫は見られません。樹が弱るとカイガラムシやハダニが付くことがあります。

植え付け・用土
植え付けの適期は春か秋です。適度な湿り気のある肥沃な土壌が適しています。植え付ける場所には堆肥を多めに混ぜ込んでおきます。

根が粗くて水や肥料を吸うための細根があまり多くないので、大きくなってからの移植はやりにく樹木です。移植は事前に根回しを行い、充分に細根を出してから行うと失敗が少ないです。

ふやし方
タネをまいて増やします。秋に熟した果実を採って果肉部分をキレイに取り除き、そのまま土に埋めるか、乾かさないよう冷暗所に貯蔵しておいて、春になったらまきます。乾かすと発芽率が落ちるので注意します。

手入れ
細かく枝分かれするので、刈りこんで形を整えることができます。刈り込みの適期は、新芽が出てくる前の3月~5月、新芽の伸びが止まり葉っぱがしっかり広がった7月、10月~11月頃の年3回が目安です。一度にばっさりと刈りこまず、年数回に分けて丁寧に刈りこむようにすると、枝が密に出て美しく整います。樹形から飛び出した徒長枝は早めに切り落とします。

ポイント
・しっかりと肥料を与える
・移植は根回しをしてから
・刈りこんで形を整えることができる

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