イチイの育て方

寒さに強く、材はしなやか

イチイ科 「い」からはじまる植物 花木・庭木・果樹

イチイ
科名
イチイ科
学名
Taxus cuspidata
別名
アララギ オンコ
原産地
日本 東アジア
大きさ
~20m
主な開花期
-----
耐寒性
つよい
難易度
★★★☆☆(ふつう)

こんな植物です

〔〕内は学名 T.はTaxusの略

日本(北海道~九州)、東アジアなどに広く分布する常緑針葉樹です。生長スピードはゆっくりですが寿命は長く、大きくなると樹高は20mに達します。日陰に良く耐え、寒さにも強く、積雪にも折れにくいので、寒冷地を中心に庭木や垣根として広く利用されています。 主に北海道や青森、宮城などではオンコと呼ばれます。

長さ1cm~2cmほどの細長い葉っぱが枝を挟んで、交互に密につき、行儀よく二列に並びます。葉表は濃緑色でツヤがあり、中心あたりに2本の筋(中肋)が縦に走ります。 雄の木と雌の木があり、3月~4月になると葉の付け根あたりから花を咲かせます。雄花は小さな球状で、小花がまとまってつきます。雌花は細長く表面はうろこ状で先端から透明な蜜のようなものを出します。

姿・形

長さ1cm~2cmほどの細長い葉っぱが枝を挟んで、交互に密につき、行儀よく二列に並びます。葉表は濃緑色でツヤがあり、中心あたりに2本の筋(中肋)が縦に走ります。 雄の木と雌の木があり、3月~4月になると葉の付け根あたりから花を咲かせます。雄花は小さな球状で、小花がまとまってつきます。雌花は細長く表面はうろこ状で先端から透明な蜜のようなものを出します。

雌花は受粉すると、種子を包む「仮種皮」と呼ばれる部分がふくらんで多肉質になります。秋に赤く熟したものは甘さがあって食べられます。それ以外の部分(種子、葉、枝など)は有毒です。種子は仮種皮に完全に包まれておらず、底の部分は穴が開いており、中の種子が見えます。果実が黄色く熟すものもあり、キミノオンコ〔var. luteobaccata〕という変種として扱われています。幹の樹皮は大きく縦に裂け、赤褐色を帯びます。


由来

和名の由来

名前は王朝時代の位階(官僚の序列)を表す「一位(正一位・従一位)」にちなむと言われています。これはイチイの材から笏(しゃく)が作られていたからだとされます。

学名の由来

属名のタクススはギリシア語のタキソン(taxion:弓)が語源です。これは粘りのある材から弓が作られたのが理由です。ちなみに、英語のトキシン(toxin:毒素)も同じ語源とされます。種小名のカスピダータは「先のとがった」の意で葉の形に由来します。

キャラボク

キャラボク〔T. cuspidate var. nana〕はイチイの変種で、庭木や植え込みなどによく利用されています。性質はイチイに準じますが、一番わかりやすい違いは「大きくならない」ことで、樹高が1m~3mほどに収まる低木です。主に日本海側の山地に自生します。イチイの葉っぱが2列に並ぶのに対し、キャラボクはらせんを描くように出します。大山(鳥取県)山頂付近の群落はダイセンキャラボクとして、国の天然記念物に指定されています。

似ている樹木との区別

葉っぱの形や並びがよく似た樹木にカヤ、イヌガヤなどがあります。カヤは葉表の中肋がはっきりせず、葉裏に白い筋(気孔帯)がくっきり入ります。イヌガヤは葉が長く、葉表は中肋、葉裏の気孔帯ともにくっきり入ります。

似ている樹木との区別

育て方

栽培カレンダー

栽培カレンダー

主な作業の適期

植え付け 4月下~10月上
剪定 3月~4月上 / 10月下~11月上

日常の手入れ

地際から出てくるひこばえや胴吹き枝は早めに切り詰めます。芽吹く力が強くて、枝もよく伸びるので、切り詰めて小さく仕立てる事ができます。庭木として仕立てる場合、枝を切り詰めて、円柱形にするのが一般的です。適期は芽吹く直前の3月~4月、秋の10月~11月です。実を採りたい場合は基本放任ですが、枝が張って場所をとります。

日当たり・置き場所

日当たりでも育ちますが、日陰にも良く耐えます。むしろ苗木や若木は日陰の方が良く育ちます。どちらかというと暖地性の針葉樹で、植栽適地は本州から南です。

肥料

植え付ける際、堆肥や肥料を充分施しておけば、それ以降は改めて与える必要はありません。

かかりやすい病害虫

ほとんど見られません。風通しが悪いとアブラムシやカイガラムシの排泄物からスス病を発生することがあります。

植え付けと用土

植え付け時期は春から秋が適期で、寒い時期は避けます。適度に湿り気のある肥沃地を好みます。土質はあまり選びませんが、粘土質のやや重い土が適しています。乾燥地は避けます。

根を傷めないよう丁寧に扱えば、木の大きさにあまり関係なく移植にもよく耐えます。若木は移植しやすそうに感じますが、ぞんざいに扱うと枯れてしまうことがあるので注意します。理想としては前もって枝葉を切り詰めて、半年から1年前に根回しを行っておきたいです 。

ふやし方

タネまきと接ぎ木で増やします。タネまきは秋に採った実から果肉を取り除いてすぐにまくか、乾燥させないように貯蔵しておき春にまきます。発芽後2~3年は比較的ゆっくりした生長ですが、その後は良く伸びます。 実を採るために雌木が必要な場合は雌木の枝を接ぎ木でふやします。

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