コキア(ホウキギ)の育て方

ふわふわした草姿、紅葉も美しい

アカザ科 「こ」からはじまる植物

コキア
科名
アカザ(ヒユ)科
学名
Bassia scoparia(= Kochia scoparia)
別名
ホウキギ ホウキグサ ニワグサ
原産地
アジア
大きさ
30cm~1.5m
主な開花期
8月(あまり目立たない)
耐寒性
よわい
難易度
★☆☆☆☆(やさしい)

こんな植物です

春にタネをまくと晩秋に枯れる一年草です。枝を束ねてホウキに利用していたことからホウキギの和名があります。細かく茂る茎葉が美しく、こんもりとまとまった草姿が可愛らしいです。目や手足を付けたらなんとなくどこかでみたようなモコモコしたキャラになりそうです。

夏になると茎に小花をびっしりと付けます。花には雄花と雌花があります。花びらはなく、淡緑色の萼があります。夏は爽やかなグリーン色の葉ですが、秋になると真っ赤に紅葉する姿が美しいです。ひたち海浜公園・見晴らし丘のコキアの群植・紅葉は全国的に有名です。茎も最初は緑色ですが、古くなると赤色になります。晩秋に株が枯れた後も、茎はタネが付いた状態で形が残ります。

変種のハナホウキギ〔var. trichophylla〕は全体がやや小型で、花壇の縁取りなどに向いています。また、枝先が白く色づく「アカプルコ・シルバー」などの園芸品種があります。

分類上、アカザ科コキア属から同科バッシア属に移されましたが、現在でも旧属名のコキアの名前で呼ばれることが多いです。

由来・利用

学名のバッシア・スコーパリアの「スコーパリア」とは「ほうき状の」という意味です。秋に実る果実を食用や薬用にします。また、若い枝も茹でておひたしなど、食用にできます。日本へは中国経由で渡来したといわれます。はっきりした来歴はわかりませんが、『本草和名』(918年)に記載されていることから、その頃にはすでに入って来ていたと思われます。

「枯れた茎はホウキ、果実は食用に」と実に無駄がないその利用価値の高さから江戸時代には広く栽培されていました。秋田の特産品「とんぶり」はこのコキアの果実を加工したものでプチプチした食感と色合いから「畑のキャビア」などと形容されることもあります。「とんぶり」は唐から来たブリコ(ハタハタの卵)が転じた名前だと言われています。おそらく、食感や形から連想されたのでしょう。漢方ではこの果実を「地膚子(じふし)」といい、強壮剤や利尿剤としての利用します。


育て方

栽培カレンダー

栽培カレンダー

主な作業の適期

植え付け 4月中~下旬
肥料 6月~7月

日常の手入れ

支柱を立てる

茎葉が大きく茂る割には、根の張りが小さく~要するに地上部と地下部がアンバランス~風や雨で倒れることがよくあります。大きく育ってきたら、株元に土を寄せてぐらつかないようにした上で支柱を立てます。

形を仕立てる

何もしなくても自然にまとまった姿になりますが、茎葉の生育が旺盛なので、適宜刈り込んで色々な形に仕立てることができます。ただし、刈り込み作業は秋の紅葉や結実などを考えると8月いっぱいくらいまでに終わらせた方がよいでしょう。

日当たり・置き場所

春にタネをまいて夏~秋に鑑賞し冬前には枯れてしまう一年草です。一度育てると、株の周囲にタネが自然にばらまかれて毎年勝手に生えてくることもよくあります(要するに、こぼれ種でよくふえます)。

水やり・肥料

肥料はあらかじめ土にゆっくりと効くタイプの化成肥料を混ぜ込んでおきます。その後生育に応じて適宜液体肥料などを追肥として与えますが、窒素分の多い肥料を与えると草姿が乱れますので気を付けましょう。

かかりやすい病害虫

じめじめした場所ではうどんこ病が発生することがあります。

植え付けと用土

水はけの良い土壌を好みます。品種によって枝葉の茂り具合や草丈が違いますが、一株でもかなりボリュームのある草姿になります。複数株植える場合は株と株の間のスペースをできるだけ広くとりましょう。

ふやし方

春にタネをまきます。発芽適温は15℃程度で、関西や関東の平地なら4月中旬から下旬がタネのまき時です。コキアは植え替えのときなどに根を傷めてしまうと、その後根づきにくい性質があるので、鉢やプランター、庭に直接タネをまいて間引きながら育てるか、ビニールポットにまいて、ある程度苗が育ったら土をくずさないようにそっと植え付けます。

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