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花は白いです

ムラサキ

ムラサキ
科名:ムラサキ科
学名:Lithospermum erythrorhizon
原産地:日本 中国
草丈:40cm-80cm
主な開花期:6月~8月


〔〕内は学名

ムラサキとは

花は白い
ムラサキの花は白い
日本から中国にかけて分布する、毎年花を咲かせる多年草です。乾燥気味の草原などに自生しますが、野生状態のものはほとんど見られず、日本では絶滅危惧種に指定されています。万葉集や源氏物語にも登場する、古くから知られる植物です。根っこを乾燥させたものは「紫根」と呼ばれ、紫色の染料や薬用になります。

色の「紫」は植物のムラサキからきており、ムラサキによって染められた色を指します。植物の名前として先にあって、後に色の名前として用いられるようになった言うことです。

草丈は80cmほどに生長し、茎は直立します。主な開花期は夏で直径5mmほどの小さな花を茎の上の方に咲かせます。名前はムラサキですが花色は白です。雰囲気的にひっそりとしたおとなしい花で、かたち自体はワスレナグサに似ています。根っこは太くて繊維質で紫色をしています。

性質・種類

とりまき(タネを採って保存せず、すぐにまく)以外では発芽率が極端に悪いこと、夏の暑さや日射しに弱くて冷涼な地域以外では夏越しがむずかしいことなどがあり、かなり育てにくい植物です。園芸では山野草として栽培されることもあります。多年草なので冬を越して毎年花を咲かせる性質ですが、比較的短命で1~2年で枯れてしまうことも多いので、株を維持するためには保険として必ず毎年タネを採ってまき、苗を作っておく必要があります。用土は水はけのよい山野草の培養土などが適しています。

ムラサキの仲間(ムラサキ属)は北半球を中心に約40種類が分布しています。園芸でよく栽培されているものに、ホタルカズラ〔L. zollingeri〕やミヤマホタルカズラ〔L. diffusa = Lithodora diffusa〕があります。

ムラサキと紫

糸や布を紫根で染める「紫根染め」は飛鳥時代から伝わる歴史ある工芸です。大変な労力と日数がかかり、紫根自体も大変高価なものでした。それゆえ、身分を表す色として「紫」は常に最高位に置かれていました。有名なもので冠位十二階がありますが最高位の冠色は「大徳」は濃い紫、二位の「小得」は淡い紫でした。

紫根染めは触媒に用いるもので色は変わり、アルカリ性の強いものを用いると青紫、酸性で触媒とすると赤紫色になります。紫紺染めの色で有名なものに「江戸紫」や「京紫」があります。中性に近いものを触媒にすると、美しい紫に染まります。触媒としてよく知られるものにツバキの灰(中性に近い)やわら灰(アルカリ性が強い)があります。

また、代用として藍や紅(もしくは蘇芳)を混ぜて紫色に染められたものは「似紫(にせむらさき)」紫で染められたものを「本紫」と呼びます。

その他

薬としてメジャーなものは「紫雲膏(しうんこう)」で原料の一つとして根が用いられています。効能はやけど、切り傷、湿疹などの皮膚病です。江戸時代に処方された薬で、現在でも市販されています。今のものは別種のセイヨウムラサキ〔L. officinale〕の根を使っているものもあります。

滋賀県東近江市「市の花」、神奈川県武蔵野市「市民の花」に指定されています。

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