ヤサシイエンゲイ

秋を代表する野草のひとつ

リンドウ

リンドウ
科名:リンドウ科
学名:Gentiana
原産地:世界のほぼ全域
草丈:15cm-80cm
開花期:主に9月~11月
栽培難易度:バー バー バー バー バー
(ふつう)

くわしい育て方

〔〕内は学名、G.はGentianaの略

リンドウとは

リンドウは本州~奄美諸島の山野に自生する植物で(近縁種も含めるとほぼ日本全域に分布しています)、秋空に映える濃い青紫色の花は野趣・美しさ・かわいらしさなどを兼ね備えた日本人の心に響く古くから親しまれてきた野草ともいえると思います。

世界に目を向けてみるとリンドウの仲間は約400種類(日本にはそのうち約18種)が分布しています。変種や亜変種が数多くある上に、切り花向きや鉢植え向きに人間によって改良された品種もあり、実際にはもっとたくさんの仲間があると思われます。

厳密にはリンドウは学名で「Gentiana scabra var. buergeri」と呼ばれるひとつの種を指すのですが、リンドウ属全体を「リンドウ」「リンドウ類」と呼ぶことも多いような気がします。

園芸で一般的なリンドウ類

「リンドウ類」と一言で言っても草姿や花の色や大きさ、形、生育場所などが異なる様々な種類があるゆえに栽培方法も多岐にわたります。園芸的にはある種、奥が深く極めれば非常に専門性の高い植物ともいえるでしょう。

鉢植えとしてよく栽培されているのはリンドウの亜変種に当たるキリシマリンドウ〔G. scaba〕やコンパクトになるよう改良された園芸品種のシンキリシマリンドウ〔f. procumbens〕などです。

また、石鎚リンドウも鉢花として普及しています。ピンクの花がかわいらしい'瑞紅'などの選抜品種があります。

切り花には草丈が高く茎がしっかりしているオヤマリンドウ〔G. makinoi〕やエゾリンドウ〔G. triflora var.japonica〕、エゾオヤマリンドウ〔G. triflora f. montana〕の園芸品種'いわて乙女'などが栽培されています。

ほかにも変種などがたくさんありますが、これらが一般に「リンドウ」として栽培されています。

その他のリンドウ類

リンドウ類は冬に茎葉が枯れる宿根草タイプ、枯れない常緑タイプ、冬を越して花後に株自体が枯れる越年草タイプなどがあります。

常緑タイプ
常緑タイプは高山性で小型のものが多く、平地では一般的に栽培はむずかしいとされます。代表的な種に深いブルー花のチャボリンドウ〔G. acaulis〕、空色のアングスティフォリア〔E. angustifolia〕などがあります。

越年草タイプ
園芸ではあまり栽培されませんが、野草として親しまれているものに越年草タイプのフデリンドウ〔G. zollingeri〕やハルリンドウ〔G. thunbergii〕があります。

薬用として利用
ヨーロッパ原産のルテア〔G. lutea〕は根茎と根を乾燥させたものが「ゲンチアナ」と呼ばれ、健胃薬などに配合されます。その他にも、数種類が薬用として利用されています。

由来 

リンドウの名前は中国名の「竜胆」に由来します。これは、リンドウの根が漢方薬として有名な「熊胆」と同じくらい苦く、コレに匹敵するのは例えるなら竜の胆くらいしかないんじゃないか、ということで付いた名前と言われています。

リンドウ属は学名で「ゲンチアナ」と言いますが、これは一種を薬としての利用価値を発見したゲンチアナ王に由来します。また、日光の二荒山神社(ふたらさんじんじゃ)にはある伝説が残っており、霊草として扱われるそうです。

二荒山神社の伝説(要約)

昔々、ある行者が山奥で雪の下から何かを掘り起こしているウサギを見つけました。行者が「なにか?」とたずねたところ「これで主の病気を治すのです」、とウサギが言いました。行者は不思議に思いながら同じ根っこを掘って持ち帰り、病人に用いるととみるみる病気が治りました。驚きつつも「これは神様がウサギに姿を変えて教えてくれたのだ」と感謝し、その根は多くの病人を救うこととなりました。それがリンドウの根だったということです。

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