サクラ

日本を代表する花木のひとつ

バラ科 花木・庭木 「さ」からはじまる植物

サクラ ソメイヨシノ
この植物の育て方
科名
バラ科
学名
Cerasus (Prunus)
別名
-----
原産地
北半球の温帯
大きさ
3m~25m(樹高)
主な開花期
2月~5月
栽培難易度
★★★☆☆(ふつう)

サクラの分類

以下で詳しく説明しますが、時代が進むにつれて植物全体の分類方法が見直されるようになり、サクラの分類も以前とは異なってきています。ここでは便宜上、今まで説明されてきた分類方法を「旧分類」、見直された方を「新分類」とします。旧分類が広く認知されていますが、今後は新分類に移行していくのではないかと思います。

サクラの分類(旧分類)

サクラはバラ科サクラ亜科サクラ属サクラ亜属に所属する植物の総称です。それだけではぴんと来ないので、少し説明を付け加えます。

サクラ属にはたくさんの仲間がいます。ここに所属する代表的な仲間を挙げてみると、モモ、ウメ、アンズ、スモモ、アーモンドなど、馴染みのものがたくさんあります。もちろんサクラもこの中の一員です。

サクラ属だけではたくさんの仲間がありすぎて把握しにくいので、色々な部分(果実や葉っぱ)の形や生態の違いからそれらをさらに小さいグループに分けました。この小さく分けたグループを「亜属」といい、サクラ属は5つの亜属に分けられました。そのうちのひとつ「サクラ亜属」に所属する植物がいわゆるサクラです。

ですから、この小さいグループが違うスモモやモモ、アーモンドはサクラとは呼びません。客観的に通用する線引きされた「いわゆるサクラ」の定義はそういうことになります。この小さいグループはさらに小さいグループ「節」に分けられますが、ここでは省略します。

サクラの分類(新分類)

サクラはバラ科サクラ亜科サクラ属に所属する植物の総称です。旧分類で亜属とされていたものが1階層上の属となります。サクラ属は学名でプルヌスでしたが、新分類ではスモモ属がプルヌスとなり、サクラ属はケラススという新しい学名になりました。

すももももももサクラも、すべて学名でプルヌスでした。新分類ではスモモの仲間はプルヌス(スモモ属)、サクラの仲間はケラスス(サクラ属)という風に別々の学名を与えられ、より明確に独立したものとして扱われるようになります。今後はこちらの分類が主流になっていくでしょう。

サクラの分布

サクラという植物の分類上の位置づけはこれでわかりました。では、具体的にはどんな種類があるのでしょうか。まず、サクラの分布について知っておきましょう。

サクラの仲間はアジアやヒマラヤに分布します。その中でも花の美しいものは日本を中心とした東アジアに集中しています。さらに、鑑賞用に栽培されるもののほとんどが日本に自生する野生種、もしくはそれらから生まれた栽培品種です。ですから、日本で生まれたサクラの種類を見ることで、ある程度サクラの全容がどんなものかわかると思います。

日本産の野生サクラ

日本産のサクラについて

日本の野山に自生する野生サクラは8種~10種くらいで、花の咲く時期や形態から6グループに分けられます。ソメイヨシノをはじめとする多くの栽培品種もこれらの種が関わっているものが多いです。サクラを語る上で知っておきたい基本種なので、ポイントとして押さえておくとよいでしょう。それぞれのグループと代表種は以下の通りです。関連する栽培品種も合わせて紹介します。

ヤマザクラ・グループ

いずれも樹高は大きくなります。葉の開く時期と開花が同時。

ヤマザクラ -山桜-〔C. jamasakura〕

本州(宮城より西)・四国・九州に分布します。西日本では一般的なサクラです。ソメイヨシノ以前に花見と言えばヤマザクラで古くから親しまれています。

オオヤマザクラ -大山桜-〔C. sargentii〕

北海道、本州(主に北日本)、四国に分布します。とりわけ北海道ではサクラと言えば本種で、エゾヤマザクラとも呼ばれます。

カスミザクラ -霞桜-〔C. leveillena〕

北海道、本州、まれに四国や九州にも分布します。花色は白で少しおとなしめです。

オオシマザクラ -大島桜-〔C. speciosa〕

伊豆から房総の沿岸に分布し、東北地方にも野生化しています。多くの栽培品種のルーツになっています。桜餅の葉っぱは本種です。

エドヒガン・グループ

花はやや小振りで早咲きです。ヤマザクラ・グループに似ていますが花の付け根の筒状部分が壺型になり、その点で区別できます。

エドヒガン -江戸彼岸-〔C. spachiana〕

本州・四国・九州に分布します。樹齢が長くて性質が強いのが特長で、日本各地の有名な古木や巨木は本種が多いです。

マメザクラ・グループ

おおむね低木で、葉っぱや花が小振りです。

マメザクラ -豆桜-〔C. incisa〕

本州中部の太平洋岸の狭い範囲に分布します。主に山野に自生し、富士山麓に多く見られます。変異が多いことでも知られます。変種のキンキマメザクラは北陸から中国地方の日本海沿岸に広く分布します。

タカネザクラ -高嶺桜-〔C. nipponica〕

北海道と本州(奈良より北)の亜高山帯に分布します。平地で早く開花しますが、自生地ではオムね5月の終わりから6月に開花します。ミネザクラとも呼ばれます。

チョウジザクラ・グループ

萼の筒状部分が大きく花が小さい。

チョウジザクラ -丁字桜-〔C. apetala〕

宮城の太平洋側~長野南部~静岡北部にかけて分布します。花は小さめでおとなしい雰囲気です。変種にミヤマチョウジザクラ、オクチョウジザクラなどがあります。ほとんど栽培されません。

ミヤマザクラ・グループ

小さな花がまとまってさき、萼が開花時に反り返ります。

ミヤマザクラ -深山桜-〔C. maximowiczii〕

北海道~九州に分布します。開花期は5月~6月と遅めで花色は白、まれに淡い紅色です。あまり栽培されません。

ヒカンザクラ・グループ

低木から中高木、他のサクラとは一線を画した特徴的な花姿で、下向きに咲きます

ヒカンザクラ -緋寒桜-〔C. campanulata〕

ヒガンザクラと読み間違えやすいので、カンヒザクラの名前でも広く通っています。中国南部や台湾~東南アジア分布し、沖縄に野生化したものが見られます。やや寒さに弱く、寒冷地での栽培はむずかしいです。

ヒカンザクラの花は大きく開かず下向きに咲き、色は紫紅色です。他のサクラとは少し雰囲気が違います。花びらはバラバラに散らず、咲いてた形のままぼとっと落ちます。早咲き栽培品種の親としても有名です。花が大きく開くリュウキュウヒカンザクラは栽培品種とされます。

栽培品種(サトザクラ)の分類

栽培品種とは

サクラの栽培品種(園芸品種)を総称して「サトザクラ」と呼びます。300品種以上が知られています。たくさんあるので、特によく見かけるものを中心に紹介します。公園や街路など植栽されたものや、切り花、鉢花として広く供されるものは、ほぼサトザクラの一種と言ってもよいでしょう。

狭い意味ではオオシマザクラをルーツに持つものだけを「サトザクラ」と解釈したり、ルーツとなった野生種から更に細かいグループに分けることもあります。

ここでは、栽培品種=サトザクラとしていろいろな種類を紹介します。

広く栽培されている品種(一重咲き)

ソメイヨシノ -染井吉野-〔C. × yedoensis 'Somei-yoshino'〕

日本で一番多く植えられているサクラの代名詞ともなっている品種です。花色はごく淡いピンクで、一重咲きです。エドヒガンとオオシマザクラがルーツとなっている、とされます。

イトザクラ -糸桜-〔C. spachiana ’Pendura’〕

いわゆるシダレザクラ(枝垂れ桜)です。古くから知られるエドヒガンの栽培品種で生長が早く枝が下向きに伸びます。花色が紅色のベニシダレ〔'Pendula Roseae'〕やヤエベニシダレ〔'Plena Rosea'〕もよく知られていますこのほかにも花色や大きさなどが異なる仲間が豊富にあります。

コヒガン -小彼岸- 〔C. ×subhirtella 'Subhirtella'〕

エドヒガンとマメザクラの雑種と言われています。2~3cmほどの小振りな淡紅色の花を枝いっぱいに咲かせます。木自体も全体的に小型で花付きがよく、切り花にも利用されます。

広く栽培されている品種(八重咲き)

フゲンゾウ -普賢象-〔C. 'Albo-rosea'〕

古くから知られる八重咲き大輪の品種です。花色は淡い紅色で、葉に変化した2本の雌しべの姿を普賢菩薩の乗る白象に見立ててこの名前があります。広く普及しており、各地で植栽されています。

カンザン -関山-〔C. 'Sekiyama'〕

濃いピンク色でボリュームのある八重咲き種です。関東では特にオーソドックスで代表的な八重咲きサクラです。読みは「かんざん」ですが、学名は「せきやま」です。花は塩漬けにされ桜湯に用いられます。

ショウゲツ-松月-〔C. 'Superba'〕

東京の荒川堤から広がった品種です。花びらは白に近い淡いピンク色で、花びらの重なりが美しいです。関東地方での植栽が多いとされています。

イチヨウ-一葉-〔C. serrulata 'Hisakura'〕

東京の荒川堤から広がった品種です。雌しべの付け根が緑色で葉っぱのようになっているので、この名前があります。関東地方でよく植えられています。

アサヒヤマ -旭山- 〔C. 'Asahiyama'〕

大きくなっても樹高が2m以内に収まる小型種で、鉢植えや盆栽に多く利用されます。花は濃いめのピンクで八重咲きです。

いわゆる桜色じゃないサクラ

ピンクや紅色だけでなく、少し変わった花色のサクラもあります。

ギョイコウ -御衣黄-〔C. 'Gioiko'〕

黄緑色の花びらに緑色の筋が入ります。品種名は花色をやんごとなき人が着用した衣の色に見立てたと言われています。

ウコン -鬱金-〔C. 'Grandiflora'〕

淡い黄色の花を咲かせます。品種名は花色をウコン染めの布に見立てたものとされます。

春以外にも咲くサクラ 二季咲き

コブクザクラ -子福桜-〔C. 'Kobuku-zakura'〕

秋から春にかけて花を咲かせます。八重咲きで咲き始めの色は白で、先進むとピンクに色づきます。

ジュウガツザクラ -十月桜-〔C. ×subbirtella 'Autumnalis'〕

マメザクラとエドヒガンがルーツとされます。秋から春にかけてちょぼちょぼと開花します。木自体はやや小型で、庭木としても適します。花は八重咲きのピンク色です。

その他

カワヅザクラ -河津桜-〔C. 'Kawazu-zakura'〕

静岡県の河津町で発見された早咲きの桜です。花色はピンクですが、濃淡のムラが出ます。やはり河津町が名所となっており、いち早く春を告げるサクラとして、開花すると毎年ニュースで流れています。

トウカイザクラ -東海桜-〔C. 'Takenakae'〕

淡いピンクの一重咲きです。ソメイヨシノよりも早く開花する早咲き種で、切り花向きに栽培されています。

オモイガワ -思川- 〔C. ×subhirtella 'Omoigawa'〕

栃木県小山市の修道院にあるジュウガツザクラのタネから育種された品種です。明るいピンク色の花が埋もれるように咲き、満開時は非常に愛らしい。ソメイヨシノと同じ~やや遅い時期に咲きます。

ケンロクエンキクザクラ -兼六園菊桜-〔C. Sphaerantha〕

兼六園に伝わる栽培品種で、花びらの枚数が非常に多く、丸っこいボタンのような姿がかわいらしいです。花色は淡いピンクです。

イチハラトラノオ -市原虎の尾- 〔C. Serrulata 'Albo Plena'〕

京都市の市原にあった品種で、枝に沿って華がびっしり咲く姿が虎の尾のように見えると言うことで、この名前が付きました。花は白で、周縁部にほんのりと紅色が入ります。

姿形

サクラは大きく野生種と栽培品種に分かれ、少し見ただけでもたくさんの種類があることがわかりました。花の姿はもちろん、葉っぱや樹高、咲く時期もまちまちで一概にその姿を語ることはできません。ここでは、ある程度共通する部分を見ていきましょう。

葉っぱ

葉っぱは先端のとがったタマゴ型で、枝の左右に交互につきます。縁はノコギリのようなギザギザになります。軸の部分(葉柄)には蜜腺と呼ばれる小さな突起があります。

花びらの基本数は5枚です。八重咲き種は300枚もの花びらを持つものもあります。がくは筒状で先端が5つに分かれます。

各部名称と説明

葉っぱの各部

  • 葉身【ようしん】…葉っぱの本体
  • 葉柄【ようしん】…枝と葉身をつなぐ軸の部分
  • 主脈【しゅみゃく】…葉身の真ん中を走る筋
  • 側脈【そくみゃく】…主脈から分岐した筋
  • 蜜腺【みつせん】…葉柄や葉身の付け根あたりにあるイボ状の突起
  • 鋸歯【きょし】…葉の縁にあるギザギザ

花の各部

  • 花びら【はなびら】…正式には花弁、花で一番目立つ部分
  • 雌しべ【めしべ】…花の真ん中にあり、受粉すると果実になる
  • 雄しべ【おしべ】…花粉を出す
  • がく片【がくへん】…つぼみを包んでいる部分、通常5片に分かれる
  • がく筒【がくとう】…がく片につながる筒状の部分
  • 小花柄【しょうかへい】…複数の花が咲く場合、花同士が合流する部分
  • 苞【ほう】…小さな葉のようなもので、小花柄の付け根に1枚ずつ付く
  • 花柄【かへい】…小花柄同士が合流し、枝とつながる部分
  • 鱗片【しんぺん】…花芽を包んで保護している部分

花は品種を判断するポイント

花の各部はごく似通った品種を見分ける際、特にポイントとなります。がく筒の形と毛の有無、小花柄の毛の有無などが主な見分ける判断材料になります。