弾けたくす玉のようなかわいらしい花
ホクシア(フクシア)
ブルータス() |
科名:アカバナ科学名:Fuchsia原産地:
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ホクシア(フクシア)とは
中南米から西インド諸島を経て、ニュージーランド、オーストラリアまでの広い範囲におよそ100種類が分布する、常緑・もしくは落葉性の低木です。主に栽培されているのは野生種を掛け合わせて作られた園芸品種です。園芸品種はおびただしい種類があり、現在3000品種くらいあると言われています。主に鉢花として楽しみます。枝がしなやかでよく伸びるので、吊り鉢やスターンダートなど、様々な形に仕立てて楽しむことができます。
花の姿や樹形は品種によって様々で、園芸品種はそれらの特長によって分類されています。「花の姿やかたち」と枝の伸び方などの「草姿」に分けて、その違い、特長を見ていきましょう。
花の姿やかたち
咲き方と色
葉の付け根から軸を伸ばして、その先端に風鈴のような花を下向きに咲かせます。上に大きく反り返るやや厚みがあるものはつぼみを包んでいた萼(萼筒)で、本来の花びらは下の方です。花びらの中からは1本の雌しべと8本の雄しべが下向きに伸びます。
花びらの数で、シングル(花びら4枚:一重咲きとも)、セミダブル(5枚~7枚:半八重咲き)、ダブル(8枚以上:八重咲き)の3種類に分けられます。八重咲きは、花びらの数が増えたと言うより、1枚の花びらが細かく裂けて、それぞれが大きくなったもので、圧重ねのフリルのような美しさとボリュームがあります。
花色は赤、白、紫、ピンクなどがあり、萼と花びらの色が違う品種も多くて濃淡の色幅もあり、カラフルです。
大きさ
育て方や環境によって、花の大きさは変わることがあるのではっきり言えませんが、小さなものから大きなものまで、極小輪(1cm以下)、小輪(1cm~3cm)、中輪(3cm~6cm)、大輪(6cm以上)の4つのサイズに分類さます。
その他
花の後は付け根の部分がふくらんで、球形~長だ円形の果実になり、熟すとぶどう色になります。
昼の長さ(夜の短さ)に反応して花芽を付ける長日性の種が多いですが、そんなモノに関係なく花を咲かせる中日性の種もあります。中日性は気温があれば年中開花するので、温室などでは季節に関係なく咲いていることもあります。
草姿など
樹形
枝がどの方向に伸びてどんな姿に茂るかで、4タイプに分けられます。仕立て方を決める際、大事になります。
ブッシュ
枝が固くてしっかりとしており、直立します。あまりいじらずに素直に茂らせる仕立て方やスタンダート仕立てが適しています。立性とも言います。
トレイラー
枝がしなやかで垂れ下がるものです。吊り鉢に仕立てて、目線より上の位置に飾ると見栄えがします。ハンギングタイプ、下垂性とも言います。
リング仕立てなどに向きます。
ラックス・ブッシュ
ブッシュとトレイラーの中間の樹形で、枝が斜上します。
ステッフ・トレイラー
枝が硬めで垂れ下がるものです。トレイラーに比べると樹形のまとまりが弱くて乱れます。ハンギングに向きます。
葉っぱ
葉っぱにクリーム色などの模様の入る斑入り種があります。 基本的に花を楽しむことがメインとなっており、葉っぱの様子はあまり注目はされません。
野生種
現在栽培されているものは園芸品種がほとんどですが、そのもととなった野生種(原種)の存在も忘れてはいけません。
園芸品種の重要な親となった原種
トリフィラ〔F. triphylla〕
ホクシアのなかで、いちばん最初に学名が付けられた種です。花色は赤で、特に本種が元となった園芸品種は「トリフィラ・タイプ」と呼ばれます。細長い筒状の萼が特徴的です。
フルゲンス〔F. flugens〕
メキシコ原産。萼が細長くて、花びらは小さいです。高さは1mほどになります。花びらは赤色で、萼は薄いオレンジ色です。
マゲラーニカ〔F. magellanica〕
チリ南部~アルゼンチン原産。萼は濃い赤色で花びらは明るい紫色です。様々な園芸品種を生み出した、フクシアの歴史上で最も多く語られる種。
その他の原種
ティミフォリア〔F. thymifolia〕
メキシコ原産、花の大きさが5mmほどで非常に小さいです。
デンティキュラタ〔F. denticulata〕
ペルー、ボリビア原産。他の樹木を支えとしてよじ登り、高さ8m~9mに達することもあります。花は長さ2cmほどで。がくの先端が緑色になってかわいらしい。
園芸品種
園芸品種はおびただしい数があり、3000品種はくだらないとされています。花の姿や色はもちろんのこと、枝葉の茂り方などにも違いが見られます。
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歴史・由来
フクシアが文献にはじめて現れたのは18世紀のはじめとされています。ヨーロッパにいくつもの種が紹介されるようになり、19世紀の前半から園芸品種が作られるようになりました。イギリスで品種改良が盛んに行われるようになり、フランスやドイツでも積極的に交配がはじまります。20世紀に入るとアメリカでも育種されるようになります。アメリカフクシア協会、英国フクシア協会など、歴史のある団体もあり、現在でも人気のある植物として、毎年新しい品種が誕生しています。日本には昭和の初めに入ってきたとされます。
ホクシアの名前は「ドイツ植物学の父」のひとり、レオンハルト・フックスの名前に由来します。
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