ダリア
- 科名
- キク科
- 学名
- Dahlia
- 別名
- テンジクボタン
- 原産地
- メキシコ グアテマラ
- 大きさ
- 高さ20cm~2m
- 開花期
- 7月~10月
- 難易度
- ★★★☆☆(ふつう)
こんな植物です
メキシコからグアテマラにおよそ15種が分布する球根植物です。現在広く親しまれているのは、野生種を掛け合わせて作られた園芸品種群です。非常に多くの品種があり、花の形や大きさなどで細かく分類されています。
ダリアは大輪種の豪華さ、小輪種の愛らしさ、様々な花色や形などその選択肢の多さが魅力の一つです。園芸品種の先祖となる野生種には高地に自生するものが多く、やや暑さに弱いのがネックです。初夏に一番花が咲いたあと、夏は花が咲きやんだり花色が鈍ることがあります。冷涼地や、平地でも気温の下がる秋になると、再び冴えた色の花を咲かせます。花色は非常に豊富で、青以外はほぼ揃っていると言っても過言ではありません。おもしろいものに黒に近い濃紫色の花を咲かせるものなどがあります。
日本では春に球根を植え付けて夏から秋に花を楽しむのが一般的です。また、タネから育てられる品種もたくさんあり、春にタネをまくとその年の夏から秋に開花します。花後は茎葉が枯れて地中に球根が残ります。
分類
ダリアは非常に多くの園芸品種があり、花の大きさやかたち、草丈で分類されています。
花の大きさによる分類
超巨大輪(花径30cm以上) 巨大輪(26cm~30cm) 大輪(20cm~26cm) 中輪(10cm~20cm) 小輪(3cm~10cm) 極小輪(3cm以下)
草丈による分類
極高性(150cm以上) 高性(120cm~150cm) 中高性(100cm~120cm) 中性(70cm~100cm) 中矮性(50cm~70cm) 矮性(50cm以下)
花の形による分類
シングル咲き…最も基本的な一重咲きです。
オーキッド咲き…花びらの端っこがくるりと内側に巻き込み半管状になる。
コラレット咲き…通常の花びらとは別に短い花びらが付きます。
アネモネ咲き…花の中心部分が大きく発達する、いわゆる丁字咲き。
ピオニー咲き…花びらが2~5重に付く。
ポンポン咲き…小輪八重咲き、花びらの先端が丸っこくなり、下の方が管状になります。中輪のものはボール咲きと呼ぶ。
デコラティブ咲き…八重咲き、平たい花びらが中心まで整然と並びます。
カクタス咲き…八重咲き。花びらが管状に細く巻きます。花びらが外側に巻いてまっすぐになる「ストレートカクタス」、花びらが内側に巻く「インカーブドカクタス」、きっちりと巻かずにやや幅広の「セミカクタス」に分けられます。
花色・葉色
白、ピンク、赤、黄、オレンジ、紫、黒赤、黒紫など、また品種によって濃淡の色幅があります。また、花びらの先端が白くなる爪白、白地に赤や紫のぼかしが入る絞りがあります。
葉色は緑葉と黒葉(銅葉)があります。黒葉系は赤や黄色など明るい花色と非常によく合います。
歴史
世界の歴史
人との関わりの最初は、自生地でもあったアステカ帝国です。アステカではダリアは神聖な花とされており庭などで栽培されていました。現地名はアコクトリ(水笛)で、花茎がストローのように中空になっているところに由来するとされます。
1789年、メキシコシティー植物園からスペインのマドリード植物園にタネが送られたのがヨーロッパでの栽培の始まりです。当時のマドリード植物園園長が植物学者のアンドレアス・ダールの名前に因んでこの植物を「ダリア」と名付けました。
当初は門外不出扱いでしたが、やがてイギリスやフランスにもタネが渡るようになりました。このころは栽培法が確立されておらず、2~3年で枯らしてしまうケースが相次ぎました。ドイツの探検家フンボルトがアマゾン探検の帰路、およそ1500mの高地でダリアの原生地を発見しました。このことで、それまで熱帯性植物と考えられていたダリアが、実は冷涼な高地で育つことが判りました。それからは栽培法が確立されて枯れることも少なくなり、品種改良も急速に進みました。
日本での歴史
日本には天保12年(1841年)、オランダ船によってもたらされたとされます。入ってきた頃はテンジクボタン(天竺牡丹)と呼ばれ、一部で栽培されていました。明治も中頃を過ぎた頃には一般でも盛んに栽培されるようになり、明治の末には赤坂で第1回のダリア品評会が開催されたそうです。大正時代には「日本ダリア会」が設立されました(一時活動休止後、2004年より再開)。現在では家庭園芸はもちろん、各地のダリア園でたくさんの種類を見ることができます。
主な原種
現在の園芸品種の元となったとされる野生種(原種)は数種類あるとされます。〔〕内は学名、D.はDahliaの略。 <。/p>
ピンナタ〔D. pinnata〕
高さ2mほどになります。基本種の花色は鮮やかな赤ですが、花色や花姿の変異に富み現在ある様々な花姿の園芸品種は本種の影響が大きいとされています。広い意味でテンジクボタンというと、ダリア属全体を指す和名ですが、狭い意味では本種を指します。
メルキー〔D. merckii〕
草丈2m、花色は藤色でシングルカクタス咲きの元となる種とされます。和名フジイロテンジクボタン(藤色天竺牡丹)。
コッキネア〔D. coccinea〕
草丈3mで花色は鮮やかな赤色です。シングル咲きの元となった種とされます。和名ヒグルマテンジクボタン(緋車天竺牡丹)。
ファレシー〔D. juarezii〕
デコラティブ咲き、ピオニー咲き、カクタス咲きなど八重、半八重咲き品種の元となった種とされます。
その他の画像
1.‘リド’2.‘コクチョウ’(黒蝶)3.‘エンゲルハルツ・マタドール’4.ポンポン咲き 5.カゲボウシ