ツリフネソウの育て方
- 科名
- ツリフネソウ科
- 学名
- Impatiens textori
- 別名
- ムラサキツリフネ
- 原産地
- 日本 朝鮮半島 中国東北部
- 大きさ
- 高さ 40cm~80cm
- 主な開花期
- 8月~10月
- 耐寒性
- ふつう
- 難易度
- ★★☆☆☆(そだてやすい)
こんな植物です
〔〕内は学名、I.はImpatiensの略
夏~秋に、日本各地の山野で見られる野草です。主に、樹林内の湿地や水辺に生えます。群生していることが多く、花どきはなかなか見栄えがします。花後に実を結んで枯れる一年草です。
ホウセンカ〔I. balsamina〕や園芸で俗に「インパチェンス」と呼ばれているアフリカホウセンカ〔I. walleriana〕の仲間(ツリフネソウ科ツリフネソウ属)です。熟した果実がちょっとした刺激で弾けてタネを飛ばすところなどはわかりやすい共通点です。
姿・形
茎は所々で枝分かれして茂ります。多汁質で節の部分がふくらみます。葉っぱは先端が尖った菱形に近いタマゴ型で、縁はくっきりとしたギザギザになります。茎には左右交互に付く互生です。
茎上部の葉腋(ようえき、葉の付け根)から花茎を斜め上に伸ばし、その先に数輪の花がぶら下がるように付きます。花色はふつう紅紫色です。たまに白花の品種〔f. pallescens〕があり、シロツリフネと呼ばれます。
袋状の部分は萼で、唇弁(下萼片)と呼ばれます。唇弁は後方がすぼまって、しっぽのようにくるりと巻き込みます。この部分を距と言います。
内側は下半分が白地で一部が黄色くなり、全体に紅紫色の斑点が付きます。外側上部、花茎のあたりに付いている2つの切片も萼(側萼片)です。
唇弁の前方にくっついているひらひらした部分が花びら本体です。下向きの大きな花びらを翼弁、上向きの小さな葉花びらを旗弁と言います。
果実は長さ1cm~2cmの紡錘形、多肉質で表面に光沢があります。触れると皮が弾けてくるりと巻き、その勢いでタネを飛ばします。
名前の由来
花茎にぶら下がるように咲く姿が、花器の釣船のように見えるのでこの名前があります。
属名のインパチェンス(impatiens)は「ガマンできない」という意味です。熟した果実に触れると弾けてタネを飛ばすところから来ています。種小名のテクストリー(textorii)はイギリスの植物収集家、テクスターに由来します。
近い仲間
キフリツネ〔I. noli-tangere〕
山野の渓流や湿り気のある林内に自生します。淡い黄色の花を咲かせます。唇弁の距は鈎状に曲がりますが、ツリフネソウのようにくるりとは丸まりません。
ハガクレツリフネ〔I. hypophylla〕
花が葉下に隠れて咲くので、この名前があります。葉脈状に生える縮れ毛が多く、その点でツリフネソウと区別します。
画像
■茎葉
■花
■果実
育て方
- ・水切れに気をつけます
- ・明るい日陰が適する
●ポイント
手入れ
水辺に生えているところからも判るように、水を非常に好みます。水切れさせないことが第一で、その点さえクリアしたら、特に手間はかかりません。
適した場所
湿り気のある、明るい日陰が適しています。ただ、芽生えた頃はよく日に当てて、間延びしないよう気をつけた方が良いでしょう。
ふやし方
タネは秋に採取してすぐにまくか、乾燥させないよう貯蔵しておいて春にまきます。地植えの場合、環境が合っていれば毎年こぼれたタネが周りで発芽して生長します。