高山に住むランの仲間
ハクサンチドリ(白山千鳥)
科名:ラン科学名:Dactylorhiza aristata(= Orchis aristata)原産地:日本(本州中部以北) アラスカ 朝鮮半島草丈:15cm~50cm開花期:5月-6月難易度 (むずかしい) |
ハクサンチドリ(白山千鳥)とは
日本(本州中部以北)、朝鮮半島、アラスカなどの高山帯の草地に分布するランの仲間です(北海道北部では、平地や海岸線にも分布します)。白山で最初に発見されたのでこの名前があります。チドリは花の姿を千鳥が飛ぶ姿に見立てたものです。
草丈は20cm~40cm。自生のものは他の植物との生存競争が働いてか、茎が立ち上がって50cm近くに伸びることもあります。鉢植えなど、単体で栽培するとあまり伸びず、寸詰まった感じで葉が地際に集まり草丈は20cmほどに収まることが多いです。
先端がとがった長だ円形の葉を数枚付けます。葉の表面にびっしりと黒紫色の斑点が入るものがあり、それはウズラバハクサンチドリと呼ばれます。開花期は自生地の高山では6月~8月、栽培品は5月~6月、紅紫色の小花を密に数十輪咲かせます。白花を咲かせるシロバナハクサンチドリが知られています。
開花後は夏~秋に葉が枯れて地下茎(塊根)の状態で休眠し、早春~春に芽を出します。地下茎は手のひらのような形をしています。学名のダクティロリザはギリシア語のダクティロス(指)とリザ(根)に由来し、地下茎の形からきています。
育て方
栽培カレンダー1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
開花期 |
植え替え |
日当たり・置き場所
春に芽が出て花が咲くまでの間は柔らかい日射しの当たる場所で育てます。暑さに弱いのでそれ以降は半日陰の涼しい場所に置きます。運がよければ夏を越します。
毎年、新しい地下茎をつくって翌春はそこから芽を出します。作落ちして(新たにできる地下茎が年々小さくなっていき)2~3年で株自体が消滅することも多いです。
水やり・肥料
寒冷地の湿原や高山の湿潤な草原に自生する植物です。葉を出している生長期は適湿を保ち、水切れに気をつけます。休眠期も完全に乾かさないように湿らす程度の水を与えます。過湿にすると根が腐るので、水はけのよい用土を使うことも大切です。
かかりやすい病気・害虫
多湿時期に葉の付け根から腐って、株が枯れることがあります。定期的に殺菌剤を散布して予防します。
植え付け・用土
植え付けの適期は休眠期に行います。水はけのよい用土が適しています。砂や腐葉土を混ぜたものを使います。
ふやし方
株分けが可能ですが、地下茎がほとんど増えないので物理的に難しいです。
ポイント
暑さに非常に弱く、平地では生育期間も比較的短く、地下茎が充分に育たないことも多く、比較的栽培の困難な植物と言えます。
関連するページ
ランの仲間山野草の仲間