花どきと紅葉いずれも美しい
ハナノキ
科名:ムクロジ(カエデ)科学名:Acer pycnanthum別名:ハナカエデ原産地:日本(木曽川流域に点在)樹高:15m~30m主な開花期:4月難易度 ふつう 耐寒性 つよいほう 耐暑性 ふつう |
ハナノキとは
日本固有のカエデの仲間で、愛知県の県木です。主に木曽川流域(長野、愛知、岐阜)のごく限られた狭い場所に、孤立状態で点々と自生します。主な生育環境は湿地です。
野生は天然記念物もので非常に珍しいですが、増殖された株が植物園や公園のほか、街路樹として全国に植えられています。大気汚染に弱いので、環境ストレスの強い場所は不向きだと言えます。冬は落葉します。
姿形
樹高は15m~30mに達し、樹皮は灰白色で木が大きくなると縦に深く裂けます。枝の先端につく冬芽は濃い紅色で美しいです。
葉っぱは浅く3つに裂けるものと、全く裂けない尖ったタマゴ型のものがあります。縁はゆるいギザギザになります。枝をはさんで左右に1枚ずつ付く対生です。
雄木と雌木があり、それぞれ雄花、雌花を付けます。主な開花期は4月で、小さいながらも鮮やかな紅色です。葉を広げる前に咲くので、遮るものがなく遠目でもよく目立ちます。昨年伸びた枝の葉腋(葉の付け根)に数輪~10輪がまとまって咲きます。雄花は軸が短く団子状につき、白い花糸(雄しべ)がたくさん突き出ます。雌花は軸が長く伸びて、束になって下向きに垂れ下がるのが特長です。特に雄しべは先端から黄色い花粉を出し、萼とのコントラストが鮮やかです。秋の紅葉も美しいですが、花どきも同じくらいの見せ場と言えます。
果実は長さ2.5cmでぺらぺらと薄っぺらく、中に1コのタネが入っています。秋の紅葉は色合いに個体差があります。
名前の由来・その他
ハナノキの名前は花の咲いているところが遠目でもよくわかるからだとされます。種小名のピクナンツムは『密集した花の』という意味です。 樹皮や葉を煎じたものは、洗眼に用いられます。
同じカエデの中でもアメリカハナノキは見た目そっくりの近縁種です。シキミは別名でハナノキと呼ばれますが、本種とは関係ありません。
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育て方
栽培カレンダー
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
開花期 |
植え付け |
剪定 |
適した場所
ある程度の日陰にも耐えますが、日当たりの良い場所でよく育ちます。乾燥を嫌い、湿潤で水はけがよく、肥沃な土壌を好みます。植栽適地は北海道南部~九州です。
特に乾燥は大敵です。ひどく乾かすと枝葉の伸びが鈍り、秋の紅葉もキレイに色づきません。
植え付け・植え替え
落葉期が適期です。
手入れ
枝を切られることがあまり好きではなく、特に太い枝を切ってしまうと樹そのものの生育に支障を来すこともあります。夏に翌年咲く花芽ができるので、むやみに切ると、花芽ごと枝を落とすことになります。そうなるとハナノキの見せ場である花どきの美しさを逃すことにあります。
不要枝や細い枝以外は剪定をせず、広い場所でのびのび育てるのが理想です。 枝を切る作業は落葉期の冬に行います。
ふやし方
タネをまいてふやします。
ポイント
乾燥と環境ストレスに弱い
剪定は基本的にしない
植え付けは落葉期に
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