夏にユリのような花を次々咲かせる
ヘメロカリス
科名:ユリ(ススキノキ・ワスレグサ)科学名:Hemerocallis原産地:アジア東部別名:デイリリー草丈:30cm-90cm主な開花期:6月-8月栽培難易度: (そだてやすい)
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ヘメロカリスとは
ユウスゲ ノカンゾウ ヤブカンゾウ |
園芸では、日本や中国原産のユウスゲやカンゾウ類(ノカンゾウ、ヤブカンゾウなど)を元として、品種改良で生まれたものをヘメロカリスと呼びます(広い意味ではヘメロカリス属に分類されるすべての植物を指します)。
冬は落葉して休眠するタイプと緑の葉が残る常緑・半常緑タイプがあります。毎年花を咲かせる多年草です。
花が短命で一日でしおれてしまうので「デイリリー」とも呼ばれます。学名でもあるヘメロカリスの名前はギリシア語で「一日」を意味する「へメロ」と「美」と言う意味の「カロス」の2語から来ており、これもデイリリーと由来は同じです。
大きさや花色など非常にバラエティーに富んでおり、性質もとても丈夫なので海外では花壇や庭、コンテナをはじめとして、色々なシーンで活躍する草花です。日本では海外ほど多く利用は見られません。
姿・形
野生種の花色は黄色や赤褐色などが中心で、園芸品種はそれ以外に赤、クリーム色、ピンク、紫などがあります。単色だけでなく、複数の色が組み合わさったものもあります。花の大きさは小輪で直径約5cm、大輪のものは直径20cmを越します。咲き方も一重咲きの他、八重咲きがあり、花びらが細いものや幅のあるもの、先端が尖るものや丸くなるもの、フチが波打つものなど様々です。
開花期は葉の間から40cm~1mの花茎を伸ばします。1本の花茎から数個、多花性の品種なら30個ほどのつぼみを付けます。花は一斉に咲かず、1-2輪ずつ咲きます。花茎はつぼみが出てくるごと直角に向きを変え、渦を巻くように伸びて行きます。このような花の付き方を、「かたつむり状花序」と呼びます。
基本的に一日でしぼんでしまう花ですが、次々と開花するので、結果として長い期間花を楽しむことができます。ひとつの花が短命なのには違いがありませんが咲く時間帯によって朝開いて夕方しぼむ「昼咲き」と夕方に咲いて翌日にしぼむ「夜咲き」があります。
品種・仲間
H.はHemerocallisの略。〔〕内は学名
野生種は約10種類が日本を含む東アジアの暖帯-温帯に分布します
フルヴァ 〔H. fulva = H. fulva var. fulva〕
中国原産で、日本には昭和の初めに入ってきたとされます。和名でホンカンゾウと呼ばれます。中華料理ではつぼみが「金針菜(きんしんさい)」と呼ばれ、炒め物などに利用されます。日本でも、乾燥させたものが食材として出回ります。根っこは漢方薬になります。
ヨーロッパでは、名前が似ててすごくややこしい、フラヴァ〔H. flava〕とともに16世紀頃に導入され、広く栽培されてきました。
分類上、日本に分布するヤブカンゾウやノカンゾウは、本種の変種となります。
キスゲ〔H.thunbergii〕
北海道から九州に分布する野生種。主に夕方から咲き始める夜咲き性、花色はレモンイエローで芳香を放ちます。草丈は1mを超す大型種。
ヒメカンゾウ〔H.dumorieri〕
草丈30cm-40cmのやや小型の野生種。小輪で花色は赤みがかったオレンジ色。江戸時代には植栽されていたそうですが、原産は不明。
園芸品種とアメリカ
園芸品種には花の色、大きさ、咲き方、花茎の長さ、花茎につくつぼみの数、開花する時間帯、その他性質などの組み合わせで多彩な品種があります。その数は3万品種以上と言われます。
特にアメリカでは品種改良が盛んで、毎年様々な新品種が発表されています。アメリカの改良品種は野生種から想像できないほど派手なものが多いです。品種により価格は100円台からウン万円までピンキリです。
アメリカでの品種改良の歴史は戦前までさかのぼります。当時のニューヨーク植物園所長が、自ら原産地で採取を行うとともに、各方面から様々なものを収集し交配を行いました。それが元で戦後に様々な品種が育成されました。
育てやすく丈夫なことは元より、花自体がアメリカ人の好みにも合ったのでしょう。次々に新品種が生み出されました。交配がしやすく誰でも新品種が作れ、市場も大きく需要も高いので、人気のある品種を作れると収入になる、という構造もあるようです。交配を前提にしているのか、アメリカのカタログには、花の大きさや咲く数などに加えて、タネのできやすさや倍数性(2倍体・4倍体など)も表記されています。
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