優雅なだけではない魅力的な蘭

ファレノプシス(コチョウラン)

科名：ラン科

学名：Phalaenopsis

別名：コチョウラン

原産地：東南アジアを中心とした熱帯～亜熱帯

草丈：20cm-80cm

開花期：一般に冬から春

栽培難易度：
（ややむずかしい）

〔〕内は学名

ファレノプシス（コチョウラン）とは

ファレノプシス(コチョウラン) 東南アジアを中心とした熱帯・亜熱帯地域におよそ50種が分布するランの仲間です。日本ではコチョウランの名前でやや高級な鉢花として知られています。自生地は昼夜の気温差が大きく高温多湿な森林内で、風通しのよい樹木の高い位置にある枝や幹に根を張り付かせて生活します。

属名のファレノプシスはギリシア語のファライノ(phalaina：蛾)とオプシス(opsis：～のような)の2語からなり、花姿を蛾に見立てて付けられた名前です。英名のモス・オーキッドも同じ理由です。和名のコチョウランは漢字で胡蝶蘭の字を当て、花姿を蝶に例えたものです。ラベルなどに記載するときの略号は『Phal.』です。

茎は伸びずにベローンとした舌のような葉を左右交互に出します。葉は肉厚で、色は濃緑色や淡緑色、中には斑点の入る種もあります。根は太くて表面は光沢のある銀白色、気温の高い時期は盛大に伸びて鉢からはみ出して鉢の外側に絡まるようにくっつくこともあります。花の大きさや形、色は種によってまちまちでふっくらとした丸みがある大輪種、星形の花を咲かせる種、可愛らしい小輪種などがあります。

一般によく出回るのは交配種

一般的に鉢花として出回るものは、大半が人工的に掛け合わせて作られた交配種です。種の組み合わせで様々な花色や花姿の品種ができます。園芸では交配種を花色や大きさでいくつかのグループに分けます。ファレノプシス同士だけでなく、近縁のドリテノプシス属の掛け合わせた交配種もあり、その多彩さはますます増えています。

主なグループ

・白花グループ　花は純白で形よく、鉢花として最も人気があります。
・ピンク・赤花グループ　淡～濃ピンク、濃紅色の花を咲かせます。
・黄花グループ　レモンイエローや淡い黄色の花を咲かせる
・セミアルバ　花びらは白で中心のリップが紅色になります
・ストライプ・スポット　花びらに細かく筋が入ったり、斑点がでます。
・ミニ　小輪でたくさんの花を咲かせ、強健なものが多いです。

独特の魅力がある原種

原種とは交配種の親となった野生種の事です。美しさの中にも絶妙な野趣や自然美、素朴さがあり、好きな人は大好きです

代表的な原種・野生種

アマビリス〔Phal.amabilis〕
オーストラリア北部などが原産。花茎がアーチ上に伸びて10輪～多いときで20輪の花をいっせいにつけます。花の色は白。花のひとつの大きさはさほど大きくないですがかわいらしい雰囲気がある種です。アマビリスとは「愛らしい」を意味します。白花グループの重要な交配親です。

アフロディーテ〔Phal.aphrodite〕
白花の代表品種で、フィリピンや台湾が原産。白花グループの後輩親といても有名です。

ビオラケア〔Phal.violacea〕
スマトラ、ボルネオ原産。1本の花茎から一度に咲く花は1～2輪ずつですが、夏から秋の間に次々と咲きます。また、状態がよければ数本の花茎を出します。花弁の分厚い星型の花を数輪つけます。花のフチ辺りは黄緑色で中心部分が赤紫色という、特徴のある色の花を咲かせます。ビオラケアは「スミレ色の」を意味します。中心部分がすみれ色になるので命名されたと思われます。葉の厚みはやや薄め、明緑色で表面にツヤがあります。

シレリアナ〔Phal.schilleriana〕
フィリピン原産で、淡い桃色の花を咲かせます。ピンク・赤色グループの重要な交配親です

ギガンテア〔Phal.gigantea〕
スマトラ原産で、ファレノプシスの中で最大級の種。葉一枚の長さは最大１ｍにも達してべローンと垂れ下がります。稀産（自生が少ない）種。

エクエストリス〔Phal. equestris〕
フィリピン原産で、白や淡い紅ピンクの小さな花をたくさん咲かせます。小輪多花性の交配種の親として活躍しています。

属間交配種

近縁のドリティス属と掛け合わせて作られたドリテノプシスが鉢植えで広く出回ります。1500種を超すたくさんの品種があります。花姿は、小振りながらファレノプシスとさほど変わらないタイプと、ドリティスに近く花びら尖ったタイプがあります。前者の代表種にクインビー’満天紅'、後者にパープルジェムがあります。花色は紅紫やピンク系統が多いですが、たまに白もあります。

それ以外にはアスコセントラム属と掛け合わせたアスコノプシスがあります。ファレノプシスにないオレンジ色の花を咲かせるのが特長です。


ギガンテア