多彩な葉で花もきれい、日陰に向く

ギボウシとは

ユリ科 「き」からはじまる植物 日陰でも育つ

ギボウシ
この植物の育て方
科名
ユリ (キジカクシ) 科
学名
Hosta
別名
ホスタ
原産地
東アジア
大きさ
高さ15cm~1.5m
開花期
6月~9月
難易度
★☆☆☆☆(やさしい)

こんな植物です

東アジアにおよそ20種~40種が分布する、毎年花を咲かせる多年草です。分布の中心は日本で、多くの種があります。やや湿り気のある土壌を好み、主に山野の林の中や草原、湿原などに自生します。日本では古くから観賞用に庭などに植えられていました。園芸品種ができたのは江戸時代中期から後期で、ヨーロッ パにはシーボルトらによって紹介されました。その後、アメリカにも導入されて数多くの園芸品種が作られました。葉の色や姿、大きさにさまざまなバラエ ティーがあり、園芸では葉を鑑賞するリーフプランツとして広く用いられています。

名前の由来

ギボウシはつぼみの姿が橋の柱の先端についている擬宝珠(ぎぼし)に似ているところからつ けられた名前です。海外(アメリカなど)では属名のホスタの名で呼ばれますが、日本でもこの名前で呼ばれることが多くなりました。ホスタの語源はオーストラリアの植物学者N.T. HostとJ.Host、両氏の名に由来します。以前はフンギア属に分類されており、ヨーロッパではその名残でフンギアと呼ばれることもあります。

魅力

アメリカでは非常に人気の高い植物で、アメリカホスタ協会では毎年、優れた品種に「ホスタ・オブ・ザ・イヤー」が与えられています。庭が広いのか、大型種に人気があるようです。協会というと、日本には日本ぎぼうし協会があります。

種の数に開きがあるのは、ギボウシは違う種同士で雑種を作りやすくて変種や栽培品種も非常に多く、同種とされていたものが別種に分離されたり、その逆が あったりと常に再分類が行われているからです。また、ギボウシの分類や系統分けはそれだけで1冊の本になるくらい複雑多岐です。

姿・形

地際から葉を出して、放射状に茂ります。葉は小型種で長さ3-4cm、大型種では30cmを超します。種によってさまざまな模様が入ります。梅雨時期から 夏にかけて花茎を長く伸ばして先端近くに数輪から数十輪の花を咲かせます。花は筒状で先端が膨らんで開きます。色は白や紫が多く、芳香を持つものもありま す。花は短命で1日でしぼみます。冬は葉が枯れて休眠し、春になると新芽を吹きます。ちなみに、山菜のうるいはギボウシの新芽です。


種類 (大型種)

〔〕内は学名、H.はHostaの略

オオバギボウシ 〔H.sieboldiana var. gigantea〕

ギボウシの中では最も大型の部類で、葉は長さ30cm以上になります。大きさも相まって、堂々とした姿です。葉の形は広い楕円や円形で先端が少しとがり、縦方向にくっきりとした葉脈が何本も走ります。花色は紫や白です。

トウギボウシ H. sieboldiana

オオバギボウシの園芸品種、葉は灰緑色を帯びます。

マルバタマノカンザシ 〔H. plantaginea

中国原産、昭和はじめに日本に入ってきました。花は白で芳香を放ちます。

タマノカンザシ 〔H.plantaginea var. japonica〕

中国原産、日本には江戸時代中期に入ってきました。

種類 (中型種)

スジギボウシ 〔H. undulata〕

やや細長い葉に白や黄白色のすじ模様が不規則に入ります。下部がよく広がるので、地面を追うグラウンドカバーにも向きます。花は紫がった白色です。不稔性で実をつけません。

ムラサキギボウシ 〔H. ventricosa〕

花茎を1mほど伸ばして、青みがかった紫色の花をたくさん咲かせます。花は途中で膨らんで釣鐘のような形になります。種小名のベントリコーサは「腹がふくれた」の意で、花姿に由来します。

サクハナギボウシ 〔H. clausa var. normalis〕

朝鮮半島原産、1株から複数の花茎を出し、紫色の花を咲かせます。種小名のクラウサは「閉じた」、変種名のノマリスは「正常な」の意。母種であるツボミギボウシ(H. clausa)はつぼみのまま開花しません。

種類 (小型種)

コバギボウシ 〔H. sieboldii〕

サハリン~日本の広い範囲に分布します。湿地に好んで自生します。変異が大きく、北に行くにつれて株は大型になります。葉はへら状、這うように広がるのでグラウンドカバーに適しています。

オトメギボウシ 〔H. venusta〕

韓国の済州島原産、ギボウシの中では最も小型の部類に入ります。葉の長さは5cm~10cmで鉢植え向きです。種小名のベヌスタは「愛らしい」の意。

代表的な園芸品種

サガエ 〔H. ’Sagae’〕

山形県寒河江市で発見された品種で、オオバギボウシの変異種といわれています。葉に黄色い縁取りが入ります。

フランシス・ウィリアムズ 〔H. ’Frances Williams’〕

トウギボウシから出た品種といわれています。葉の周縁部に不規則な黄色い模様が入ります。

ブンチョウコウ(文鳥香) 〔H. sieboldii 'Bunchoko'〕

江戸時代に作られたとされる、コバギボウシの園芸品種です。葉に白い縁取りが入ります。

カビタン 〔H. sieboldii ’Kabitan’〕

江戸時代に作られたとされる、コバギボウシの園芸品種、葉は黄色で縁が緑色になります。

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