ヤサシイエンゲイ

アケビに近い仲間

ムベ

ムベ
科名:アケビ科
学名:Stanutonia hexaphylla
別名:トキワアケビ ウベ
原産地:日本 朝鮮半島
樹高:つるが長く伸びる
開花期:4月-5月 果実熟期:10月

難易度バー バー バー バー バー (そだてやすい)
耐寒性バー バー バー バー バー (ふつう)
耐暑性バー バー バー バー バー (ふつう)

ムベとは

葉っぱ
葉っぱ
ムベの花

ネムノキに絡まったムベ
ネムノキに絡まったムベ

日本(東北~沖縄)から朝鮮半島南部にかけて分布する常緑性のつる性樹木です。元々は関東より南の地域に分布する暖かい地方の樹木ですが、丈夫な性質のせいか今では東北地方の一部まで分布地域が広がっているそうです。つるは長く伸びて生長すると直径8mmほどの太さになります。

4月下旬~5月にかけて萼(がく)が花弁状になった小花を葉の付け根に5輪前後固まって咲かせます。花の色は白~淡いクリーム色で中心に紅紫色の筋が入ります。花後に直径5cmほどの卵形をした果実を付け、秋に紫色に熟します。熟した果実の中にはたくさんの黒いタネとやや透き通った白色の果肉がつまっており、果肉はほのかに甘くておいしいです。ただし、果実の大きさにしてはタネが大きくて量も多いので多少食べにくいです。かたちはアケビに似ていますがムベは熟しても裂けないところが違います。果実は日持ちがよいのでつるが付いた状態で生け花の材料とされることもあります。

葉は小さな葉が集まって長い柄の付いた形(掌状複葉)をしています。この小葉の数が木が生長していくにつて3→5→7とふえていくので昔から縁起の良い樹とされています。

由来

天智天皇がこの果実を食したとき「むべなるかな(もっともなことだ)」と言ったことがそのままこの果実の名前になった。また、近江国から朝廷にムベを貢いでおり、オオニエ(大贄)→オオムペ→ムベと転訛したなど語源には諸説あります。属名のストーントニアは18世紀アイルランドの医師ストーントンの名前に由来します。

育て方

栽培カレンダー

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
開花期
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果実収穫
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剪定
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植え付け
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肥料
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日当たり・置き場所
日本地図日当たりがよく適度な湿り気のある土壌を好みますが、丈夫で日なた~日陰で育ち土質も選ばすによく育ちます。ただし、花付きや実付きを良くするためには伸長している若いつるに充分日を当てた方がよいです。

もともと暖かい地方の樹木ですが、耐寒性も多少あり適応力も高いので、東北南部まで植栽可能です。

水やり・肥料
肥料は1~2月に鶏糞などを株元に施します。

かかりやすい病気・害虫
カイガラムシやアブラムシが発生することがあります。カイガラムシは数が少ない場合はこすり落とすのがよいです。丈夫で病気はほとんどみられません。

植え付け・用土
5~6月、9月が植え付けの適期です。肥沃な土を好むので、植え付ける場所には堆肥や腐葉土を混ぜ込んでおきましょう。

土質は選びませんが、根元に直射日光の当たる場所や極端に乾燥する土壌ではよく育たず、実付きにも影響します。

ふやし方
タネまき、さし木、とり木でふやすことができます。

タネまきは果実を採取してタネを取りだしすぐにまくか、翌春3月にまきます。実が付くまで数年かかります。

さし木は3月下旬頃に前年伸びた枝を2~3節の長さで切り、葉を2/3落として土に挿します。

とり木は4月に行います。つるを地面に伏せて土を盛っておくとそこから根が出てきますので、切り離して植え付けます。また、表皮をぐるりと一定幅剥がしてそこに湿らせた水苔を巻き付けて上からビニールでくるんで乾かさない様に管理すると根が出てくるので、切り離して植え付けます。

手入れ
扱うときの注意点
非常につるがよく伸び、1年で1.5mほど伸びることもあります。近くに他の樹木がある場合、そこに絡まって放置しておくとその樹木を枯らしてしまうほど茂ることもあるので棚や支柱を用意したり、フェンスなどつるをからませる場所を確保しておきましょう。

年数を経て木が大きくなるとそれなりの重量になるので、棚仕立てにする場合は崩れない様にしっかりと組みましょう。

 

剪定
適期は5~6月で不要な枝を切って風通しと日当たりを良くすることが目的です。株元から出てくるつるや、つるの途中から出てくる芽は要らないので付け根から切り落とし、長く伸びたつるは先端を切り落としてそれ以上長く伸びない様にします。

秋に実を楽しむため花のある部分の枝は切り落とさない様に注意しましょう。間延びした枝、突出して邪魔な枝は果実の収穫後に切り戻すとよいでしょう。

 

実付きについて
一本の木でも比較的よく実を付けますが、二本あった方が実付きは良くなります。

ちなみに、木が成長して大きくなると1本の軸に7枚の小葉がでますが、小苗のうちは3枚もしくは5枚の小葉しか出ません。小葉が7枚付くようになったら開花が期待できます。木が若いうちは十分に体力がないので花が咲いても実がならないことがよくありますが、1~2年で実を付ける木に成長します。

ポイント
・日当たりがよく適湿な土壌を好む
・乾燥がひどい場所では育たない
・木が若いうちは実がつかない

実付きを良くするキーワード
日当たりの良い場所で適度な湿り気のある土壌。不要な枝を切って日当たりと通風をよくする。リン酸・カリ成分の多い肥料を与える。

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