枝を横に広げた樹形が素敵
ムクノキ
科名:ニレ科学名:Aphananthe aspera別名:ムクエノキ原産地:日本 朝鮮半島 中国 台湾 東南アジア樹高:~40m主な開花期:5月難易度 ふつう 耐寒性 ややよわい 耐暑性 ふつう |
ムクノキとは
日本(関東以南〜沖縄)、朝鮮半島、中国、台湾、東南アジアに分布する落葉樹です。雑木林や日当たりの良い丘陵、海沿いの肥沃な土地などに自生します。生長が早く、寿命も長い樹木です。齢を経た巨樹は高さ40mにもなります。神社仏閣で見られる他、公園や庭園に植栽されますが、街路樹や並木ではあまり利用されません。街中では、道路や建物を避けるように生えている大木を見ることがありますが、古くからその場所に居たものなのでしょう。
姿・形
幹はまっすぐに伸び、枝は横に広がります。安定性のある雄大な樹形になります。樹皮は灰褐色、なめらかで縦筋が入ります。老木になると樹皮は縦方向に剥がれます。
葉っぱは長さ5cm~10cm、タマゴ型で先端が尾状に細く伸びます。葉脈がくっきりと目立ち、縁はギザギザになります。枝には左右交互に付く互生です。両面に短い毛が生えており、触るとざらざらします。
春に葉を広げると同時に花を咲かせます。主な開花期は5月です。雄花は新しく伸びた枝の下部にかたまって咲き、雌花は上部の葉腋(葉柄と枝の接点)に1~2コ付きます。
果実は直径1cmほどの球形で、秋に熟して黒っぽい紫色になります。果肉は甘みがあり食べることができます。鳥が実を食べることで、タネが散布されます。一説には、鳥に食べられて排泄されたタネは、よく発芽するとも言います。ムクドリは、ムクノキの実を好んで食べるところから付いた名前です。
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用途
現在は木材としてはあまり利用されませんが、古くは建築材や器具などに用いられました。葉は漆器の木地やべっこうの研磨剤として紙やすりのように使われました。
由来
木材として利用されたところから『木工の木』、木の皮が剥けやすいので『剥ける木』など、由来は諸説ありはっきりしません。
属名のアファナンセは『目立たない花』、種小名のアスペラは『ざらざらした』の意。
育て方
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
開花期 |
剪定 |
適した場所
日当たりの良い場所なら、特に土質は選ばずによく育ちます。幼苗はある程度の日陰にも耐えます。生長が早くて枝が横に広がるので、狭い場所での植栽は向きません。庭木としては不向きです。暖地向きの樹木で耐寒性はあまりなく、植栽適地は関東より西です。
手入れ
自然樹形が美しいので、スペースがあればほぼ放任でかまいません。余計な枝をつけ根から切る、枝抜き程度でじゅうぶんです。
スペースに制限があるなら、枝を切り詰めてコンパクトに仕立てる事もできます。切り詰めてもよく芽吹いて、ばんばん小枝を伸ばします。剪定すると花つきや実付きは悪くなります。適期は落葉期の冬です。
ふやし方
タネからふやします。秋に採取した果実はタネを採りだして果肉をよく洗い流します。すぐにまくのがよいですが、できない場合は乾かさないように貯蔵しておいて、春にまきます。
病害虫
あまり見られませんが、アメリカシロヒトリの幼虫が葉を食害することがあります。
ポイント
・日当たりの良い場所が適しています
・植栽適地は関東より西
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