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Topページランの基礎知識-もくじ

1. ランの分布と生活様式 どれだけいる?どこで暮らす?

どこにどれだけいるのか

北は北緯約70度から南は南緯約55度の広い範囲に分布し、おおざっぱに南極を除く全世界に分布している言えます。北緯70度、そこはもう北極圏で白夜やオーロラが見られる地域でカナダ、アラスカ、ノルウェーなどの上を通っています。南緯55度は「世界最南端の都市」と言われているアルゼンチンのウシュアイア(南緯54度)が近いです。『北極圏から世界最南端の都市まで』その分布は本当に世界の北から南までですね。

ランの仲間は15000種~25000種あると言われていますが、正確な数字はつかめません。今挙げた数はあくまで野生種の数で、人の手で作られた園芸品種も含めると途方もない数になります。地球上の植物の1割はランだと言われています。ランは縁の近い属同士での掛け合わせが可能で、交雑して新しい属を産み出すことが可能です。未だ進化の途中-現在進行形-の上、新種発見などで今後ふえる可能性も大きく、それ故に種の把握はアバウトなのです。熱帯アメリカ、熱帯アジア、熱帯アフリカが3大分布域で多くの種が分布します。

ランの分布と種数
▲世界のランの分布と種数 Dressler (1981)に基づく

 

どこで生活するのか

その生活様式から「着生ラン」と「地生ラン」に大きく分けられます。着生ランは木の幹や枝、岩の上などに根を張り付かせて自生する種で、地生ランはあうす暗い樹林内の地中に根を下ろして生活する種です。なぜ、そんなおかしな場所で生活しているのかというと、地球上に生まれたときにはすでに条件の良い場所は他の植物に支配されていて、競争が少なくて生き残る場所といえばそこくらいしかなかったからと言われています。ランは地球上の植物進化の中でも最も遅く誕生した植物、いわば後発組なのです。 それでは次に着生ランと地生ランの違いを見ていきましょう。
着生ランは用土を用いず、木枠のバスケットやコルク板に貼り付けて栽培することも多い
ブラッシア
▲ブラッシア
ブラッシア
▲ブラッサボラ

着生ラン

パフィオペディラム
コチョウラン
主に熱帯、亜熱帯に分布し樹木や岩の上に根を張り付かせて体を固定して生活し、根は空気中に常に露出しています。樹上というのは水分も栄養も期待できない厳しい場所です。葉や茎が肥大して水分や養分を蓄えることができ、根の本体がスポンジのような層で覆われています。 また、多くの種は夜間に気孔を開いてCO2を吸収して貯蔵し、昼間は気孔を閉じて水分の蒸発を抑えています。このようなちょっと特殊な光合成を行う植物をCAM植物といいます。多くの植物は一連の光合成反応を昼間に行うのに対して、CAM植物はその作業を昼と夜に分けて行っていると理解してください。夜の光合成反応は20℃前後で最も活発になるのでCAM植物は夜間の気温が涼しい方が好きといえます。CAM植物の着生ランは葉の厚みが1mmを超す分厚いものが多いです。 カトレア、バンダ、コチョウラン、デンドロビウム、オンシジウムなどがあります。

地生ラン

パフィオペディラム
パフィオペディラム

熱帯、亜熱帯をはじめとして温帯まで広く分布します。土に根を下ろして生活します。雨期に生長して水分や栄養を蓄えて乾期に休眠するものが多いです。水分や栄養は根や茎を肥大させて蓄えられます。完全に地上部を枯らして地中にある球根の状態で休眠するものもあります。葉は幅が広くて厚みの薄いものが多いです。土中は空気中に比べて水分の確保がしやすいので着生ランに比べて根は保護する層が薄く細めです。

代表的なものにパフィオペディラムやエビネ、シュンラン、クマガイソウ、サギソウ、シンビジウム(半地生ラン)などがあります。

中にはツチアケビのように葉緑素をもたず、共生している菌から栄養をもらうものもあり、腐生ランと呼ばれます。更に、腐生ランの中には一生を土の中で過ごす(花も地中で咲く)リザンテラ・ガードネリのようなユニークなものがあります。

着生」「地生」どちらかを知る

着生ランと地生ラン、この両者は性質や形態が大きく異なります。ということは栽培の基本も自ずと異なります。ランを育てる上でそれが「着生」「地生」どちらなのかを知ることが、はじめのポイントです。
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