デンドロビウムの1種 |
カランセ |
キルトポディウム |
ランの姿・かたち どんな姿?
どんな格好か
ランは植物の進化の中でも最後に現れた後発組ですが、それまでさんざん他の植物が試行錯誤した足跡があったからなのか、非常に合理的で効率の良い形態をとります。無駄なものを省いていったらこうなった、みたいです。複雑な模様があったり、かたちが変わっていたりと見た目は複雑そうなものも多いですが、実はそうでもないのです。
ランの姿・かたちの最大の特徴はその多様性にあります。ぱっと見で、すべてに共通する特徴は見つけられませんし、言葉で簡単に説明もできません。それでもたくさんのランとつきあうようになると、はじめて見たものでも雰囲気でランだと判るようになるので不思議です。
一見複雑そうに見えるパフィオペディラム |
単茎性と複茎性
ランはその形態の違いから単茎性種と複茎性種の2種に区別することができます。単茎性種は一本の茎が葉を出しながら伸び続けます。代表的なものにバンダなどがあります。複茎性種は毎年新たなバルブ(偽球茎)を出して茎が複数立ち上がった状態になるものです。カトレアやデンドロビウム、オンシジウムなどがあります。
複茎性 |
単茎性 |
花の特長と構造
ランの花は一見豪華で複雑そうに見えますが、パーツの数をなるたけ抑えて、構造的な無駄を省いています。わかりやすい例として
1 雄しべと雌しべが合体して1つのパーツ(ずい柱)になっている。
2 花粉が塊状(花粉塊)で粉のように散らない。
などが挙げられます。
各部名称〔カトレア〕 ずい柱は唇弁の中に隠れている |
花は花弁と萼片とずい柱からなっています。花弁の内1枚は独特で目立つかたちをしており、唇弁(リップ) と呼ばれます。唇弁は花粉を運んでもらう昆虫に花や花粉の存在をアピールし、同時に着地しやすいために発達したと言われています。種によって多少の違いはありますが大まかな構造は同じです。
唇弁が3部位に分かれるコリアンテス |
花粉は葯帽(やくぼう)というキャップが付いており、その中に入っています。
○の部分が葯帽、手で触れると簡単に外れる。葯帽が外れると花は受粉が完了したと勘違いし、お役ご免とばかりに枯れ始めるので不用意な接触は避けたい。〔シンビジウム〕 |
花は左右対称、中心で縦に折りたたむとぴったり重なります。 また、つぼみが180度ぐりんと逆さにツイストして開花するのも特徴です(逆さにならずそのまま開花するものもあります)。
バルブ
バルブはランの栽培で最も多く使うであろう専門用語です。偽鱗茎、偽球茎ともいわれますが、園芸上ではたいがい「バルブ」で通ります。茎の一部が肥大したもので、水分や栄養を蓄えたいわば貯蔵タンクの役割を持っています。卵形、棒状、扁平などかたちは種によって 様々です。本年伸びた新しい新芽をリードバルブ、それ以前のものをバックバルブと呼びます。バルブをもたないランも数多くあり、共通した特徴とは言えませんが象徴的なものの一つと言えます。
そのほかの特長
花の寿命が長いものが多く、1ヶ月以上しおれずに平気で咲いているものもあります。ランは昆虫に花粉を運んでもらう「虫媒花」です。ただし、どんな昆虫でも良いわけではなく、それぞれに特定の相手(昆虫)がいます。虫にそっくりな花姿のランもありますが、これは虫を誘うための知恵なのでしょう。寿命にかかわらず受粉するか花粉が外れると花は枯れ始めます。