- 科名
- サラセニア科
- 学名
- Sarracenia
- 別名
- ヘイシソウ(瓶子草)
- 原産地
- アメリカ カナダ
- 大きさ
- 高さ10cm~1.2m
- 開花期
- 4月~5月
- 難易度
- ★★★☆☆(ふつう)
こんな植物です
カナダ南東部から北アメリカ東部、南部に8種が分布する食虫植物です。中が空洞になった捕虫葉(瓶子葉、瓶子体とも呼ばれます)という筒状の葉っぱを多数出し、そこに落ち込んだ虫が消化されます。茎が極端に短く這うように伸びるので、捕虫葉が地面に直立して並んでいるように見えます。
捕虫葉の大きさや形、色は種により様々で、小さなものでは10cm、大きなものは1mを越します。フタの部分は特にカラフルで、網目状になったり斑点模様になったり、色も変化に富んでいます。
捕虫葉の他に、剣葉と呼ばれる平べったい葉が出ることもあります。春~初夏にかけて伸びる葉が捕虫葉に、夏に伸びる葉が剣葉になりやすいです。新芽の頃から捕虫葉の形をしているわけではない、ということがわかります。
春に新芽が伸びる頃、地際から花茎を長く伸ばしてその先端に一輪の花を下向きに咲かせます。花色は緑や赤、黄色などがあります。捕虫葉のおもしろさに目が行きがちですが、たくさんの花茎を伸ばして開花した姿も素敵です。
名前の由来
サラセニアの名前は、カナダ在中フランス人医師サラザンに由来します。サラセニアを発見して標本をパリに贈った方なのだそうです。和名のヘイシソウは、捕虫葉の形がお酒などを入れる壺「瓶子(へいし)」に似ているところからの名前です。英名のピッチャー・プラント(pitcher plant)も捕虫葉を水差しに例えたものでしょう。
虫の捕らえ方
捕虫葉のフタの部分に蜜を分泌する蜜腺があります。蜜に誘われてやってきた虫は捕虫葉に留まろうとします。捕虫葉やフタには下向きの毛が生えており、滑りやすくなっています。中に落ちた虫は内部に生えた毛のせいで登ることができず、底部に溜まった消化液に沈み、分解・吸収されます。
自分で消化液を分泌するのですが、実際はバクテリアに頼っているところが多いです。というのも、消化液の中に含まれる虫を溶かす酵素は微量で、酵素を分泌する器官もあまり発達していません。虫がたくさんはいりすぎて消化不良を起こすと、消化液はアルカリ性になり、内部にバクテリアが繁殖します。そしてバクテリアにより虫が分解され、サラセニアはそれを吸収します。また、消化酵素が雨などで薄まったときもバクテリアが繁殖して、消化を助けます。
種類
〔〕内は学名、S.はSarraceniaの略
野生種は8種ですが、違う種同士が自然に掛け合わさった雑種、人の手によって作られた交配種があり、実際は非常にたくさんの種類が知られています。
アラタ〔S. alata〕
捕虫葉は細長い筒状で長さ70cmほどになります。
フラバ〔S. flava〕
捕虫葉は細長い筒状で長さ120cmに達する大型種です。和名キバナヘイシソウ。
ミノール〔S. minor〕
フタの部分が入り口に被さるように付く姿が特徴的です。
プルプレア〔S. purpurea〕
サラセニアの中でもポピュラーで繁殖力が強く、とっつきやすい種のひとつです。捕虫葉は斜め上向きに出ます。
レウコフィラ〔S. leucophylla〕
フタの部分が白く、そこに紫の網目が入る姿が美しいです。和名で、アミメヘイシソウ、シラフヘイシソウなどと呼ばれます。
プシタキナ〔S. psittacina〕
捕虫葉が斜上、横向きで放射状に付きます。フタの部分が口に被さるようになります。
ルブラ〔S. rubra〕
小型種です。変異が大きく、いくつかの亜種が知られています。
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