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球根植物の特徴
■球根とは
球根とは単純に言うと地下の部分が肥大した器官で、そこに水分や栄養をたくわえられるようになっています。さらに詳しく見ると休眠期と生育期があり、生育が困難な状態では休眠して適した環境になると生育・繁殖できます。
ここまでをまとめると、貯蔵と繁殖、休眠機能を持つ器官、それが球根ということになります。役割だけ見ると種子に近いですが、違うのは受粉で生み出されるのではなく、体の一部だということです。
ダイコンやカブのように根っこなどが肥っても休眠機能の持たない一年草や二年草は、基本的に球根とは呼ばずに多肉根と呼びます。
■球根の種類は5タイプ
「球根=根っこの肥ったもの」と考える方もおられるでしょうが一概にそうとは言えず、根っこ以外にも地下茎をはじめ、葉っぱや茎が肥大して球根になる植物もたくさんあります。身近なところで、タマネギは葉っぱ、ジャガイモは茎、ショウガは地下茎が肥大したものです。ちなみにサツマイモは根っこです。球根はどの部分が肥るかで以下の5つに分けられます。
鱗茎 ーりんけいー
短縮した茎に肥大した葉っぱや葉の一部(鱗片葉)が重なり合って球状になります。タマネギを例にするなら、「タマネギの芯」と呼ぶ部分が短縮した茎で、ペリペリ剥がれる一枚ずつが鱗片葉。さらに鱗片葉が層状になった「層状鱗茎」と、うろこ状に重なりあった「鱗状鱗茎」があります。
代表的な植物…チューリップ、アマリリス、ヒアシンス、タマネギ、ニンニク(以上、層状鱗茎)、ユリ(鱗状鱗茎)
球茎 ーきゅうけいー
短縮した茎が肥大して球状やタマゴ型になります。乾燥した葉の一部が各節に残って外側を包む薄皮になります。
代表的な植物…グラジオラス、クロッカス、フリージア、サトイモ
塊茎 ーかいけいー
短縮した茎が肥大します。外側を包む薄皮がないので球茎と区別します。
代表的な植物…シクラメン、アネモネ、球根ベゴニア、ジャガイモ
根茎 ーこんけいー
地下茎全体が肥大して棒状や塊状になります。節が目立ちそこから芽や根っこを出します。少し変わったものに、地下茎の先端にできる尾状地下茎があります。尾状地下茎は肥大した葉っぱが重なって松かさのようになります。形は棒状や尾状です。
代表的な植物…カンナ、スズラン、ジャーマンアイリス、レンコン、アキメネス(尾状地下茎)
塊根 ーかいこんー
肥大した根が塊状になります。
代表的な植物…ダリア、ラナンキュラス、サツマイモ
■生育サイクルは3パターン
球根は植え付けて、芽が出て、花が咲いて、枯れるというサイクルを繰り返します。それではいつ植えて、いつ咲いて、いつ枯れるのでしょうか。それには植える時期別に3タイプに分けることができます。順を追ってみていきましょう 。
春植え球根
春に植えると初夏から秋の間に花が咲き、晩秋前に地上部が枯れて冬には休眠期に入る生育サイクルのものを「春植球根」と言います。また、地上部が枯れたらほとんどの場合は掘り上げて保存します。要するに暖かくなると芽が出てきて、寒くなってくると休眠にはいるという日本の四季のサイクルにもっともあったタイプのものともいえます。グラジオラス・ダリア・カンナ・カラー・アマリリスなど熱帯性のものが多いです
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生育サイクル |
開花期 |
植え付け |
休眠期 生育期
夏植え球根
夏に植えると、その年の秋に花が咲き、花が咲き終わったあとから葉がでてきて、夏にはいると地上部が枯れて休眠期に入るタイプのものです。夏に植えて秋に咲く開花までのサイクルの極端に短いものを特に、「夏植え秋咲球根」とも言います。何の前触れもなくいきなり地面から花茎が伸びてきて花を咲かせて、花が枯れたあとから葉っぱがでてくる様子は少しおもしろいです。ほりあげずにそのまま植えっぱなしにするものが多いです。ネリネ・リコリス(ヒガンバナ)・コルチカム・リコリスなど耐寒性の強いものが多いです。
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生育サイクル |
開花期 |
植え付け |
休眠期 生育期
秋植え球根
チューリップなどのヨーロッパ原産のものが多く、暑さに弱いものが多いのがこのグループの特徴です。しかし、その反面寒さには強いものが多く、ある程度の低温に会わないと花が咲かない性質のものも少なくありません。休眠期は夏で、暑くなってくるにつれて地上部が枯れます。ユリ・スイセン・ヒヤシンス・チューリップ・ムスカリなど馴染深いものが多いです。
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生育サイクル |
開花期 |
植え付け |
休眠期 生育期
■球根の選び方
袋入りで市販されている球根でも、ばら売りで直にてにとってみられる球根でも十分に吟味してなるたけよい球根を選びたいものです。まず、表面に傷の付いている球根は避け、持った感じ重さのあるものを選びましょう。また、しわの寄っていない張りのあるものを選び、おしりを見て、発根部が傷んでいないかどうかも充分チェックするとよいでしょう。次のページ>>> |