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1. 草花とタネまき

タネまきの魅力

タネマキの魅力タネをまいて植物を育てる、言い換えれば「一から植物を育てる」この魅力はなんでしょうか?いろいろあるでしょうが自分は、 色々な品種の植物を育てることができることだと思っています。一度にたくさんの苗ができるので、比較的リーズナブルに花いっぱいの花壇を作ることもできます。

たとえばパンジーひとつをとってみても、様々な品種があります。夏の終わり~秋の初めに色とりどりの苗が出回りますが、それとはまた違った品種のタネが種苗会社からたくさん出ます。苗では今ひとつピンと来なかった方も、タネで市販されている品種にお気に入りが見つかるかもしれません。 苗からパンジーを育てて楽しかったから、次のシーズンはちょっと違った品種をタネから育ててみる、というのもありでしょう。

手間はかかるが

タネから育てることは苗からより客観的に見て手間がかかります。いつまで経っても発芽しない、発芽後に枯れる、思うように育たない…、最終的に花を見られないことだってあります。逆に言うと、発芽したとき、うまく育ったとき、そしてつぼみが付いて花が咲いてくれたときなど、うまく育ったときはちょっとした感動があり、それが楽しみにつながるとも思います。

興味がある、自分にもできそう、楽しそうと思った方は是非やってみてほしいと思います。

一・二年草について

ここで、一・二年草という草花の性質について少し説明します。店頭でよく見かける花のタネの多くが一・二年草なので、それを知っておいてほしいからです。植物学と園芸では言葉の持つ意味合いが少し異なってくるのですが、ここでは園芸の観点で説明します。

一年草

まず、一年草(一年生植物)と二年草(二年生植物)、この2つをあわせて一・二年草と呼びます。一年草とはタネをまいて花が咲いてタネを結び、枯れるまでのサイクルが1年以内の草花をいいます。二年草は同様に枯れるまでのサイクルが1年以上~2年以内の草花です。花が咲いてタネを結ぶ行為を毎年、もしくは一定のサイクルで何回も行う草花は多年草(多年生植物)もしくは宿根草(しゅっこんそう)と呼びます。

一・二年草が多いわけと園芸的一年草

なぜ、市販の花のタネには一・二年草が多いのでしょうか?それは芽が出て枯れるまでの生育サイクル(一生)が短くて栽培管理しやすいことなどが挙げられるでしょう。タネをまいてから花が咲くまで何年もかかる植物は家庭園芸では不向きと言えます。

自生地では多年草でも、日本では気候が合わずに(暑さや寒さに耐えられず)1~2年のサイクルで枯れる植物もあります。それらは園芸的一年草(あるいは二年草)と呼びます。定型文のような表現で「本来多年草だけど、園芸では一年草扱い」なんて言ったりします。気候の条件が合えば根付いて毎年花を咲かせます。

春まきと秋まきの基本

春まきと秋まき

一年草をタネまき時期で分けると『春まき』と『秋まき』に分けられます。また、二年草は春にまくのが基本となります。それぞれを詳しく見ていきましょう。

春まき一年草

春にタネをまくと、その年の夏~秋に花が咲いて、冬に枯れるものを「春まき一年草」と呼びます。熱帯・亜熱帯原産で、発芽後は気温の上昇とともに一気に生長して花を咲かせます。発芽に高温が必要な「高温性発芽種子」が多いのも特長です。基本的に寒さに弱いです。

アサガオ、ヒマワリ、ペチュニア、マリーゴールド、マツバボタンなどがあります。

秋まき一年草

秋にタネをまくと、春に花を咲かせ、夏前に枯れるものを「秋まき一年草」と呼びます。主な原産地は地中海性気候の地域で、高温多湿に弱いものが多いです。冬の低温下でもゆるやかに生長し、春の気温上昇とともに一気に大きくなって花を咲かせます。発芽後に一定の低温に当たらないと花が咲かないものもあります。

パンジー、ビオラ、ロベリア、キンギョソウ、デージーなどがあります。改良によってできたパンジーやビオラには、晩夏にタネをまいて秋から翌春まで花を咲かせる品種もあります。

二年草

二年草

春にタネをまくと、翌年の春以降に花を咲かせてその後枯れるタイプの草花です。秋にタネをまくと、翌々年の春以降に花を咲かせます。これは「株がある程度の大きさに生長しないと咲かない」「ある程度の大きさに成長した後、寒さに当たらないと咲かない」などの開花条件を持つためです。

寒冷地での扱い

一般的に秋まき一年草として扱われる草花でも、寒冷地では春にタネをまくことがあります。この場合、花は夏頃に咲きます。普通の平地でこれをやると、暑さで花が咲く前に枯れることが多いです。夏に冷涼な寒冷地だからこそ可能な方法です。

なぜ、春まきと秋まきがあるのか

なぜタネをまく際、草花によって「春まき」「秋まき」を区別しなければならないのでしょうか。夏や冬は極端に気温が低かったり高かったりしますが、春や秋は同じような気候で、気温も大差ないように感じます。どちらの季節でも草花は普通に芽を出すのではなでしょうか?

春まき一年草は「寒さに弱いものが多い」、秋まき一年草は「暑さに弱いものが多い」と説明しましたが、それがポイントです。要するに発芽した「その後に生長できるかどうか」が重要になります。寒さに弱い植物を秋にまいて発芽しても冬に枯れてしまいます。また暑さに弱い植物は春に播いても暑さで十分育たないうちに枯れる恐れがあります。その植物のもつ生育サイクルと大まかな季節の変化(気温など)が合っていることが大切です。ですから、春まき・秋まきは「春(秋)にタネ播いた方が元気に育つ草花」とも言い換えられます。

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