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Topページ草花のタネまき基礎知識

4. タネをまく場所

どこにどうやってまくか?

どうやってまくかタネを入手した次は、タネをまく「場所」について考えたいと思います。まく場所の違いで「直まき」と「床まき」の2つの方法があります。基本的な違いはタネをまいて発芽した後、植え替えしないか(=直まき)、植え替えする(=床まき)かです。

草花は床まきが主流で、直まきは余りしません。花壇や鉢に配置よく植えるためには直まきは向いていないからです。直接タネを花壇にまいて、すべてがきれいに発芽すれば良いですが、発芽しなかった場所はその後もずっとぽっかりと抜けた状態になってしまいます。

また、市販のタネは1袋に入っているタネの数が往々にして少ないです。発芽しないことも考えて余計にまかなくてはいけない直まきは、不経済です。少ないタネからできるだけ多くの苗を育てるためにも、床まきが適していると言えます。タネがたくさんはいっていて、間引きならが収穫できる野菜は畑やプランターに直まきすることが多いです

ここでは、「直まき」「床まき」の両者の違いを説明します。

直まき

直まきは畑や花壇などに直接タネをまくことです。発芽して枯れる(もしくは収穫する)まで、植え替えずに栽培します。プランターや鉢にまいても、植え替えを行わずに栽培したなら直まきになります。「タネの粒が大きくて扱いやすい」「植え替えしにくい」植物は直まきが適しています。1つずつ解説します。

タネの粒が大きくて扱いやすい

粒が大きいと言っても特に基準はありません。とりあえず、指で1つずつつまめる程度の大きさなら大きいと判断して良いでしょう。
直まきは発芽したら一生その場所で育てるので、移動(植え替え)させることはありません。タネが細かい場合、均等にまいた場合でも、発芽した苗同士がくっつき合ったり、離れた場所に発芽してスペースの無駄になることがあります。
タネが大きいと、数粒ずつ等間隔にまいたり(点まき)、一列になるようにまく(条まき)ことができます。細かいタネだとまいてしまうと土に同化したようになって見えなくなるので、まいた位置が把握しにくく、つまんで移動させることもできません。まく際に、そのような調節をしやすいことが、いわゆる「扱いやすい」と言うことです。

植え替えしにくい

どうやってまくか太い根が地中を深く伸び、枝分かれしない性質のことを「直根性(ちょくこんせい)」と言います。直根性の植物は、根が折れたり傷んでも、新たな根が出てきません。

新たな根が出ないと言うことは、植物が水や栄養を根から十分吸収できないと言うことですから、元気に育たなくなります。

代表的な直根性の植物にダイコンやゴボウ、ニンジンなどがあります。例えば土の中でダイコンの根が途中でぽっきり折れてしまうと、それ以上伸びませんし、ダイコンの形が元通りになることもありません。ダイコンやゴボウの大きな苗が基本的に出回らないのは、「植え替えても根付きにくい=直根性」だからです。

このような性質だと、根を傷めるリスクの高くなる植え替えは困難です。なら、最初から植え替える必要がないよう、直まきすれば良いのです。すべてに当てはまるわけではありませんが、もしタネ袋の説明に直根性と書いてあり、タネの量も確保できるなら、直まきも考えてみましょう。

床まき

床まき床まきは、まいたタネがある程度の大きさになったら、他の所に植え替えるやりかたです。床とは苗床(なえどこ)のことで、いわばタネをまくベッドや布団です。苗床は育苗箱をはじめビニールポットや植木鉢など、タネをまく環境が整っていれば容器は選びません。底に排水穴を空けたイチゴパックでも充分です。そこに土を敷いてタネをまくのが基本となります。

おおまかな流れとしてタネまき→育苗→定植となります。育苗とは発芽してから定植するまでの間、苗を育てる期間を言います。定植とは畑や鉢に植物を根付かせることで、最終的な植え替えとも言えます。発芽して育苗し、ある程度の大きさに育ったら定植することもあれば、育苗途中に他の場所にいったん植え替えて、さらに苗が生長してから定植することもあります。いったん植え替えることを移植とか仮植えと言います。

冒頭に草花は床まきのほうが適している理由を述べましたが、それ以外にも「タネが細かい」「発芽まで日数がかかる」植物は床まきが適しています。

タネが細かい

粉のように細かいタネは、見た目の量は少しでも数はたくさんです。そのようなタネは一粒ずつ間隔を置いてまくのも難しく、広い範囲の直まきにも適しません。床まきして、発芽して苗を作ってから植え替えた方が、ロスが少なくて済みます。

発芽まで日数がかかる

一般的な草花にはさほどないですが、植物によっては発芽まで1ヶ月近くかかるタネもあります。タネは発芽するまで乾かしてはいけないので、直まきすると乾かさないよう水やりする管理が大変です。床まきなら容器の中だけ乾かさないようにすれば良いので、管理しやすいです。

床まきのメリット

ここまでみると、床まきは手間がかかる割に、あまりメリットがない様に思われます。一番のメリットは、簡単に言うと苗を用意できることです。苗を用意できるとはどういうことでしょうか?それを見ていきましょう。

まき時を逃さない

タネにはまき時があります。まき時に花壇や畑のスペースが空いていればいいですが、そうではないケースも多いです。そのような場合、あらかじめ床まきで苗を作っておけば、入れ替えもスムーズに行きます。また、元気の育った苗を選んで植えることもできるので、場所によって生長に差が出てアンバランスになることも少ないです。

根がしっかりと作れる

根がしっかり作れる根は障害物に当たると枝分かれしていく性質があります。小さめの鉢に移植すると、根がある程度伸びたとき、鉢にぶつかります。そうするとそこから細かい根を出し、鉢内でたくさんの根が張ります。たくさん根の張った株は植え替え後もすぐ水や栄養を吸収し、早く根付きやすくなります。手間はかかりますが、植物によっては直まきよりこちらの方が早く育つことも多いです。根がしっかり作られていれば、その後の生長が良いと言うことです。

 

次ページ以降は床まきの具体的な方法を紹介します。

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