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昆虫を誘う完成されたシステム

コリアンテス

コリアンテス
コリアンテス・レウココリス
科名:ラン科
学名:Coryanthes
原産地:南アメリカ
草丈:30cm-50cm
主な開花期:不定期 (夏~冬が多い)

コリアンテスとは

コリアンテスの花南アメリカの熱帯地方を中心に20種ほどが知られるランの仲間です。近縁属にスタンホペアゴンゴラがあります。

ランは蜜や香り、擬態などを駆使して昆虫を巧妙に誘引するものが多いですが、その中でも完成された一つのシステムをもつのが、ここで紹介するコリアンテスです。コリアンテスはギリシア語で「ヘルメットの花」と言う意味で、花姿に由来します。これも花姿からですが、バケツランの別名があります。

花茎は株元から出て30cm~40cmにのび、その先に径10cm-12cmの花を1~数輪付けます。花の形は色々な意味でインパクトがありますが、花色はベージュや白に赤褐色の斑点がびっしり入ったりとやや地味めで、蝋細工のような質感と厚みがあります。開花期は不定期で、夏に咲く種もあれば、冬に咲くものもあります。特徴的なバケツ状部分は、他のランで言う唇弁(リップ)になります正確に言うと、その上につながってる玉状の部分まで含めてリップで、上唇、中唇、下唇に分かれます。花は臭い(匂い?)を放つものが多いです。

花の寿命は2~3日程度と、ランの中では非常に短命です。日本でも植物園などで見ることができますが、後方に大きく張り出した花びら(側がく片)までキレイな状態のものは中々見られません。

株元は紡錘形に肥大して球根のよう(’バルブ’と言います)になり、その先端に2枚の葉を付けます。バルブは密生して大きな株になります。自生地では樹木などに根を張り付かせて生育し、株元にはアリが巣を作ることでも知られています。コリアンテスはアリに花の蜜を提供し、アリの巣や排泄物はコリアンテスが生長するための水分や肥料になっています。

昆虫を誘うシステム

この花を訪れるのは主に雄ハチです。花の表面には雌を惹きつける香り成分の含まれたろうが付います。雄ハチはこれ足でをせっせとかき集めます。

花の上のほうに水のようなものをぽたりぽたりと分泌する腺が2カ所あります。落ちた液は下にあるバケツ状にふくらんだ部分に溜まります。花は滑りやすくなっており、夢中で香り成分を集めている雄ハチはつるりと足を滑らせて、分泌液の溜まったバケツ部分に落ちてしまいます。

落ちてしまうと羽が濡れてしまい、上から飛んで脱出することができなくなります。しかし、底にはハチがギリギリ通り抜けられる通路が一カ所だけ用意されています。そして、ハチがその通路を通ると背中に花粉がくっつきます。通路がギリギリ狭いというのがミソで、密着することでより確実に花粉がつきやすくなります。広すぎると花粉がつかないし、狭いとそもそもハチが脱出できずに受粉ができません。

花粉をしょった蜂が違う花に行って同様の行動をとると、今度は背中の花粉が雌しべに当たる部分にくっついて受粉されます。

種類

花の寿命が短い上に園芸でも一般的なランではありませんが、植物園でときおりで出会うことがあります。以下の3種が比較的普及しているのではないかと思います。

〔〕内は学名、Crths.はCoryanthesの略

マクランタ〔Crths. macrantha〕
ベネズエラ、ギアナ、コロンビア、ペルーに分布します。花色は黄色で赤褐色の斑点が入ります。

スペキオサ〔Crths. speciosa〕
中南米に広く分布します。花は緑黄色や黄褐色で赤紫色の細かい斑点が密に入ります。

レウココリス〔Crhts. leucocorys〕

エクアドル南部~ペルー北部に分布します。

栽培メモ

性質は近縁種のスタンホペアに準じます。

夏は50%~60%、春秋は30%の遮光を行います。生育期は風通しの良い場所に吊しておくと機嫌が良いです。木枠バスケットなど通気性の良い鉢に植えます。スタンホペアより寒さは少し苦手で、冬越しは13℃~15℃を目安にします。

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