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花壇や鉢植えの定番草花

ゼラニウム

ゼラニウム
科名:フウロソウ科
学名:Pelargonium
別名:テンジクアオイ など
原産地:主に南アフリカ
草丈:20cm~70cm
主な開花期:4月-11月
栽培難易度:バー バー バー バー バー
(そだてやすい)

くわしい育て方

〔〕内は学名、P.はPelargoniumの略

ゼラニウムとは

ゼラニウムは南アフリカを中心に熱帯アフリカ、シリア、オーストラリアなどの広い範囲に約280種が分布します。花後に枯れる一年草、毎年咲く多年草、低木など様々な種類があります。

ゼラニウム

最初はゼラニウム(ゲラニウム)属に分類されていましたが、後にこの属はゼラニウム属とペラルゴニウム属に分離されました。そして、園芸ではペラルゴニウム属に分離された方が古くから呼び慣れていた旧属名の「ゼラニウム」で通っています。分離される前からすでに園芸植物として広く普及していたからなのかもしれません。一方、ゼラニウム属に残った方は園芸ではゼラニウムと呼ばれることはありません。

ちなみに現属名のペラルゴニウムはギリシア語のペラルゴス(こうのとり)を基とします。由来は諸説ありはっきりした理由はわかりません。一つ挙げると、果実の形がコウノトリのくちばしに似ているから、といわれています。旧属名でもあるゼラニウムはギリシア語のゼラノス(鶴)から来ており、果実の形を鶴のくちばしに見立てたからと言われています。

種類

ゼラニウムには大きく分けていくつかのグループに分けられます。親となっている野生種や特長を基準として分類しています。ハーブや香料として扱われるセンテッド・ゼラニウム系はやや毛色が違い、園芸では別物として扱うことが多いです。

1.ゼラニウム系(ゾナーレタイプ)

単にゼラニウムというとこのグループを指すのが一般的です。品種も多く園芸では最も古くから親しまれています。大元となった野生種からゾナーレタイプとも呼ばれます。ゼラニウム系には非常に多くの系統があります。その中でも、代表的なものを見ていきましょう。

■最もポピュラーなホルトルム・タイプ
南アフリカの野生種、ゾナーレ〔P. zonale〕(和名:モンテンジクアオイ)とインクイナンス〔P. inquinans〕(和名:テンジクアオイ)、それ2種を掛け合わせてつくられたのが、ホルトルム〔P. ×hortorum〕です。

ホルトルムは18世紀にイギリスで産み出され、次いでオランダやフランス、20世紀に入ってドイツで盛んに品種改良が行われ、戦後にはアメリカで、四季咲き性やタネから育てられる品種が作出されました。

花は一重、八重などがあり、色は赤、紅、淡紅、ピンク、サーモンピンク、白などがあります。葉は丸っこく、馬のひづめ型の黒っぽい斑紋がつきます。茎は多肉質で太く、葉のつけ根から花茎を伸ばして先端に数十輪の花をボール状にまとめて咲かせます。茎葉には金属同士がこすれたときのような?、独特の臭気があります。数年経過すると低木状に育ち、茎はごつごつとした木の表面のようになります。

■日本でも改良されていた斑入り葉・タイプ

葉が様々な色や模様に彩られるグループで、その変化は花以上に多彩でカラフルです。19世紀イギリス、ビクトリア朝の頃に確立されました。日本でも昭和初期、盛んに改良されたグループです。

■ユニークな変わり咲き・タイプ
ユニークな花姿のものを指すグループで、いくつかの種類があります。
バラ咲き…花びらが幾重にも重なり、バラのような花姿名になります。
カクタス咲き…花びらが筒状に丸まって細くなって先端がとがります。
カーネーション咲き…花びらのフチが細かく切れ込みます。
チューリップ咲き…つぼみから先端が少し開いた状態が満開で平開しない。

■モミジ葉のようなステラ・タイプ

花びらは幅が狭く、フチにゆるくギザギザが入るものが多いです。葉っぱは切れ込んでモミジのようになり、色彩の美しい品種もたくさんあります。ステラに似たものにフォルモスム・タイプがあります。

2.ペラルゴニウム系

ペラルゴニウム系野生種のグランディルフロラム〔P. grandiflorum〕、ククルラーツム〔P. cucullatum〕、コルディフォリウム〔P. cordifolium〕などを掛け合わせてできた交雑種です。これらの交雑種を総称してドメスティクム〔P. domesticum〕やグランディフロルム・ハイブリット〔P. grandiflorum hybrids〕という種名がつけれていますが、園芸ではペラルゴニウムという通称で呼んでいます。

葉は深く切れ込みが入りフチにギザギザがあります。色は鮮やかなグリーンで、表面には毛が生えます。花は大きくて美しく、ブロッチ(目の様な模様)が大きく入るものが多いです。花色は赤、紫、サーモンピンク、白などがあります。主な開花期は春~初夏です。

3.ツタバゼラニウム系 ツタバゼラニウム系 

南アフリカ原産のペルターツム〔P. peltatum〕を中心とした交雑種を指し、アイビーゼラニウムとも呼ばれます。葉は星形で小さく肉厚、表面には光沢があります。茎は細長く這うように伸びていくので、吊り鉢などに植えて鑑賞します。四季咲き性で花びらはやや幅が狭いです。花色は赤、紅紫、ピンク、サーモンピンク、白などがあります。

4.エンゼル系

小輪で、最盛期は株いっぱいに花を咲かせます。花びらには丸みがあって、濃色のブロッチ(目)が入り遠目で見るとパンジーのように見えるものが多いです。

5.センテッド・ゼラニウム系

花や葉に独特の芳香をもつグループです。ポプリやお茶などに利用されハーブとして扱われます。日本でもよく栽培されているものに、カピタツム〔P. capitatum〕(ローズ・ゼラニウム)やクリスプム〔P. crispum〕(レモンゼラニウム)があります。蚊連草の商品名で出回る種もあります。ヨーロッパでは香料を採る目的で広く栽培される、いわば香料用ゼラニウムです。種によって様々な香りがありおもしろく、通称は「香り+ゼラニウム」のものが多いです(アップル・ゼラニウム、シナモン・ゼラニウムなど)。花も小さいながら美しいものが多いです。

日本での歴史

日本には江戸時代の末にゼラニウム系のゾナーレ種が入って来たのがはじめとされています。ゾナーレ種は葉に模様が入って美しいものがあり、大正末から本格的な改良が始まりました。主に様々な色彩の葉を鑑賞するのが目的で、改良もその方向で進んでいったようです。 五色葉などの非常にカラフルな葉もあり、昭和初期には珍品が高値で取引されたそうです。様々な品種を評した「番付表」も作られたそうです。現在は多くの品種が失われたと言われていますが、100種ほどが細々と保護、保存されているそうです。黒雲竜系、紫雲竜系、京都系などの系統があります。

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