梅雨の曇天に生える爽やかなブルー

アガパンサスとは

ユリ科 「あ」からはじまる植物

アガパンサス
この植物の育て方
科名
ユリ(ヒガンバナ)科
学名
Agapanthus
別名
ムラサキクンシラン
原産地
南アフリカ
大きさ
高さ70cm~1.5m
開花期
6月~9月
難易度
★☆☆☆☆(やさしい)

こんな植物です

南アフリカに10~20種が知られる、毎年花を咲かせる多年草です。アガパンツスと呼ぶこともありますが、単に属名アルファベット表記「Agapanthus」の読み方違いです。園芸品種は300種以上あり、開花時期や草丈などのバラティーに富んでいます。

冬でも葉が枯れない常緑種と、枯れて休眠する落葉種の2タイプがあります。また、その2つの中をとった性質の種もあり、それらは中間タイプと呼ばれます。地中には茎が肥大して球根のようになった根茎があります。多肉質で水分のたっぷり含んだ太い根をもっています。

地際から光沢のある細長い葉を何枚も出します。その間から花茎を長く伸ばし、先端に数十輪の花を放射状に咲かせます。開花時期は種によって若干異なりますが、梅雨時期を中心として早いものでは初夏、遅いものは夏~秋です。

花色は紫、青紫、白などがあります。紫や青紫色は品種によって濃淡の違いがあり、それなりに色彩のバラエティーはあります。大株では花茎を何本も伸ばし、満開時は賑やかです。

花の形は先端の大きく開いたラッパ型で横向きに咲くものが多いですが、下向きや上向きに花が開くものもあります。草丈は30cmくらいのコンパクトなものから1mを越す大型種まであります。

ユリ科の植物とされていますが、分類体系によってはユリ科から分離されたネギ科に分類されたり、さらにさらにそこから独立したムラサキクンシラン(アガパンサス)科とすることも

あります。分類的にはあやふやな点の多い植物です(いちばん新しい分類ではヒガンバナ科)。

名前の由来

和名は「ムラサキクンシラン(紫君子蘭)」と言いますが、この名前で呼ばれることはまずありません。クンシランは縁もゆかりもない別属の植物で、外見の特徴から付けられた和名のようです。クンシランに姿が似て紫色の花を咲かせるという意味でしょう。派手さはないですが、曇天の梅雨空に冴えた色を演出してくれます 。属名でもあるアガパンサスはギリシア語のアガベ(愛)とアンサス(花)の2語からなり、「愛の花」という意味です。

種類

〔〕内は学名、A.はAgapanthusの略

幅広く栽培されているのは、プラエコクス・オリエンタリスの園芸品種などです。種ごとの区分があいまいなところもあり、混同されているものも多いです。

アフリカヌス〔A. africanus〕

常緑性で草丈は60cmほどになります。日本には明治時代に入ってきました。1本の花茎から20~30輪の花を咲かせます。日本で最もよく見られる(栽培されている)種のひとつとされますが、よくわからない。

プラエコクス〔A. praecox〕 

姿形の変異の幅が広くバラエティーに富んだ亜種が見られます。

プラエコクス・プラエコクス〔subs. praecox〕

南アフリカのケープ地方南部原産で、プラエコクスの基準となる亜種です。花茎は1mほどに伸びます

プラエコクス・ミニムス〔subs. minimus〕

ケープ南東部原産、草丈60cm程度で基準亜種より小型です。

プラエコクス・オリエンタリス〔subs. orientalis〕

ケープ東部原産で草丈は60cm~1.5m、多花性で1本の花茎から100輪以上咲くこともあります。つぼみのまま開かないユニークな変種プローレフレノ〔var. florepleno〕があります。この亜種を元として多くの園芸品種が作られました。園芸品種のバラエティー豊富で、花色は白、淡~濃紫、淡~濃青などがありま、草丈も低いもの~高いものまであります。

イナペルツス〔A. inapertus〕 

花は筒状で先端が少し開きます。つぼみの状態では上を向きますが、開くときは下向きになります。花色は淡青や白があります。


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