サカキに似てサカキに非ず
ヒサカキ
科名:ツバキ(ペンタフィラクス)科学名:Eurya japonica原産地:日本 朝鮮半島 中国 台湾草丈:3m-10m主な開花期:2月-4月難易度 (そだてやすい)
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ヒサカキとは
本州の東北以南~沖縄、朝鮮半島、中国、台湾など東アジアに分布する常緑性の樹木です。自生のものでは10mの高さに達しますが生長は遅く、植栽されているものはたいがい2-3mにおさまっています。
葉はだ円形で長さ5cm前後、フチにぎざぎざがあります。表面は濃い緑色で光沢があり裏面は薄い緑色、やや厚みがあり触った感じ堅めでしっかりとしています。
花の咲く時期は早春から春で葉の付け根から5mm前後の丸い壺形の花を下向きにびっしりと咲かせます。色は白、ベージュ、薄紫など色幅があります。花は ラーメンコショーやインスタントラーメンの粉末スープのような、ややスパイシーな感じの不思議な香りを放ちます。春先にこのような匂いをかぐことがあれば、それはヒサカキかその仲間がどこかで開花しているのかもしれません。
花には雄花(雄しべをもっており花粉を出す)、雌花(雌しべをもっており受粉して実を作る)、両性花(雄しべと雌しべの両方をもっている)の3種類があり、雄花は雌花に比べるとやや大きいです。また、両性花の中には雄しべや雌しべの機能が不完全なも のも見られます。
花後に径5mmほどの丸い果実を作ります。10月頃に熟して黒紫色になり、中には細かいタネがたくさん入っています。
由来・用途
サカキみたいだがサカキに非(あら)ず→非サカキが由来と言われています。また、サカキより小振りという意味で「姫サカキ」→ヒサカキという説もあります。また、学名のエウリアはギリシア語で、「広い」を意味し花びらやがくの形にちなみます。
名前は、日陰に強く、生長もゆっくりなので庭木や生垣に利用されます。また、枝葉がサカキの代用品として神事に用いられます。仲間のハマヒサカキは汎用性が非常に高く、グラウンドカバーや花壇の縁取り、公共の場などに広く利用されます。
ハマヒサカキのヒサカキのぱっと見の違い
ハマヒサカキは葉の先端が丸くなるのに対して、ヒサカキは先端がやや尖ります。葉の表面はハマヒサカキのほうがツヤツヤしています。
種類・仲間
〔〕内は学名 E . はEuryaの略。ハマヒサカキ |
ハマヒサカキ〔E . emarginata〕
暖かい地方の海岸などに多く自生します。ヒサカキよりやや小型で庭木や生垣のほか、中央分離帯の植え込みなど公共の場での利用も見られます。また、塩害に強いので防潮の生垣にも用いられます。変種に葉が小さなヒメハマヒサカキがあります。
ヒメヒサカキ〔E . yakushimensis〕
屋久島固有の種で葉が小さいのが特長です。
そのほか、園芸的に栽培されているものに黄色や白の模様が入るフイリヒサカキ、葉が細かく密に付き鉢物として利用されるツゲバヒサカキなどがあります。