- 科名
- クワ科
- 学名
- Ficus carica
- 別名
- 無花果[漢字表記]
- 原産地
- 西アジア~アラビア半島南部
- 大きさ
- 高さ3m~6m
- 収穫期
- 6月~11月
- 難易度
- ★★★☆☆(ふつう)
こんな植物です
イチジクは西アジア~アラビア半島南部原産の落葉樹で、樹高は3m~6mになります。果樹として広く栽培されています。イチジクの仲間(フィクス属)は世界の熱帯を中心に700種~800種が知られています。観葉植物のベンジャミンやゴムノキ、ガジュマルなどもイチジクの仲間です。
葉っぱは枝に交互に付く互生です。掌状に大きく3~5つに切れ込みますが、切れ方は浅かったり深かったりと、品種により形は異なります。長さは20cm~40cmと大きく、厚みがあります。聖書において、禁断の果実を食べたアダムとイブはイチジクの葉っぱで体を隠したとされています。
枝、根、葉、果実には乳管細胞があり、切ったり傷つけたりすると、乳白色の液体を出します。
名前の由来
イチジクの名前はペルシア語のアンジールを音訳した漢名『映日生(インジエクオ)』が訛ったもの、1日(あるいは1ヶ月)で熟すからなど諸説あります。
花と果実
無数の花が果実(花のう)の内部にびっしり咲きます。漢字では『無花果』と書きますが、見えないだけでちゃんと花はあります。雄花と雌花がありますが、栽培品種は雌花のみを持つものが多いです。
おしりの部分に、内部に通じる穴(目)が開いており、イチジクコバチが侵入して受粉を助けて果実が大きくなります。ちなみに日本で栽培されている品種の大半は、受粉しなくても果実が大きくなる単為結果性【たんいけっかせい】です。
花後は内部に無数の痩果【そうか】ができ、果実(花のう→果のう)となります。ひとつの果実に見えるものは、たくさんの果実が集まった集合体です。私たちが通常食べている部分は花床と花軸が肉厚に肥大したものです。果実は熟すと黒紫色になりますが、品種によっては黄色、緑色、黒色などになります。熟してからの食べ頃が短い果物です。自家栽培で楽しく育てて採れたてベストな状態を是非。
栽培の歴史と品種
果樹としての歴史は非常に古く、古代ギリシアではすでに品種改良がされていました。
日本には中国経由で江戸時代の寛永年間(1624~1644年)に入ってきました。果樹として今日のように親しまれるようになったのは、明治時代末にアメリカから多くの品種が導入されてからです。その中でも『桝井ドーフィン』は日本にイチジクが定着するきっかけとなったグレートな品種で、今でも広く栽培されています。
主な系統
大きく4つの系統があり、それぞれに特長と様々な品種があります。
カプリ系
アジア西南部原産で、栽培品種の祖先型とされています。自家受粉で果実が大きくなります。雄花と雌花があります。
スミルナ系
小アジアのスミルナ地方で栽培されていました。ドライフラワーに最も適した系統で、実が大きくなるためにはカプリ系の受粉が必要です。雌花のみ。
普通系
受粉せずに果実が大きくなる単為結果の品種が多い。日本で栽培されているのは、ほとんどがこの系統です。雌花のみ。
サンペドロ系
1期目の果実は単為結果で、2期目の果実はスミルナ系の受粉が必要です。雌花のみ。
主な品種
6月~7月に収穫する『夏果』と8月~11月に収穫する『秋果』があり、品種によって収穫できる時期に違いがあります。
桝井ドーフィン
夏秋兼用種、日本では営利目的で広く栽培されている品種です。果実は大きい。
カドタ
夏秋兼用種、果実は小ぶりで果皮は緑黄色や琥珀色。ドライフルーツに適する。
ブラウンターキー
夏秋兼用種、果実は中くらい、樹形がコンパクト。ヨーロッパで一般的な品種。果皮は暗褐色。
セレスト
秋果専用で、果実は小ぶり。果皮は琥珀色。味が良い。
ネグロ・ラルゴ
秋果専用で果実は中くらい。果皮は黒色で樹形はコンパクト。味が良い。
ホウライシ【蓬莱柿】
秋果専用種。日本では最も古くからある品種で、在来種とも呼ばれます。
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