- 科名
- ナデシコ科
- 学名
- Gypsophila
- 別名
- ハナイトナデシコ ムレナデシコ
- 原産地
- アジア ヨーロッパ
- 大きさ
- 20cm~1.2m
- 開花期
- 5月~8月
- 難易度
- ★★★☆☆(ふつう)
こんな植物です
〔〕内は学名、G.はGypsophilaの略
およそ125種がアジア、ヨーロッパの広い地域に分布します。多くは毎年花を咲かせる多年性ですが、花後に枯れる一年性、低木状になる種もあります。園芸ではエレガンス種〔G. elegans〕やパニクラタ種〔G. paniculata〕がよく栽培されています(それぞれの種については後述します)。さほど多くはありませんが、小ぶりで山野草のように鉢植えで栽培されるものもあります。
名前の由来
細かく枝分かれして白い小花を無数に咲かせ、その姿が春がすみのようなのでカスミソウの名前が付けられました。学名のジプソフィラはギリシア語のジプソス(石灰・石膏)とフィロス(愛する)の2語からなります。これはいくつかの種が石灰質の土地に自生するところに由来します。石灰質を好む=アルカリ土壌を好むのだと思いますが、たしかに園芸で栽培する種も弱アルカリ性の土でよく育ちます。
エレガンス種
原産地はウクライナ、コーカサス、イランなどで、花後に枯れる一年草です。エレガンスは「優美な」の意です。ふつう、「カスミソウ」というと本種を指し、英語でもコモン・ジプソフィラと言います。しかし現在では、切り花での需要の多いパニクラタ種(後述)にその名前を譲っているような感があります。日本には大正元年頃に入って来たとされています。ハナイトナデシコ、ムレナデシコ(群撫子)などの別名があります。
草丈は20cm~50cmで茎は直立して細かく枝分かれし、1cm前後の白い小花が株を覆うくらいに咲きます。秋にタネをまくと翌春に見頃となります。以下のような変種があります。
アルバ・グランディフロラ〔var. alba-grandiflora〕
白花巨大輪種です。
ベニバナカスミソウ〔var. carninea〕
小輪で暗い紅色の花を咲かせます。花の軸部分からねばねばした粘液を出します。
ロゼア〔var. rosea〕
花径5mmほどの極小輪種でバラ色の花を咲かせます。
コペントガーデン・マーケット〔'Covenr Garden Market'〕
代表的な園芸品種で、白花大輪の大型種で草丈は1mに達します。通所のカスミソウは花びら5枚ですがこの品種は7~8枚あり、ボリュームがあります。さらに非常にたくさん咲きます。
パニクラタ種
カスミソウと区別するために一般にシュッコンカスミソウの名前で通っています。シュッコン(宿根)とは休眠期を根と芽の状態で越す草花のことです。切り花でカスミソウというと言うと、たいがいがこちらの方です。パニクラタは「円錐花序の」という意味で、花の付き方に由来します。
草丈は1m~1.2m茎の断面は四角です。細かく枝分かれして先端の方の茎は針金のように細く繊細です。主な開花期は初夏~夏です。非常に小さな一重の白花を無数に咲かせて株を多う姿はふんわりとした霞かまぼろしかという姿です。本家のカスミソウ(上記のエレガンス種のこと)より、カスミソウの名前がよりふさわしいような気がします。集団美を形にした一つの回答ではないでしょうか。別名でコゴメナデシコ(小米撫子)、英語ではベイビィズ・ブレス(赤ちゃんの息)と呼ばれます。いずれも小さな白花を愛らしく例えた名前でしょう。
原産地はヨーロッパ東部~シベリアで、1759年にイギリスに入って来たのが栽培のはじまりです。日本にはエレガンス種より30年ほど早い、明治12年に入ってきました。大規模な栽培が始まったのは昭和50年以降です。主に栽培されているのは八重咲きに改良された園芸品種です。八重咲き種はタネを付けないので、さし木でふやします。
フロレ・プレノ〔'Flore Pleno'〕
小輪八重咲きで、たくさんの花を咲かせる園芸品種です。古くからある代表的な品種で、他の園芸品種の親としてもよく知られています。
ブリストル・フェアリー〔'Bristol fairy'〕
アメリカ生まれ。フロレ・プレノを改良し、さらに質のよいものを選び抜いて育成した品種です。日本で切り花としてカスミソウが普及したのは、本種の貢献が大きいです。さらに改良されたブリストル・フェアリー・パーフェクタ、ブリストル・フェアリー・ダイアモンドがあります。
フラミンゴ〔'Flamingo'〕
淡いピンク色の花を咲かせます。花色が褪せやすいのが欠点です。
レッド・シー〔'Red Sea'〕
濃いピンク色の花を咲かせます。
その他の種
ムラリス〔G. muralis〕
一年草で、草丈が低く白やピンクの小花を咲かせます。
ケラスティオイデス〔G. cerastioides〕
ヒマラヤ産の高山植物です。草丈は5cm~10cm、花は白地に淡い紫色の筋が入ります。
レペンス〔G. repens〕
アルプスやピレネー山脈産の高山植物です。主に岩場や礫地に自生します。草丈15cm程度、這うように広がりマット状に茂ります。花色は白で大きさは1cmほどです。和名オノエ(尾上)マンテマ。英名はクリ-ピング・ジプソフィラ。種小名のレペンスは「ほふくする」の意。
関連する植物
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アレナリア
ナデシコ科 難易度★★★☆☆
花色は白が中心で、珍しいもので桃紫色の種もあります。鉢植えでの栽培のほか、ロックガーデンにも適します。