夏に咲く花

キョウチクトウ

キョウチクトウ科 「き」からはじまる植物 花木・庭木・果樹

キョウチクトウ
この植物の育て方
科名
キョウチクトウ科
学名
Nerium oleander var.indicum
(= N. indicum)
別名
夾竹桃
原産地
インド
大きさ
高さ4m~5m
開花期
7月~9月
難易度
★★☆☆☆(そだてやすい)

こんな植物です

〔〕内は学名、N.はNeriumの略

インド原産、強い日射しと澄んだ空が似合う、夏を代表する花木のひとつです。大気汚染などによく耐えて防音効果も期待できるため、工場や車の往来が多い幹線道路の緑化に利用されます。また、強健で育てやすいところから、校庭や公園にもよく利用されます。日本には中国経由で18世紀、江戸時代に入ってきました。

葉は濃緑色で光沢があり、長さは10cm~30cmになります。樹高は3m~4mで夏になると枝の先端に4cm前後の花をたくさん咲かせます。花には芳香があります。花色は紅や白の一重が基本ですが、淡い黄色や八重咲き、葉に模様の入るものなどがあります。花はつけ根が筒状で、先端が大きく分かれて花びらになります。花びらは左右非対称でややひねりの効いた?船のスクリューのような形になっています。

セイヨウキョウチクトウ

もう一つ、よく栽培されるものに、地中海沿岸のセイヨウキョウチクトウ〔N. oleander〕があります。分類的にはセイヨウキョウチクトウが基本種(母種)で、そのバラエティー(変種)の一つをキョウチクトウとすることが多いです(変種ではなく、それぞれをもう1ランク上の別種として扱うこともあります)。

両者に形や性質からぱっと見で大きな違いは見られず、理屈ではない区別は難しいです。花の香りのあるなし(基本的にセイヨウキョウチクトウは芳香がないか、あっても弱いとされています)で2種を区別することもありますが、花の芳香は個体によって差があり、それだけで確実に判断することは出来ません。日本には明治初期に入ってきたとされています。

その他のキョウチクトウ

日本では馴染みがありませんが、上記2種以外ではパキスタンやイラン、アフガニスタン原産のイスラムキョウチクトウ〔N. oleander var. kotschyi〕があります。また、オキナワキョウチクトウ(ミフクラギ)はキョウチクトウ科ではありますが属が異なり、キョウチクトウ・ファミリーとは言えません。

改良や実生による選抜(タネから育てて質のよいものを選んで育成すること)で多くの園芸品種がありますが、セイヨウキョウチクトウとキョウチクトウの区別が付きにくく、どちらの種から作出されたものかがあいまいなものが多いです。代表的な園芸品種にカージナル(紅色)、ミセス・ローディング(サーモンピンク・八重)、ソレント(黄色・半八重)などあがあります。また、古くからある種に在来桃色(ピンク・八重)があります。


名前の由来

属名のネリウムはセイヨウキョウチクトウを指す古代ギリシア語のネロス(湿り気のある)から来ています。これは川辺など湿り気のある場所に好んで自生するからと言われています。種小名のオレアンデルは「オリーブの葉に似た」の意味で、由来はそのままです。また、変種名のインディカムは「インド産の」の意味です。

学名

漢字では「夾竹桃」と書き元々は中国での呼び名です。花がモモ、葉っぱがタケに似ているということでこの名前があります。セイヨウキョウチクトウは英名でオレアンダー、コモン・オレアンダーなどと呼ばれます。また、花がバラ、葉がゲッケイジュ(ベイ)に似ていると言うことでローズ・ベイの名前もあります。

毒性について

キョウチクトウは葉、茎、根、花、種子などすべてが有毒で、オレアンドリン、アディネリン、ギトキシゲン、ジギトキシゲンなど複数の有毒成分を含んでいます。肉を焼くのに生木の枝を串代わりにしたり、箸として利用して中毒を起こした例が知られています。また、生木を燃やした煙も有毒とされます。死に至る症状として、心臓麻痺などが挙げられます。

毒も使いようによっては薬となり、葉や樹皮を乾燥させたものは強心剤や利尿剤となりますが決して素人が用いてよいものではありません。

毒性のイメージが先行するのか、校庭に植栽されているものをすべて伐採しようとしたり、市花として指定されていたものを取り消された事例などがあります。過度に恐怖心を抱かず、正しく知って適切な用途や距離感で植物と永くつきあいたいものです。

大気汚染に強い?

キョウチクトウは大気汚染や悪環境に耐えると言うより、有害物質を体内に取り入れない仕組みができていると言われています。キョウチクトウの葉は裏側に肉眼では見えないくぼみがあります。くぼみの内側にはびっりと毛が生えおり、その奥に空気を取り込んだり、呼吸するための気孔があります。 毛がフィルターの役割をし、気孔から有害物質が入ることを防いでいるようです。

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