秋に見頃の紫実
ムラサキシキブ(紫式部)
コムラサキ |
科名:クマツヅラ(シソ)科学名:Callicarpa japonica原産地:日本 中国 朝鮮半島 台湾樹高:2m~3m主な開花期:6月-7月 果実:9月-10月栽培難易度:
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〔〕内は学名、C.はCallicarpaの略
ムラサキシキブ(紫式部)とは
ムラサキシキブは日本、中国、台湾、朝鮮半島に分布する落葉性の低木で、樹高は2m~3mになります。秋に光沢のある紫色の小さな果実を葉の付け根あたりにまとめてつけるのが一番の特徴です。赤い実をつける日本の樹木は多いですが、紫色の果実をつけるものはそうないでしょう。
広く親しまれているコムラサキ
コムラサキの果実 |
コムラサキの花 |
別種に丈が低いコムラサキ〔C. dichotoma〕があり、庭木として広く普及しています。コシキブとも呼ばれます。コンパクトに収まって場所をあまりとらず、果実もみっしりと付いてボリュームがあり美しいので、ムラサキシキブより用途が広いように感じます。
園芸、とりわけ庭木ではコムラサキを指してムラサキシキブと呼ぶことも多いです。実際はこの2種(ムラサキシキブとコムラサキ)と、それらの変種・園芸品種をまとめてムラサキシキブ(の仲間)としたほうがよいでしょう。
2種の違い
ムラサキシキブとコムラサキはよく似ていますが、ムラサキシキブは果実が葉の付け根あたりに付くのに対し、コムラサキは葉の付け根からやや離れた場所に付きます。アバウトですが、ぱっと見で弓状に枝をしならせて重たそうに果実をびっしりつけているのがコムラサキと思って間違いないと思います。大きくなっても丈は人の背丈より少し高い程度です。また、ムラサキシキブは枝が直立して果実の付き方がまばらです。
花はいずれも淡い紫色です。じっくり見るときれいな色彩ですが、熟した果実に比べると目立たずやっぱり見劣りしてしまいます。開花時期は6月~7月頃です。
その他の種類
オオムラサキシキブの花 |
シラタマコシキブ |
ムラサキシキブには変異が非常に多く、代表的なものに白い実をつけるシロシキブや葉などが全体的に大型のオオムラサキシキブがあります。
コムラサキにも白実をつける変種のシラタマコシキブがあり広く栽培されています。白実種は濁りのない白で普通種とは違う趣があります。白地だけに果実が完熟を過ぎて変色してくると、果実の表面に出てくるシミや汚れのようなものが非常に目立つのが少し残念です。
名前の由来
属名のカリカルパはギリシア語で「美しい果実」という意味です。和名のムラサキシキブは由来に諸説あります。よく言われるのは「訛った説」と「植木屋説」です。ちなみに江戸時代の初期にはまだムラサキシキブの名はなく、「みむらさき(実紫)」「たまむらさき(玉紫)」と呼ばれていました。
訛った説
紫色の実が敷き詰められたように付く「むらさきしきみ(紫敷き実)」や紫色の実が茂る「むらさきしげみ(紫茂実)」が訛ったものとされています。
植木屋説
江戸時代の植木屋が平安時代の女流作家『紫式部』になぞらえて付けたともいわれます。ムラサキシキブと聞くと、率直にそちらの方をイメージするのが自然かもしれません。洒落たのか、イメージをよくする商品名とした名付けたかはよくわかりません。
余談ですが、コムラサキの別名コシキブは平安時代の女流歌人、小式部内侍(こしきぶのないし)にあやかって付いたとされます。案外、ムラサキシキブが先にあって、姉妹品的に付けられた名前なのかもしれません。
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