7. ランの選び方Ⅰ なにをどう選べばいいの?
ランを選ぶ、育てる
いざランを育ててみようと思ってもまずどこから手を付けたらよいか判らない、そんなこともあると思います。最初は取っ付きやすいものを選んで、ランの栽培がどんなものかを知ると良いでしょう。もちろん気に入ったものを選ぶのも良いですが、いくつかのポイントを抑えて、我が家でも気軽に育てられる種類を上手に選びましょう。
まず、気温が大切
「ランの栽培は難しい」というイメージがありますが、実をいうと難易度はピンキリで十把一絡げにはできません。基本的に難しいと言われているものは、「気候(栽培条件)があっていないから難しい」と理解してください。気候、特にその中でも冬の最低気温がポイントとなります。ランは耐寒性で大まかに四種類に分けることができ、それが下の一覧です。
耐寒性でみるランの分類 | ||
分類 | 最低温度 | 主な種類 |
高温性 | 約15℃-18℃ | カトレア デンファレ バンダ ファレノプシス(コチョウラン) など |
中温性 | 約10℃-13℃ | オドントグロッサム ミルトニア リカステ オンシジウム ディサ |
低温性 | 約7℃-10℃ | シンビジウム デンドロビウ・ノビル系 パフィオペディラム デンドロキラム |
耐寒性 | 凍らない程度 | サギソウ フウラン シュンラン など |
耐寒性の有無は育てやすさの基準となり、選ぶ際の目安となります。ただし、中温性に入れられているディサは冷涼な気候を好み、日本の暑さには耐えられないので栽培難易度は高いです。また、注意したいのはカトレアやバンダの中でも耐寒性の強いものがあり、パフィオペディラムでも寒さに弱いものがあったりと同じ仲間でも性質は若干異なるということです。
ディサ 冷涼な気候を好みクールオーキッドとも呼ばれる。 日本の平地では夏越しに相当の工夫が必要。 |
この分け方は原産地との関係も強く、高温性は熱帯低地、中・低温性は熱帯中-高地、耐寒性は日本など温帯に分布するものが多いです。
育てやすい洋ラン
耐寒性が強く育てやすい洋ランは探せばいくつもあります。室内で温室などなく育てられる種類をいくつか挙げてみましょう。具体的には室内温度が7℃-8℃あれば冬越しできるもの、病害虫の少ないもの、比較的場所をとらないものを基準に選びました。
カトレア ワルケリアナ セルレア |
カトレア類
高温性のものが多いですが、ソフロニティスやブラッサボラ、レリアなどの一部に寒さに比較的強く育てやすいものがあります。
はじめての人はミニカトレア、ミディカトレアなどと呼ばれるコンパクトで可愛らしいものから始めてみると良いでしょう。花付きがよく強健なものが多いです。小さくても花はしっかりとカトレアの姿をしています。花付きの良いレリオカトレア・ミニパープルやカトレア・ワルケリアナなどがお勧めです。
シンビジウム
シンビジウムの中でも小型・中型のものは耐寒性に優れており、病気も少なく育てやすいです。シンビジウムは葉をよく茂らせて場所をふさぎがちですが、小型のものならさほど場所もとりません。大型の大輪種は非常に見応えがありますが、13℃程度の気温が必要です。
パフィオペディラム
種によって耐寒性や難易度は大きく異なります。初心者にも育てやすいのは、葉に模様の入らず、一本の茎に1つの花を咲かせる「青葉系・一茎一花」です。強い日射しは苦手ですが、逆に一年を通して弱光線下でも育てられる利点があります。
デンドロビウム
ランの中でも多くの種を抱えていますが、比較的取っ付きやすいものが多いです。育てやすいのはノビル系やキンギアナム、スペシオサムなどです。
ノビル系はノビルという野生種を元に作られた園芸品種群です。ラベルには『ノビル』と書いていませんが、姿に特徴があるので見た目で、鉢花でもよく出回ります。スペシオサムはオーストラリア産、やや大型です。特に耐寒性に優れており、凍らせなければ屋外でも冬越しできます。
ノビル系の1種 | キンギアナム | スペシオサム |
オンシジウム
葉が長くて厚みの薄い「薄葉系」と言われるグループが寒さに強く、花付きも良いので初心者にもオススメです。黄色い花が群れるようにたくさん咲かせるものが多いです。 育てやすいものに、アロハ・イワナガやコンパクトで花付きの良いトウィンクルなどがあります。また、チョコとバニラを合わせたような香りのするシャリーベイビー・スイートフレグランスのようなユニーク花を咲かせるなものもあります。