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Topページランの基礎知識 もくじ

8. ランの選び方Ⅱ どんな種類があるの?

リカステ類

タカオハルイロ
ショールヘブン
タカオ ハルイロ ショールヘブン

存在感と雰囲気のある幾何学的に整った花

リカステはメキシコ、ペルー、ボリビアなど主に中南米に25種が分布します。樹木の上や湿った岩の表面、急な斜面や崖に根を下ろして生育します。高地性と低地性の2タイプがあります。

茎は扁平な卵形に肥大しその先端に1-3枚の葉を付けます。草丈の割に葉はかなり大きく感じます。花は肉厚でロウ細工のような独特の質感があります。3枚のがく片が展開し、全体として三角形のアウトラインを形作ります。幾何学的な美しさと気品を感じさせる花姿です。株全体の大きさの割に花がとても大きく感じますが、アンバランスな感じありません。開花時期は種によって異なります。花色は白、ピンク、黄色、赤紫、緑などがあります。一部の種は休眠期に落葉します。
語源はトロイ王の娘Lycasteに由来します。

近縁属のアングロアは中南米に約10種が知られています。アングロアとの人工交配で作られた属はアングロカステと呼ばれます。

■オンシジウム類

スファケラツム
パピリオ
スファケラツム(薄葉系) パピリオ(厚葉系)

群れるように咲く集団美

オンシジウムは熱帯・亜熱帯アメリカの低地から標高3500m付近まで、約400種が分布します。「オンシ」と略して呼ぶことも多いです。

園芸では葉の形状から「薄葉系」「剣葉系」「棒状葉系」「厚葉系」の4グループに分けます。それぞれのグループで性質や難易度は異なります。

最もポピュラーなグループは薄葉系で、主に秋~春にかけて花を咲かせます。花色は黄色が大半で、他に白や赤、ピンクなども少し見られます。鉢花や切り花として広く普及しています。他のランに比べると色のバリエーションはやや寂しいものの、群れるように咲く姿は他のものにない大きな魅力です。

剣葉系は草丈15cm前後と小型のものが多く、厚葉系には羽を広げた昆虫のような花を1~2輪ずつ次々と咲かせるパピリオのようなユニークな品種もあり、個性的な種が豊富にあります。近縁属にブラッシア、ミルトニア、オドントグロッサム、コクリオダなどがあります。

語源はギリシア語のonkidion(小さなこぶ)で花の中心近くにこぶがあるところにちなみます。

オンシジウム類の主な人工属 ( )は略号
ミルトニジウム (Mtdm.) ミルトニア×オンシジウム
オドントシジウム (Odcdm.) オドントグロッサム×オンシジウム
ブラッシジウム(Brsdm.) ブラッシア×オンシジウム
コルマナラ (Colm.) ミルトニア×オドントグロッサム×オンシジウム
マクレラナラ (Mclna.) ブラッシア×オドントグロッサム×オンシジウム
ウィルソナラ (Wils.) コクリオダ×オドントグロッサム×オンシジウム

パフィオペディラム

パリシィ
ペナスタム アルバム
パリシィ ペナスタム アルバム

やや渋めのラン、好きな人はとても好き
東南アジアを中心として熱帯、亜熱帯アジアに約70種が分布します。地面に根を下ろすものが多いですが、岩の上に張り付いたり、まれに木の上で生育するものも見られます。分布地域によって姿・かたちがそれなりに異なり、葉の厚さや模様、花の咲く数などからいくつかの系統に分けられます。馴れた感じで言うと「パフィオ」です。

花の一部(唇弁)が袋状になっており、その姿が非常に印象に残ります。ユニークさやインパクト、その独特の雰囲気や、大型種のもつ堂々とした存在感はたまらない人にはたまらないもので、愛好家を魅了して止まない…と思います。花はロウ細工のような質感で、色彩はやや渋めのものが多いです。1つの花は1ヶ月以上枯れずに咲き続けます。地際から細い葉を左右交互に出し、茎は短かすぎて見えません。

語源はPahia(ヴィーナス)とpedilon(スリッパ)の2語からなり、「ヴィーナスのスリッパ」の意味になり、袋状の花弁に由来します。

■ファレノプシス類

ファレノプシスの1種
ビオラケア セミアルバ
ファレノプシスの1種
(ファレノプシス系)
ビオラケア
(スタウログロッチ系)
セミアルバ

高級感のあるラン

東南アジアを中心として南はオーストラリア北部、東は台湾、中国南部まで約50種が分布します。樹木などに根を張り付かせて生育する着生ランです。交配種は15000種を越えます。丸みのある花を一斉に咲かせるファレノプシス系と肉厚で星形の花を1~数輪ずつ咲かせるスタウログロッチ系に分けられます。

鉢花として広く流通しているのはファレノプシス系の交配種で、日本では「胡蝶蘭(コチョウラン)」の名前で親しまれています。ふっくらと丸みがあり、行儀良く並んで咲く花は気品とかわいらしさを兼ね備えています。花色は白やピンク、セミアルバ(花びらが白、中心の唇弁だけ赤)、褐色の斑点が入るもの、葉脈に沿って色がつくもの等多彩です。葉は肉厚でベローンとした長だ円形、左右交互に出します。茎は短くて見えません。
語源はギリシア語のphalaina(蛾)とopsis(見た目)の2語からなり花の形に由来します。

近縁属にドリティスがあり、東南アジアに2種が知られます。ファレノプシスと人工的に交配されたものはドリテノプシスと呼ばれます。

バンダ類

バンダの1種
バンダの1種

他にはないブルー系の花が美しい

東南アジアを中心に北はヒマラヤ、南はオーストラリア北部まで60種が分布します。樹木や岩の上に根を張り付かせる着生ランで、低地から標高2000mにまで生育します。葉の形状から「広葉系」と「棒状葉系」に分けられます。

着生ランの中でも特に空気が好きなランで太くて長い根をたくさんだします。枝分かれせず葉を左右交互に出しながら迷わず上に上にと伸びていき、種によっては茎の長さが2mにも達します。全体的に大型のランです。

茎の途中から花茎を伸ばし1~数10輪の花を咲かせます。花色は黄色、褐色、紅紫色、紫青色などがあります。葉脈に沿ってくっきりと色づいたり、斑点の入るものもあります。開花期は種によって様々です。

濃い紫青色の大輪花を咲かせるバンダ・セルレアはヒスイランともいわれ、他のランのもっていない鮮やかな色彩が特徴的で、一度は育ててみたいと思うような魅力をもっています。

語源は「まとわりつく」という意味のサンスクリット語「バンダカ」に由来するといわれています。また、バンダのある種のサンスクリット語での呼び名からきているとも言われます。まとわりつく、というのは樹木の幹などに根を張り付かせている様子からきているのでしょう。

近縁属にアスコセントラム、エリデス、レナンセラ、リンコスティリス、トリコグロッティス、ネオフィネチア(フウラン)などがあり、それらの中で人工的に交配が行われて色々な人工属が産み出されています。

バンダ類の主な人工属 ( )は略号
アスコセンダ (Ascda.) アスコセントラム×バンダ
バンドフィネチア (Vf..) ネオフィネチア×バンダ
リンコバンダ (Rhv..) リンコスティリス×バンダ
バスコスティリス (Vasco.) アスコセントラム×リンコスティリス×バンダ
クリスティアラ (Chtra.) アスコセントラム×エリデス×バンダ
ヨネザワアラ (Yzwr.) ネオフィネチア×リンコスティリス×バンダ


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