スダジイの育て方
- 科名
- ブナ科
- 学名
- Castanopsis sieboldii
(= C. cuspidata var. sieboldii) - 別名
- シイ イタジイ ナガジイ
- 原産地
- 日本(東北以南) 朝鮮半島
- 大きさ
- 25m~30m
- 主な開花期
- 5月~6月
- 耐寒性
- ふつう
- 難易度
- ★★☆☆☆(そだてやすい)
こんな植物です
〔〕内は学名 C.はCastanopsisの略
本州(東北より南)四国、九州、沖縄、朝鮮半島に分布する、常緑性の高木です。俗に言う『ドングリの木』のひとつです。
葉が密に茂り、もこもことした雲のような樹形になり、樹高は25m~30mに達します。樹皮は黒褐色で縦に裂けます。葉っぱの大きさは5cm~15cmで、先端の尖ったタマゴ型です。革質で厚みがあります。表は光沢のある濃緑で、主脈以外の葉脈ははっきりしません。裏側は鱗毛が密生して茶褐色になります。枝には左右互い違いに付く互生です。葉表とは裏の色が全然違うので、木を外側から見たときと、内側から見たときで印象が大きく異なるのが面白いです。
主な開花期は5月~6月です。その年の春に出た枝(一年枝)の葉の付け根に、雄花と雌花が別々の位置に咲きます。雄花は淡い黄白色でしっぽ状に長く伸び、枝の下部につきます。雌花は穂状で枝の上部につきます。花は独特の臭気をもちます。
雄花は花後に落ち、雌花は実を結んで冬を越し、翌年の秋に熟します。熟した実は、殻(総苞)が花が咲くように3つに裂け、中から先端の尖った濃い褐色のどんぐり(堅果)がでてきます。どんぐりは長さ1.5cmほどで、デンプンが豊富に含まれています。炒って食べるほか、生食もできます。粉っぽいようなもちっとした食感で、じんわりと甘みがあります。
近い仲間にツブラジイ〔C. cuspidata〕があり、一般には両者を区別せず、まとめてシイと呼ぶことも多いです。材木として利用するときは、両方を『シイ材』として扱うようです。
用途
庭木のほか、街路樹や公園の景観木、日陰をよく作るので緑陰樹などの目的でも植えられます。東京の大きな屋敷では、目隠しにスダジイが好んで植えられたそうです。また、各地の神社などで、大きな樹が見られます。材は建築、枕木、薪炭材などに利用されます。
由来
漢字では『首陀椎』の字を当てますが、由来ははっきりしません。属名のカスタノプシスは「クリに似たもの」という意味で、実の外側の殻に並ぶトゲ状の突起に由来します。種小名のシーボルディーは日本でもよく知られるドイツの医師シーボルトの名前にちなみます。
育て方
- ・剪定は刈り込みと枝抜き
- ・ドングリは乾かすと発芽力が極端に衰える
- ・刈り込みにもよく耐える
●ポイント
栽培カレンダー
主な作業の適期
剪定 | 6月下~7月上 / 10月 |
---|---|
肥料 | 2月 |
日常の手入れ
剪定
剪定は刈り込みと枝抜きを行います。作業は春に出た枝が固まる6月~7月、枝の生長が止まる10月頃が適期です。
刈り込みは大きく広がる樹形を一定のサイズにキープするためです。植えている場所のサイズに合わせて刈り込みましょう。
枝抜きは日当たりと風通しをよくするために行います。樹の内部の混み合った枝や枯れ枝を付け根から切ります。幹から勢いよく出てくる胴吹き枝は見つけたら早めに切り落とします。
利用
庭のシンボルツリーのほか、刈り込みによく耐えるので高生垣などにも利用されます。潮風や大気汚染にもよく耐えます。
日当たり・置き場所
暖地向きの樹木で、寒冷地での植栽は不向きです。日当たり~半日陰の場所が適します。幼樹は日陰にもよく耐えます。
水やり・肥料
特にやせ地でなければ必要ありません。与える場合は年1回、冬に与えます。株まわりに溝を掘って、そこに化成肥料と油かすを同量混ぜたものを施します。
かかりやすい病害虫
テッポウムシ、ウドンコ病、紋羽病などが見られます。春と夏に薬剤を散布して予防に努めます。
植え付けと用土
適湿地を好みますが、土質を選ばずによく育ちます。適期は春か秋です。大きく根が張るので、植え穴は大きくめにして、根をよく広げて植え付けます。
ふやし方
タネ(どんぐり)をまいてふやします。タネは乾燥させると発芽率が極端に落ちるので、秋に採ったらすぐに播きます。できない場合は、湿った砂といっしょに貯蔵しておき、春にまきます。
その他の画像
1.葉っぱ(表) 2.葉っぱ(裏) 3.幹 4.どんぐり(堅果) 5.殻(総苞)
関連する植物
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マテバシイ
ブナ科 難易度★★☆☆☆
細長いドングリを付ける暖地性の常緑樹。大気汚染や潮風に強い。