タラヨウの育て方
- 科名
- モチノキ科
- 学名
- Ilex latifolia
- 別名
- ハガキノキ
- 原産地
- 日本 中国
- 大きさ
- 10m~20m
- 主な開花期
- 5月~6月
- 耐寒性
- ややよわい
- 難易度
- ★★☆☆☆(そだてやすい)
こんな植物です
日本の関東より南の地域と中国に分布する常緑性の樹木です。葉は表面にツヤツヤとした光沢があり革のように厚く、長いだ円形で長さは15cm前後、フチに浅くギザギザが入ります。5月頃に前年伸びた枝に付いた葉の付け根から緑黄色の小さな花をたくさん咲かせて枝を覆います。花自体はたくさん咲くものの小さい上に色も地味なのであまり目を惹きません。雌株と雄株があり、雌株は花後に直径7-8mmほどの実をかためて付け秋になると真っ赤に熟します。
文字が書ける?葉
葉の裏を先のとがったものでなぞるとその部分が黒っぽく浮かび上がってきて字が書けます(葉っぱが大きいのでたくさん字が書けます)。これが「葉書-ハガキ-」の語源になったという説もありますが、確かなことはわかりません。また、火で軽くあぶると「死環」という黒い環が浮かび上がります 。これらの性質を知っている人が多いのか、植物園や公園で人の手が届く高さにある葉に字の書かれたタラヨウの木を見たことがあります。
「葉書」を連想させるため日本郵政公社(当時、郵政省)により「郵便局の木」と定められ各地の郵便局に植栽されています。この郵便局に植えられているものがもっとも身近で見られるタラヨウではないかと思います(都心でも見られます)。大きな木はお寺や神社でよく見られます。
名前の由来
タラヨウは「多羅葉」と書きますが、これはインドで経文を書く紙の原料となった「多羅樹(ヤシ科オウギヤシ)」に由来し、「字が書ける」という共通点から来ています。
種類
葉に淡いクリーム色の斑が入るフイリタラヨウがあります。
育て方
- ・日当たりのよい、湿り気のある土壌でよく育つ
- ・肥料はほとんどいらない
- ・剪定はあまり必要ない
●ポイント
栽培カレンダー
主な作業の適期
植え付け | 5月 / 9月 |
---|---|
剪定 | 1月~2月 / 10月 |
さし木 | 7月~8月 |
肥料 | 1月~2月 |
日常の手入れ
剪定
剪定に関しては手間のかからない樹木といえます。若いうちは枝がよく伸びますが、年を経るとバランスのよい円筒形の樹形にまとまっていきます。ですから形を整えるための刈り込みはほとんど必要ありません。樹形から飛び出ている枝を切り詰めたり、混みあった枝を付け根から間引くなど軽く枝を整理する程度で充分です。
日当たり・置き場所
日当たりの良い場所が適していますが、明るい日陰でもよく育ちます。また、湿り気のある土壌が適しています。根元まで直射日光が当たるような場所は極端に乾燥するのであまり適しません。
水やり・肥料
肥料はほとんど必要ありません。やせ地では冬に堆肥や鶏ふんを幹周りに少量施します。
かかりやすい病害虫
カイガラムシとその排泄物からすす病が発生します。春に薬剤を散布して防除、駆除します。
植え付けと用土
温暖な気候を好む常緑樹なので、寒い地域での植栽は難しいです。
植え付けの適期は5月もしくは9月です。春に早すぎたり秋に遅すぎると寒さで被害を受けやすいので気をつけましょう。丈夫な樹木ですが、枝葉がよく茂って上(頭)の方が重くなるので倒れないようにしっかりと支柱を立てます。また、やせ地ではあらかじめ堆肥を入れておき、極端な乾燥地では植え付け後、乾燥防止のために敷きワラを行ったほうがよいでしょう。
ふやし方
タネまきとさし木でふやすことができます。
タネまきは秋に赤く熟した果実を採取し、果肉を取り除いてタネの状態にして乾かさないように湿らせた砂の中に埋めて貯蔵します。翌春、3月下旬から4月に取り出して鉢にまきます。発芽後2年くらいは植え替えずにそのまま育てます。
さし木は7月~8月が適期です。本年伸びた若い枝を20cmくらいの長さに切って土に挿します。さし木後、根が出ても1~2年は止まってるかのごとく生長がゆっくりです。
その他の画像
1.葉っぱ 2.幹 3.色づいた実 4.フイリタラヨウ