- 科名
- ユキノシタ(アジサイ)科
- 学名
- Deutzia cremata
- 別名
- ウノハナ
- 原産地
- 日本 中国
- 大きさ
- 高さ1.5m~3m
- 開花期
- 5月~6月
- 難易度
- ★★☆☆☆(そだてやすい)
こんな植物です
〔〕内は学名、D.はDeutziaの略
日本の山野でふつうに見られる落葉性の低木で、中国にも自生しています。名前の由来は枝の芯が空洞なので「空ろな木=空木」、もしくは旧暦の4月(卯月)頃に花を咲かせるので「卯木」となったとされます。別名のウノハナは「ウツギの花」の略です。
主な開花時期は5月~6月で、枝の先端に1cm程の白花を次々とたくさん咲かせます。葉のフチはぎざぎざがあり、全体に毛が生えているので触るとざらざらします。地際からたくさん枝を伸ばして大きく茂ります。
ウツギは非常に変異に富んでおり、様々なバラエティーに恵まれています。主なものに雄しべが花びらとなったシロバナヤエウツギ〔f. candidissima〕、花びらの外側がほんのり赤色になるアケボノウツギ〔f. punicea〕、花びらの外側が紅色で八重咲きのサラサウツギ〔f. plena〕などの品種があります。また葉っぱの美しいものもあり、代表的な園芸品種に濃緑色地に淡緑が細かく散るように入るヴァリエガタ〔'Variegata'〕があります。
花を次々と咲かせて性質も丈夫で、庭木や鉢植えに利用されます。ただし、存外に大きく茂るのでコンパクトにまとめたい場合は別種のヒメウツギ(以下の項で説明)が適しています。
名前の由来
ウツギ属の学名ドイツィア(Deutzia)はオランダ人のヨハン・ドイツ(Johan Detuz)の名前にちなみます。
雑記
おからを「卯の花」と呼ぶのはウツギから来ています。これはウツギの咲いている様子に見立てたとか(いずれも白いので)、枝の芯が空洞でおからの「から」が「空っぽ」に通じるという言葉遊びと白い花を咲かせるところを見立てた洒落だとか言われます。
原種
ウツギの仲間(ウツギ属)は50種程が知られています。メキシコに自生する2種をのぞき大半はヒマラヤ、東アジアに分布します。日本にはウツギを含めて5~6種が自生します。
ヒメウツギ〔D. gracilis〕
日本に分布します。見た目は小型のウツギで樹高は1mていどに収まり、葉っぱに生える毛は少ないのが特長です。ウツギほども大きく茂らずあまり場所をとらないのが特長です。花付きの苗がよく出回ります。ヨーロッパでは本種と他の種を掛け合わせた園芸品種が多く作出されています。
マルバウツギ〔D. scabra〕
本州(関東より西)、四国、九州に分布します。ツクシウツギとも呼ばれます。花のすぐ下に付く葉っぱに軸がなく枝を抱くようにくっつく、などの違いからウツギと区別されます。
プルプラスケンス〔D. purpurascens〕
中国雲南省原産、花びらは白ですが、裏側が紫紅色になります。花びらには丸みがあります。
園芸品種
フランスの園芸家ルモアーヌ(1823-1911)により、たくさんの園芸品種が作出されました。花色は白の他、紅色やピンクのものが多いです。
ロセア〔D. × rosea〕
ヒメウツギとプルプラスケンケンスを掛け合わせた品種です。紅色を帯びるやや大きめの花は可愛らしいです。さらに本品種から白やピンク、紅紫色の品種が作られました。
ルモアネイ〔D. × lemoinei〕
ヒメウツギとパルフィフロラ〔D.parviflora〕を掛け合わせた品種です。葉っぱが長いのが特長で、花色は白で紅色が薄く入ることもあります。樹高が低く収まりやや花が小さいコンパクタ〔'Compacta'〕があります。