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日本原産、花の大きさはユリの中でも最大級

ヤマユリ

ヤマユリ
科名:ユリ科
学名:Lilium auratum
原産地:日本
草丈:1m-2m
主な開花期:7月

ヤマユリとは

日本原産のユリで、東日本を中心として本州に分布します。自生地の紀伊半島北部とされますが九州や四国、北海道にも野生化したものが見られます。漢字を当てると「山百合」でそのまま山に生える百合という意味です。比較的日当たりの良い山野の斜面などでよく育ちます。学名の「オーラツム」は「黄金色の」の意味で、花びらに入る黄色い筋に由来します。

ユリの中でも最大級の大きさで、草丈は1~2m、花は径20~25cm程になります。主な開花期は7月で1本の茎から1~10数輪の花を咲かせます。花色は白地に黄色い筋と赤い斑点が入るものが最もポピュラーですが、生育地域や個体によって変異が大きく、色味などに様々なものがあります。茎は太くてしっかり直立するものと、やや細くて湾曲したり横方向に斜上するものがあります。

球根は淡いクリーム色で苦みが少ないので食べることができます。ウイルス病に弱くて球根がダメになることもよくあり、一般的に栽培はむずかしい部類に入ります。

現在の園芸品種を語る上でも欠かせない種のひとつです。カサブランカなどの品種で有名なオリエンタル・ハイブリッド(園芸品種の1グループ)はヤマユリが重要な親のひとつとなっています。

世界最大のユリ サクユリ

サクユリ
サクユリ
サクユリ(作百合)〔var. platyphyllum〕はヤマユリの変種で伊豆諸島のみに分布し、主に山間部の明るい斜面に自生します。自生地の南限は青ヶ島です。花は直径30cmにもなり、野生種のユリでは最大の花を咲かせます。花の大きさだけでなく、花びらも葉もヤマユリに比べて厚くて、全体的に王者のような堂々とした雰囲気を醸し出します。花色は白で、黄色い筋が太めに入ります。選抜された品種に’シントシマ’があります。タメトモユリ(為朝百合)の別名があります。

そのほかの種類

ベニスジ(紅筋)ヤマユリ〔var. rubrovittatum〕
花びらに鮮やかな紅色の筋が大きく入ります。あでやかな感じです。

シロホシ(白星)ヤマユリ〔var. virginale〕
斑点が白色で花びらと同化して目立ちません。全体的にすっきりした雰囲気です。

クチベニ(口紅)ヤマユリ〔var. pictum〕
赤色の斑点が濃くて大きく入ります。

これ以外に、葉の幅が広いヒロハヤマユリや開花時期の早いものなどが知られています。また、野生種では見られませんが、栽培されたものには帯化(生長点の異常による奇形)して茎が帯状に平たくなり、100~200輪の花を咲かせるものもあります。原因はよくわかっていません。

その他

1829年頃、シーボルトによってヨーロッパに持ち込まれましたが、このときの球根は開花しなかったそうです。ヨーロッパではじめて開花したのは1861年イギリスでのことです。

明治~大正にかけて他の日本産ユリとともに、重要な輸出品のひとつでした。当時は丹沢山地が群生地で、採取されたものは横浜港から大量に輸出されていました。

神奈川県の県花に制定されています。市町村レベルでシンボルフラワーとして指定している自治体は30を超します(2006年)。

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