- 科名
- イチョウ科
- 学名
- Ginkgo biloba
- 別名
- 銀杏 鴨脚樹 公孫樹
- 原産地
- 中国
- 大きさ
- 高さ20m~30m
- 開花期
- 4月
- 難易度
- ★★☆☆☆(そだてやすい)
こんな植物です
中国原産の樹木で、生長すると30mもの高木になります。晩秋に葉っぱが黄色く色づき、冬は落葉します。雄木と雌木があり、それぞれ雄花もしくは雌花のみを咲かせます。ひとつの木に両方の花は咲きません。雌花は花後に種子を付け、秋になるとオレンジ色に熟して落ち、悪臭を放ちます。
非常に生長が早く、燃えにくくて大気汚染や寒さに強く、ばっさりと枝を切ってもよく芽吹いて木の大きさを調整しやすいので街路樹や公園樹として広く植えられています。園芸では庭木や鉢植え、盆栽に利用されます。
東京都、神奈川県、大阪府では都府県の樹に指定されています。全国平均で沖縄をのぞく日本の街路樹の1割がイチョウです。日本には室町時代より前に入ってきたとされ、各地の神社仏閣では巨木を見ることができます。
名前の由来
名前は中国名のひとつ(中国名はいくつかあります)「鴨脚(ヤーチャオ)」に由来するとされています。鴨脚は葉っぱを水かきのある脚に見立てたものと言われています。 属名のGinkgoも中国名「銀杏」に由来するとされます。「銀杏」「鴨脚樹」「公孫樹」といった漢字を当て、これらはすべて「いちょう」と読みます。公孫樹は種子をまいても実が成るのは孫の代までかかるという意味なのだそうです。
不思議な突起「ちち」
齢を経た古木は、古枝の下の方から枝のような突起をつららのように伸ばします。この突起は乳房になぞらえて「ちち」と呼ばれ、大きなものは一抱えもあり地面に突き刺さります。ガジュマルという樹が体を支えるために伸ばす「気根」に似ていると言われますが、どうしてこのようなものができるのかはわかっていません。日本各地のお寺や神社の境内にあることが多く、信仰の対象となっています。「ちち」とは言いますが雌木、雄木関係なくつきます。
仲間・種類
仲間
イチョウは一属一種の植物です。ただ、同じ特徴を持つ葉の化石が見つかっており、古代には仲間がいたとされます。現存するのは一種ゆえ「生きている化石」とも言われ、裸子植物の中では最古のモノのひとつとされます。
種類
葉っぱや種子が通常とはことなる種類がいくつか知られています。代表的なものは以下の通りです。
- オハツキイチョウ…葉っぱの縁に種子が付く
- オチョコバイチョウ…葉の両端がくっついてラッパ状になりお猪口のような形をしている
- 斑入りイチョウ…葉に白い筋状の斑が不規則に入る
- ミツカドギンナン…タネの殻(中層種皮)に3本の稜がある(通常は2稜)
また、ごくまれに殻の中の実(胚乳)が2つ入ったギンナンがあります。
デザイン・シンボルとしてのイチョウ
様々な家紋の意匠をはじめ、有名なところでは東京大学の校章や東京都のシンボル旗にイチョウの葉がデザインされています。身近では野菜の「イチョウ切り」や、力士が結う「大銀杏」があります。工芸品や文学の題材となるなど、日本の文化に深く根ざした樹木と言えます。
材木としてのイチョウ
生長が早くて木目と肌がキレイで加工しやすいので、将棋の盤や駒、鉢、お盆、まな板、仏具、彫刻、細工物、床板など様々な形で利用されます。植物学的には独特の特長がある樹ですが、材質はマツやスギに似ており、木材としては針葉樹材として扱われます。