- 科名
- バラ科
- 学名
- Photinia glabra
- 別名
- アカメモチ ソバノキ
- 原産地
- 日本 中国
- 大きさ
- 高さ4m~5m
- 開花期
- 5月~6月
- 難易度
- ★★☆☆☆(そだてやすい)
こんな植物です
〔〕内は学名、P.はPhotiniaの略
伊豆半島より西・四国・九州など、日本の比較的暖かい地域や中国に分布する常緑性の小高木です。枝の伸びる力が強くてよく茂るので、刈りこんで色々な形にできます。主木(庭の中でメインとなる樹木)などにもされますが、生垣としての利用が非常に多いです。
3月下旬から4月頃、新葉の真っ赤な生垣や植え込みを見かけたら、カナメモチやその園芸品種の可能性が高いです。それくらい普及しています。
葉は光沢があり革質で厚く長だ円形で先がとがり、フチには細かいギザギザが見られます。5月-6月にかけて白い小花をまとまってたくさん咲かせます。その後小さな丸い果実ができて秋に赤く熟します。
新葉の色が紅くて美しく特長的です。特にその中でも紅色が強い個体が選抜され「ベニカナメ」と呼ばれています。葉が紅いのは新葉のときだけで、葉が開いて固くなると緑色に変わります。
西日本を中心に分布していた樹木ということもあり、庭木として用いられたのも関西に端を発しますが、新葉の色がややもすると派手とも言えるベニカナメは伝統的な庭造りが尊ばれる中では色物扱いされたのかあまり普及せず、関東に持ち込まれて人気が出て一気に普及しました。
広く利用されるレッドロビン
現在では、カナメモチと近縁種のオオカナメモチ〔P. serratifolia〕を掛け合わせたフレイゼリ種〔P. × fraseri〕も「カナメモチ」として広く利用されています。「バーミングハム」「ロブスタ」「レッドロビン」などの園芸品種が知られています。
この中でも日本でポピュラーな品種は「レッドロビン」です。レッドロビンはカナメモチに比べて葉が大きく枝の茂り方がやや粗いですが、オオカナメモチの強健な性質を受け継いでおり、枝の伸びる勢いが強く、なにより新葉の紅色が濃いという美点があります。庭木だけでなく、公園や緑地にも広く植えられています。
なぜ新芽が赤いのか?
新芽の鮮やかな紅色はアントシアニン色素によるものです。新芽はまだ軟らかくて弱く、強い日射しに当たると傷んでしまう恐れがあります。アントシアニン色素がサングラスのように、日射しから葉の組織を守っていると考えられています。
名前の由来・歴史
和名の由来
カナメモチの名前はこの木で扇の要(かなめ)を作ったからと言われます。また、アカメモチが訛ってカナメモチになったという説もあります。アカメモチは「芽の赤いモチノキ」という意味ですが、モチノキはモチノキ科、本種はバラ科で全く別の植物です。光沢のある葉やその形をモチノキになぞらえたのかもしれません。
古名の歴史
日本に自生することもあり、古くから認識されていた樹木です。古事記の「多知曾婆(たちそば)」、枕草子の「たちそばの木」は「立っているソバノキ」と言う意味で、ソバノキはカナメモチだと解釈されます(ニシキギ説、ブナ説など諸説あります)。ソバノキは「蕎麦の木」で、密に咲く白い小花を蕎麦の花に例えたとされます。
学名の由来
属名のフォティニアはギリシア語で「輝く」と言う意味のギリシア語、フォテイノスに由来し、光沢のある葉っぱの姿から来ています。
関連する植物
-
モチノキ
モチノキ科 難易度★★☆☆☆
モッコクやモクセイと並んで庭木として欠かせない定番の樹木で古くから親しまれています。