- 科名
- サボテン科
- 学名
- Epiphyllum oxypetalum
- 別名
- 月下美人(漢字表記)
- 原産地
- メキシコ
- 大きさ
- 高さ1m~3m
- 開花期
- 6月~10月
- 難易度
- ★★★☆☆(ふつう)
こんな植物です
メキシコを中心とした中南米に分布するサボテンの1種です。主に高温多湿のうす暗いジャングル内に自生し、樹木の幹などに根を張り付かせて葉を下向きにだらりと垂れ下がらせています。このような生活様式を採るサボテンのことを「森林性着生サボテン類」と呼びます。ほかにもイースターカクタス、クジャクサボテン、シャコバサボテンなどが「森林性着生サボテン類」として知られ、鉢花などで栽培され、親しまれています。
姿・形
ゲッカビジンは分類上、クジャクサボテンの野生種と言えます。しかし、性質や生育サイクルが異なる(=育て方が異なる)ので園芸では「クジャクサボテンとゲッカビジン」といったように別々のものとして扱うことが多いです。
帯状でやや厚みのあるコンブのような姿の葉をもち、フチが所々浅くくびれてゆるい波状になります。ちなみにこの「葉」は正しくは「茎節(けいせつ)」と呼ばれ、茎の変化したものです。くびれている部分は「刺座(しざ)」といい、そこに生えているごく細かい産毛のようなものが本来の「葉」でサボテンの代名詞のようにもなっている「刺」でもあります(サボテンの刺は葉が退化したものです)。シュートと呼ばれる茎を勢いよく伸ばし、大きくなると高さは3mほどになります。
花の咲く時期は主に夏から秋、純白の薄い花びらを重ねた上品な姿で大きさは径12-13cm、夜に開花し芳香を放ちます。花は非常に短命で、午後9時頃に満開になるとおよそ3時間後にはしぼんでしまいます。咲いた花は焼酎に漬けて満開状態で保存することが出来ます。果実は食用になります。
種類
仲間に小型のヒメゲッカビジン(姫月下美人)、ヒメゲッカビジンとゲッカビジンを掛け合わせたマンゲツビジン(満月美人)などがあります。
こぼれ話
花後に果実をつけますが、「自家不和合性」と言って同じ個体同士では受粉しません。近年まで日本に流通しているゲッカビジンのほとんどは、元々現地から持ち帰られたひとつの株から葉ざしなどで増殖された「同じ個体(クローン)」だったので果実を見ることはできませんでした。他の個体が再導入されて受粉が可能になりました。果実は果肉が白く、タネが非常に多いですが甘みがあり食べられます。「食用月下美人」の名前で流通している株は、再導入された月下美人の個体だと思われます。