- 科名
- ブナ科
- 学名
- Castanea crenata
- 別名
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- 原産地
- 日本 朝鮮半島
- 大きさ
- 高さ~20m
※果樹扱いでは3m~4mに抑える - 開花期
- 6月
- 収穫期
- 9月~11月
※品種により異なる - 難易度
- ★★★☆☆(ふつう)
こんな植物です
日本(北海道西南部~九州)、朝鮮半島中南部に分布する落葉樹です。秋の味覚を代表する果樹(ナッツ類)のひとつで、そのおいしさは万人の知るところです。実を採るために植えられるのが大半で、盆栽に仕立てて愛でることはありますが、並木や庭園に利用されることは少ないです。自然公園ではときどき見ます。野生のものは山野や丘陵地に自生します。
日本では古くから食用とされていたようで、縄文時代の遺跡から炭化したクリの実が発見されています。現在、日本で食用として栽培されているのは野生からの改良種と、別種のチュウゴクグリと掛け合せた雑種です。野生のクリはシバグリ、改良種はニホングリとも呼ぶこともあります。
クリの材木は水に強くて腐りにくく堅いので、建材として水まわりや家屋の土台に使われたり、鉄道の枕木や船の材料に利用されました。『桃栗三年柿八年』と言いますが、苗木なら植え付けてから3年~4年で実を付けます。
姿・形
『大きな栗の木の下で』という童謡がありますが、寿命が長くて大きく育つ樹です。樹高は最大20mくらいで枝と葉をたくさん出して大きく茂ります。樹皮は灰色で、縦に長く深く裂けます。
葉は長楕円形で長さ15cm前後、縁は先端が細くなったギザギザになります。クヌギの葉に見た目が似ています。
主な開花期は6月で、雄花はたくさん集まってしっぽのような細長い穂状になり斜上します。遠目でもそれとわかるくらいたくさんの花穂を付けます。色は淡い緑色で、白い雄しべをたくさん突き出し、生臭いような独特の臭気を放ちます。
雌花は枝の上部に付く雄花穂の付け根にひっそりと1~2コつきます。雌花は総苞に包まれており、鋭い針状の鱗片に覆われています。外側に10本ほどの雌しべ(花柱)が飛び出しており、中には3つの子房があります。総苞がイガ、子房は1つずつクリの実になります。
花の盛りには昆虫が蜜を目当てに群がってきますが、多くは風によって花粉が飛び、受粉されます。熟すとイガは4つに裂けて、中からクリの実(堅果)が顔を覗かせ、やがてイガごと落果します。
名前の由来
『黒い実=黒実』が由来とか、実や樹皮の色を『栗色』と呼んでいて、やがて樹の名前を指すようになったとか、そもそもクリとは『石』のことで、堅い殻を持つ石のような実からそう呼ばれるようになったなど、諸説あります。
代表的な品種
駆除が困難なクリタマバチと言う害虫がおり、それに抵抗性がある品種が栽培されています。
丹沢(たんざわ)
乙宗×大正早生の選抜種。早生で収穫期は9月上旬。豊産性。
銀寄(ぎんよせ)
大阪原産ですが来歴は不明です。実が大きく香りが良い。中生で収穫期は9月下旬~10月上旬。豊産性。丹波栗の多くはこの品種です。
利平(りへい)
ニホングリとチュウゴクグリを掛け合わせた品種。黄色くて甘みの強い果肉が特長。中生で収穫期は9月下旬~10月上旬。
その他の種類
クリの仲間は世界の北半球に12種が分布します。代表的な種を紹介します。〔〕内は学名、C.はCastaneaの略。
チュウゴクグリ〔C. mollissima〕
中国原産です。実は小粒ですが甘みが強く、アマグリ(甘栗)とも呼ばれます。渋皮がはがれやすい。
ヨーロッパグリ〔C. sativa〕
地中海沿岸、小アジア、北アフリカで栽培されています。マロングラッセなどに利用される。
アメリカグリ〔C. dentata〕
北アメリカの大西洋岸から東部にかけて分布します。樹高は30mに達します。胴枯れ病に弱い。