- 科名
- バラ科
- 学名
- Sorbus commixta
- 原産地
- 日本 樺太 南千島 朝鮮半島
- 大きさ
- 5m~10m
- 主な開花期
- 5月~7月(果熟期:9月~11月)
- 耐寒性
- つよい
- 難易度
- ★★☆☆☆(そだてやすい)
こんな植物です
北海道~九州、朝鮮半島、樺太などに分布する落葉性の高木です。初夏に直径1cmくらいの小さな花が多数集まり房状になって咲きます。花後には5mmほどの小さな球形の果実を付け、秋になると熟して真っ赤に色づきます。果実は落葉したあとも残って木を彩り、目を楽しませてくれます。
葉は細長くて先がとがりフチにギザギザがあり、小葉が複数集まって一枚の葉となる羽状複葉と呼ばれる形で、その中でも小葉が9~15枚の奇数羽状複葉で、秋の紅葉が非常に美しいです。
用途・由来
平地でも問題なく育ちますが、元来高山性の樹木で北海道や東北などの寒冷地では非常に紅葉が美しく病害虫の発生も比較的少ないので、街路樹として利用されます。
ナナカマドは漢字で「七竈」と表し、その由来は材質が固くて「七度かまどにくべても燃え切らずに残る」とか、「炭にするには七度焼かなければならない」等、諸説あります。どちらにしても「燃えにくい」ということを表していますが、燃えるのが遅いという程度で、そこまで燃えにくいことはなく良質の炭(白炭)になります。
属名のソルブスは古ラテン語名に由来しますが、意味はわかりません。
種類
〔〕内は学名、S.はSorbusの略。
葉裏が粉を吹いたような白色になるウラジロナナカマド〔S. matsumurana〕、中国原産のニワナナカマド〔S. kirilowii〕、ヨーロッパなどが原産のセイヨウナナカマド〔S. aucuparia〕(ヨーロッパナナカマド、とも)などの近縁種があります。それ以外にもナンキンナナカマド〔S. gracilis〕やホザキナナカマド〔S. sorbifolia var. stellipila〕などが知られています。
育て方
- ・やせ地でない限り、肥料は要らない
- ・平地、暖地では病害虫が出やすい
- ・剪定、植え付けは落葉期に行う
●ポイント
栽培カレンダー
主な作業の適期
植え付け | 11月~3月 |
---|---|
剪定 | 11月~3月 |
肥料 | 1月~2月 |
日常の手入れ
剪定
自然樹形が最も適しているので放任でもかまいませんがスペースの関係から枝を切る場合は枝分かれしている付け根から切り落とすようにし、できるだけ自然に近い樹形をキープします。枝の傷口がふさがりにくい性質なので、太い枝を切った場合は切り口に癒合剤(ゆごうざい)など傷をふさぐものを塗ります。
日当たり・置き場所
日当たりが良く、腐葉土などの腐植質がたっぷり入った湿り気のある土壌が適しています。庭木にするなら樹高が1-2m程度に収まるナンキンナナカマドが適しています。
水やり・肥料
極端なやせ地でない限り、肥料を与える必要はありません。腐植質に富んだ湿潤な土壌を好むので冬に堆肥や腐葉土を株元にすき混んであげると良いでしょう。
かかりやすい病害虫
本来の自生地である寒冷地では病害虫の少ない樹木なのですが、平地や暖地では比較的発生しやすいです。病気はうどんこ病、黒斑病などが、害虫はアブラムシ、ハマキムシ、ミノムシ、テッポウムシ(カミキリムシの幼虫、幹に潜り込んで内部を食害)などの発生が見られます。定期的な薬剤散布を行い発生を予防します。
植え付けと用土
植え付けの適期は落葉期の冬ですが、寒冷地では厳寒期を避けて芽吹く直前の春に植えた方が株の傷みが少ないです。
株が小さい内は移植できますが、大きくなってからは根付きにくく難しいです。
ふやし方
タネからふやすことができます。秋に果実が熟したら採取し果肉を取り除いてすぐにまきます。すぐにまけない場合は乾かさないように貯蔵しておいて春になってからまきます。タネは乾かしてしまうと発芽する力が極端に落ちるので気をつけます。普通のナナカマドは実を付けるまで10年くらいかかりますが、品種によっては3-4年から実を付けるものもあります。
セイヨウナナカマドは接ぎ木でふやすことが多いです。