ネペンテス(ウツボカズラ)

ウツボカズラ科 「ね」からはじまる植物

ネペンテス チェルソニー
チェルソニー
この植物の育て方
科名
ウツボカズラ科
学名
Nepenthes
別名
ウツボカズラ
原産地
東南アジアを中心とした熱帯地域
大きさ
50cm~15m(つる性)
開花期
6月~7月
難易度
種により異なる

こんな植物です

ボルネオなど赤道近くの東南アジアを中心として、ニューカレドニア、北オーストラリア、マダガスカルなどに分布するつる性の食虫植物です。つるは長いものでは15mにもなり、樹木などに絡まって生長します。高温多湿で日の射し込むジャングル周辺、冷涼で夜間は霧で被われる高山などに自生します。

捕虫袋

葉っぱの真ん中を縦に走る脈(中肋)が長く伸び、その先端がつぼのようにふくらんで捕虫袋になります。そこに落ちた虫は消化されて栄養になります。 野生種はおよそ70種が知られています。それぞれが個性的な捕虫袋を持っており、形や大きさはまちまちです。

株が成長すると、地味でちいさな花を穂状に咲かせます。花には雄花と雌花があり、別々の株に咲きます。

属名のネペンテスはギリシア語で「憂い・悲しみを消す」と言う意味ですが、由来は不明です。和名のウツボカズラは捕虫袋が矢を入れる「靫(うつぼ)」に似ているところから付きました。カズラはつる性植物のことです。

虫を捕らえるしくみ

虫を捕らえるワナは「落とし穴式」で、巧妙なトラップが捕虫袋の至る所に用意されています。基本コンセプトは「捕らえたら絶対逃さない」です。捕虫袋はその薄さの割にはかなり硬くてしっかりしており、1つの袋で半年くらいはせっせと虫を捕らえて消化します。

誘引

捕虫袋のフタの部分には蜜腺があり、虫はそこから分泌する物質に誘われてやってきます。

落ちやすく昇りにくい工夫

誘われた虫は捕虫袋の口部分、通称「えり」と呼ばれる部分に止まります。えりはつるつるして滑りやすく、内側に向かって筋が何本も走っています。足を滑らせた虫は中に落ち込みます。落ちた虫は内壁伝いに登ってきても、襟の部分がネズミ返しと同じ構造になっており、外に出ることはできません。 さらに捕虫袋の内側はロウを塗ったようにつるつるしており、登りにくくなっています。

消化液

捕虫袋の底には消化液がたまっています。消化液は少しとろみがあり、虫の体にまとわりついて逃げられなくします。そのまま虫はおぼれて沈みます。基本的な死因は溺死のようです。消化液は強酸性でタンパク質が溶かされ、養分が吸収されます。

捕虫袋の種類とでき方

種類

捕虫袋は付く位置で形が変わります。根に近い部分にできる「下位袋(ロウア・ピッチャー)」、ある程度生長して上のほうにできる「上位袋(アッパー・ピッチャー)」の2形態です。ただし、上位袋と下位袋で姿形や色が大きく異なる種もあれば、ほとんど同じ種もあります。傾向として、 下位袋はずんぐりとして安定感があり全体が赤や紫など濃色、上位袋は口が大きく開いたラッパ型やじょうご形で緑などの淡色のものが多いです。これとはまた少し変わったものに、地面に置かれたような感じで株元のまわりにできる「地上袋(グランド・ピッチャー」があります。

でき方

捕虫袋は葉の先端が伸びながらふくらんで作られます。十分な大きさに生長すると、上の部分が開いてフタになります。内部に閉じ込められていた消化液は空気に触れると強酸性になり、入ってきた虫を溶かします。

主な種類

アラタ〔N. alata〕

フィリピン、スマトラ、マレー半島に分布します。丈夫でとっつきやすく、捕虫袋も比較的よくできるのでよく栽培されます。袋は変異に富みたくさんのバラエティーがあります。上位袋と下位袋の形は大きく異なります。

ビカルカラタ〔N. bicalcarata〕

ボルネオ原産の大型種で、つるの長さは15mにもなります。捕虫袋のえりが極端にぐいっと上に伸び、その先端に牙のような2本の突起が下向きに付きます。

ミラビリス〔N. mirabilis〕

自生する範囲が広い種で、中国南部~東南アジアを経てオーストラリア北部まで分布します。変異が大きいです。

ラフレシアナ〔N. rafflesiana〕

マレー半島・ボルネオに分布します。ウツボカズラの名は、もともとこの種に付けられた和名です。日本には明治時代に入ってきました。

個性的な捕虫袋

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