ハイビスカス
写真提供:H.S
- 科名
- アオイ科
- 学名
- Hibiscus
- 別名
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- 原産地
- 園芸品種
- 大きさ
- 20cm~3m
- 開花期
- 5月~11月
- 難易度
- ★★★☆☆(ふつう)
こんな植物です
〔〕内は学名、H.はHibiscusの略
南国や熱帯をイメージさせることで非常によく知られている花です。その割に出自がはっきりしない、定義付けしづらい、ややこしい植物です。
まず、ハイビスカスを含む、アオイ科ヒビスクス属について説明し、全体像を掴んで貰います。次いで、その全体の中から園芸ではどういう植物をハイビスカスと呼んでいるのかを説明します。
非常に生育旺盛で丈夫なので公園などに植えられます。耐寒性はあまりないので、寒冷地には不向きです。寿命が長く、金沢市の玉泉園にある古木は豊臣秀吉の時代に朝鮮半島から持ってきたものと言われています。漢方では花を薬として用います。
分類上のハイビスカス
分類上でハイビスカスというと、アオイ科ヒビスクス属に分類されるすべての植物を指します。この定義で言うと、ヒビスクス属は世界の熱帯・亜熱帯を中心に250種ほどの野生種があり、それらすべてがハイビスカスと言うことになります。
ヒビスクス?ハイビスカスじゃなくて?と思われるかもしれません。学名でもあり英語名でもある「Hibiscus」をラテン語風に読むとヒビスクス、英語風に読むとハイビスカスです。植物学ではたいがいラテン語風に読み、図鑑などではたいがヒビスクス属となっています。和名ではフヨウ属と呼び、こちらの名前もよく使われます。
樹木や草花などその形態は多様です。ムクゲ〔H. syriacus〕やフヨウ〔H. mutabilis〕などは日本でも古くから花木として親しまれていますし、ローゼル〔H. sabdariffa〕はハーブ・ティーにとして使われます。このように、種によって花を観賞する以外にも、様々な用途が知られています。このすべての仲間を「ハイビスカス」と呼ぶこともできますが、園芸ではもっと限定した狭い範囲での呼び名となっています。
園芸上のハイビスカス
園芸でハイビスカスというと、ブッソウゲ(後述)やその他の野生種を掛け合わせて作られた品種の総称です。この定義から言うと、ハイビスカスは作られたもので、完全な野生種は存在しないことになります。ルーツとなっている野生種はおよそ20種ほどとされます。
元となった野生種は大きく分けてインド洋諸島原産種と、ハワイなど太平洋諸島原産種に分けられます。これらをハワイの農業試験所で人の手によって掛け合されてできたのが、現在見られるハイビスカスのはじまりです。今までに何千もの品種が作られましたが、ほとんどがハワイで改良されました。
ハイビスカスの種類
インド洋諸島と太平洋諸島の原種、園芸品種に分けて説明します。原種とは、改良や掛け合わせるのに利用された野生種のことを指します。言い換えれば、園芸品種の親となった野生種のことです。以下のような原種が現在見られるハイビスカスのルーツとなっています。温室のある植物園ではときどき見られるので、園芸品種とどこが違うのか、もしくは似ているのか、見比べてもおもしろいでしょう。
インド洋諸島原産
ブッソウゲ〔H. rosasinensis〕
中国原産とされていましたが、実は野生種が見つかっていない原産地不明の種です。色々な野生種が自然にかけあわさってできた雑種とも考えれらています。花色は真っ赤で、花の大きさは5cm~20cmと個体差が大きいのが特長です。
フウリンブッソウゲ〔H. schizopetalus〕
東アフリカのザンジバル島原産とされます。名前の示すとおり、風鈴のように花が垂れ下がって咲きます。花色は赤、ピンクと白の絞りがあります。
リリフロールス〔H. liliflorus〕
花びらが平開せず、ユリのような姿で咲くので、ユリザキムクゲとも呼ばれます。花は径5cmで色は赤です。マスカリーン諸島原産。
ゲネビー〔H. genevii〕
モーリシャス島原産。花は径15cmになり、野生種の中では大輪です。花色は白や淡いピンクです。
スコッティー〔H. scottii〕
ソコトラ島原産、花色は黄色で中心部分が赤くなります。
コルムナリス〔H.columnaris〕
マスカリン諸島原産。咲きはじめは黄色でしぼむとオレンジ色になります。
太平洋諸島原産
アーノッティアヌス〔H. arnottianus〕
オアフ島原産、花色は白でほんのりピンクが差すこともあります。わずかに芳香があります。ハイビスカスの親としては、最もよく利用された原種の1つです
ワイメアエ〔H. waimeae〕
カウアイ島原産、花姿、色ともアーノッティアヌスにそっくりですが、芳香はありません。
ストーッキー〔H. storckii〕
フィジー島原産、花色は白で、ピンクが差すこともあります。花が上向きに咲くのが特長です。上向きに咲くハイビスカスは、本種がルーツとなっているものも多いようです。
コキオ〔H. kokio〕
ハワイ諸島原産、花色は赤かオレンジ色です。花の大きさはやや小振りです。
園芸品種
大きく「オールド・タイプ(在来系)」「コーラル」「ハワイアン・ハイビスカス(大輪系)」の系統に分けられていますが、ルーツがわからず分類できない品種も多くあります。
オールド・タイプ
古くからある系統で、在来系とも呼ばれます。花付きが良く、暑さや寒さにも強いものが多いです。
コーラル
野生種のフウリンブッソウゲを元として改良された品種グループです。小振りの花が下向きに垂れ下がるように咲きます。寒さに弱いものの、性質は強健です。
ハワイアン・ハイビスカス
大輪で様々な色彩をもち、ハイビスカスの中でも最も鑑賞価値が高くて品種数が多い系統です。性質はやや弱く、暑さや寒さにもあまり耐えられません。接ぎ木で増やすことが多いです。