ヒガンバナの仲間
リコリス
科名:ヒガンバナ科学名:Lycoris原産地:日本を含む東アジア草丈:30cm-60cm開花期:8月~11月栽培難易度:
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リコリスとは
日本からミヤンマーに至る東アジアの広い範囲に10数種~20種が分布する球根植物です。あまり馴染みがなさそうですが、秋に土手や畦で真っ赤な花を咲かせているヒガンバナもリコリスの仲間だと知ると、少しは親近感がわくのではないでしょうか。ヒガンバナは学名でリコリス・ラディアータと言います。その他にもキツネノカミソリやナツズイセン、ショウキランなどの仲間が山野や野原で見られます。
ヒガンバナに縁起が悪いというイメージがあるからか、ごく当たり前にあってありがたみ?がないのか、ヒガンバナやナツズイセンほか、数種類の球根が夏のはじめに出回りますが、言うほど栽培されている印象はありません。欧米ではもともと自生する植物ではないからか、縁起的な固定観念がないからか、比較的栽培されており園芸品種も多くあります。
主な開花期は夏~秋で、種によってやや開きがあります。球根の種類は鱗茎です(球根の種類については球根の基礎知識を参考に)。質のよいデンプンを含みますが、アルカロイドを含み有毒です。
サルミアッキなどで有名な「リコリス(菓子)」に含まれるリコリスはマメ科の植物で本種とは関係ありません。
生育サイクル
園芸では、夏に球根を植え付けて秋に花を楽しむ「夏植え球根植物」として扱います。珍しいと言うほどではありませんが、春もしくは秋植え球根に比べると、夏植えの球根は種類が少ないです。リコリス以外にはサフラン、コルチカム、ネリネなどがよく知られています。
夏~秋に球根からにょっきり花茎を伸ばして、その先端に数輪~10輪程度の花を咲かせます。花色は赤、オレンジ、黄色、白、ピンクなどがあります。
花の咲いている時期に葉っぱはなく、たいがいが花後に出てきます。葉の出るタイミングが開花と同時か花後すぐの種を「秋季出葉タイプ」、早春に出る種を「春季出葉タイプ」と区別しています。葉っぱは帯状で平べったく、地際から出てきます。春も終わりになると葉っぱは枯れて休眠します。夏以降に目を覚まして開花するまで、球根の状態で過ごします。
種類
ショウキラン(オーレア) ヒガンバナ(ラディアタ) オオキツネノカミソリ |
野生種の他、多くの園芸品種がありますが、日本ではあまりたくさんは出回っていません。以下、主な野生種のリコリスを紹介します。
ヒガンバナ〔L. raddiata〕
日本の山野でごく普通に見られますが、中国から古い時代に入ってきたと言われています。花びら鮮やかな紅色で、細くてフチが波打ちます。日本では秋になると広い地域で見ることができますが、あまり栽培はされません。中国産のものはタネができる個体もありますが、日本の自生するものはタネができません。球根は学名のラディアータで出回ることもあります。
ショウキラン〔L. traubii ( L. aurea)〕
東アジアに広く分布します。花色は鮮やか黄色で、中秋の頃に開花します。ショウキズイセンとも呼ばれます。学名のオーレアで球根が出回ることもあります。
キツネノカミソリ〔L. sanguinea〕
リコリスの中では一番の早咲きで、7月の末頃から開花します。花色は赤みがかったオレンジ色です。変種にオオキツネノカミソリ〔L. kiushiana〕やムジナノカミソリ〔var. koreana〕があります。
ナツズイセン〔L. squanigera〕
やや淡いピンク色の花を咲かせます。花は大きく立派です。野生種同士が自然にかけあわさってできた雑種だとされています。日本でも見られますが、元は中国原産とされます。春季出葉タイプです。学名のスクアミゲラで球根が出回ります。
スプレンゲリ〔L. sprengeri〕
中国原産、花は全体がピンクで先端近くが青くります。
シロバナマンジュシャゲ〔L. albiflora〕
ヒガンバナ(中国産のタネができるタイプ)とショウキランが自然に掛け合わさった雑種だと言われています。見た目は白いヒガンバナのようです。
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