セッコク
- 科名
- ラン科
- 学名
- Dendrobium moniliforme
- 別名
- 長生蘭
- 原産地
- 日本・朝鮮半島・中国
- 大きさ
- 高さ10cm~40cm
- 開花期
- 3月~5月
- 難易度
- ★★☆☆☆(そだてやすい)
こんな植物です
〔〕内は学名、D.はDendrobiumの略
日本、朝鮮半島、中国などに分布するランで、洋ランの中で俗に「デンドロビウム」と呼ばれているものの一種です。デンドロビウム属は熱帯アジアを中心として、オーストラリアまで1000種以上が知られます。
その仲間のうちでも北限まで(日本の東北地方)生育する種がセッコクです。趣のある山野草ですが、独自の品種や楽しみ方が江戸時代に確立され、それが脈々と受け継がれている古典植物でもあります。江戸時代の園芸文化を語るに欠かせない植物の一つです。
デンドロビウムの中でも人工的に掛け合わせて作った品種(交配種)には、セッコクが親となっているものが少なくありません。
生態
岩や樹木に根を張り付かせて自生する着生ランで、水分は空気中からとります。茎(バルブ)は太くて内部に水分を蓄えられるようになっており、長いものでは40cmほどになります(暖かい地方のものほど、長くなる傾向があります)。そこに、長楕円形の葉っぱが左右交互につきます。主な開花期は初夏で、茎の先端当たりの節から花茎を出して1~3輪の花を咲かせます。花色は白もしくは淡い紅色で、大きさは3~4cmで芳香があります。
前年の茎の株元から新たに芽を出して、新たな茎になります。葉は1年目に先端からちらほらと落ち始め、2年も経つとすべて落葉します。落葉しても棒状の茎は枯れずに残ります。毎年新しい芽を吹いて、茎の数は増えていくので大株のものは株元からわさわさと茎が茂った状態になります。茎の上の方からも芽を出すこともよくあり、それは「高芽」と呼ばれます。
日本に自生するセッコクの仲間は3種あり、あとの2種は黄色い花を咲かせる大型種のキバナノセッコク〔D. tosaense〕と、オキナワセッコク〔Den. okinawense〕です。
名前の由来
セッコクの名前は中国での呼び名「石斛(せきこく)」が訛ったものとされています。古くは少名彦薬根(すくなひこのくすね)と呼ばれており、薬として用いられていました。属名のデンドロビウムはギリシア語のデンドロン(樹木)とビオス(生活)の2語からなり、自生環境に由来します。
古典植物としてのセッコク
セッコクは古くから日本で栽培されており、江戸時代は長生草、大正以降は長生蘭という非常に縁起の良さそうな名前で親しまれてきました。セッコクは花も楽しめますが、古典植物としてはもっぱら葉と茎を鑑賞する傾向が強いです。花を観賞するものは長生蘭とは言わずもっぱら「セッコク花物」と区別されます。
また、大きなものは好まれずこぢんまりと収まった小型のものが愛でられます。それゆえ「世界最小の観葉植物」と形容することもあります。隆盛を極めたのは天保年間と言われており、非常に多くの品種があったそうです(現在はその多くが失われています)。葉の形が変わったものや模様が入るもの、茎の色が褐色や飴色になるものなどがあります。ちなみに、茎のことは「矢」と呼ばれます(洋ランでは「バルブ」と呼ばれます)。
その他の画像
1.キバナノセッコク(画像提供:M.S)
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